【入試分析】洗足学園 2024年 第1回 算数 大問2

今回は、洗足学園の問題を分析しました。
なお、この分析は今年度より始める過去問の個別指導サービスの指導方針の一端を示すものです。

全ての考察は、担当する講師で行っている勉強会の内容になります。
講師の技量を示すために作成しています。
「講師」としての研修は行わず、常に問題分析において技量を高めている講師が、受験生の過去問の取り組みをサポートさせていただきます。

なお、洗足学園の過去問で記事を作っているのは、皆様が情報を確認しやすいからです。
受験校については、全ての難易度の学校を承っております。


〇問題について

問題やその他の情報については、洗足学園のHPで確認しております。

※難易度は、五段階で評価します。
    解なくてもよい=☆☆☆☆☆
    解なくてもよい=☆☆☆☆
     合格を左右する=☆☆☆
       合格に必須=☆☆
  解けることが受験資格=☆

〇合格者最低点の分析

2024年の第1回の合格者最低点は、4教科合計で194/350点です。
算数の合格者最高点は69点で、合格者最低点は24点でした。
(合格者最低点の表記で、二つの異なる点数がありましたので、高い方を採用しています。)
算数の平均点は37.2点です。
おそらく、今年の1回は算数では点差が付かなかったと考えます。
逆に、国理が昨年よりも受験者平均点が高かったことを見ると、そちらの結果で合否が決まったと考えられます。
3回とも受験者平均点を見ると50点を下回っているので、洗足学園の戦い方としては、「算数で粘る」「国理社で稼ぐ」というスタイルになると考えます。
特に、勝負は理科になるのではないでしょうか。

という前提に立ちながら、ここでは60点をキープするための戦略を細かく考えていきたいと思います。

〇問題の分析

(1)☆  正答率:88.6%

受験者の正答率は9割近くです。
この問題を落とす子は、洗足学園の受験資格がありません。
厳しいようですが、志望校を再考してください。

[問題のポイント]
「所持金をすべて使い切りました」という表現を理解できるかがポイントです。
普通の問題であれば、「残りの所持金の1/4を使ったところ600円があまりました」という表現でも問題を作るのでしょう。
そこに少しだけ変化を加えただけで、問題としては「三手詰み」の相当算です。
上位の子であれば暗算で解くと思います。

[指導のポイント]
・線分図を書く能力があるか。

※本番では書かなくても良い。
➡間違えた子には、まず自分で線分図を書かせてみます。
 書けなかった場合は、補助をして線分図の理解を促します。
 この指導が必要なことが分かれば、志望校を変更するべきです。

(2)☆  正答率:62.7%

正答率は7割を切っていますが、この問題も受験資格の有無を考える問題にした方が良いです。
この問題を落とす子も、志望校を再考してください。

[問題のポイント]
「2桁の奇数を2つ作る」
「大きい方が小さい方の倍数になる」
という2つの条件を理解し、確認するだけで終わります。
少しだけ理想的なことを言うと、確認する数を合理的に限定できるようになると良いです。
まず、両方とも奇数であるという条件から奇数倍であることがわかります。
7枚のカードで作れる一番大きな奇数は「67」です。
それを「1」の次に小さい奇数である「3」で割ると「22.111...」となるので、奇数倍を作れる可能性のある数は「13、15、17、21」の4つのみと断定できます。
あとは、その倍数が作れるかどうかを丁寧に確認するだけです。

[指導のポイント]
・根気強く書き出して確認する能力があるか。
➡この問題は、それほど高い理解力を求められていません。
 「書き出す」という能力があれば解けます。
 逆に、これくらいを書き出す意識が無いと、取りこぼしが増えます。
 ゆえに、この問題が解けない子は「書き出す」トレーニングが必要です。
 その指導が必要となれば、志望校を変えるのが無難です。

(3)☆☆ 正答率:44.3%

正答率は5割を切ります。
しかし、合格するには解けることを前提としたいレベルの問題です。
取りきれるレベルの子が、勝負を国理社のステージに移せると考えます。

[問題のポイント]
「容器Aの高さの半分まで水をいれたところ」
という表現に注目すると、「比」が見えてきます。
Aは、半分まで「1L/分」で入れていたものを残りの半分は「0.8L/分」で入れています。
したがって、前半の半分と後半の半分では、入れる時間の比が「4:5」になります。
そうすると、排水せずにAに全量入れるのにかかる時間の比は「8」となります。
一方、Bは前半「4」、後半「5」の時間で満タンになったので、かかった時間の比は「9」となります。
ゆえに、同じ時間で同じ高さまで流し込んだ水量の比が「8:9」となっているので、底面積の比も「8:9」になることがわかります。

[指導のポイント]
・表現の裏にある数字を見抜けるか。
今回の問題では、「毎分200mlの水を排出する排水口を開けました」という表現を別の動作として捉えるのではなく、最初の動作と一つとして捉えることが大切です。
そうすると「-200ml」ではなく「0.8L」という数字が見えてきます。
ここで簡単な単位換算を差し込んでくるのは、少しだけ「難しい」と感じさせ、受験生に混乱を生み出そうとする洗足学園の意図があるように思います。
単位換算がに思考に馴染んでいない子は、そのポイントでスッとアイデアが浮かばないことでしょう。
(1)で「600円多く使ったところ、所持金をすべて使い切りました」と表現しているのも同じですが、洗足学園を受験する子は「表現の裏」に対するアンテナの感度を高める必要があります。

(4)☆☆ 正答率:44.7%

この問題が解けないと合格者最低点を超えるのが難しいです。
しかし、この問題はトレーニングで解けるようになる可能性が高いです。
合否を分ける問題として、教えやすい問題ではあります。

[問題のポイント]
四角形ABCDが長方形で、直線BEと直線FDが並行であるという条件を利用すると、△ABGと△CDFが合同だということがわかります。
そうすると、同時に△ADFと△CBGが合同だということもわかります。
また、条件から△AEGと△CBGが「3:1」ということがわかります。
△ADFの高さに相当する直線CD:直線FDは「4:3」で、直線FHと直線CDは平行なので高さは等しので、△DCFと△FDHの底辺比はそのまま面積比の「4:3」になります。
したがって、△ABGと△FDHの面積比も「4:3」となります。

[指導のポイント]
・相似の感度の高さを高める。
図形の問題は、解説をして理解を促すというのが難しい問題です。解説した後に類題を数多く解くことが大切です。
それだけに特化して算数の勉強をするのもリスクなので、基本的にはテキストと過去問の範囲内でかまいません。
ただ、特別に特化したいというのであれば、図形の問題集をやるというのも選択肢に入ります。

ただ、それも過去問の点数を分析した上で判断するべきことと考えます。

〇まとめ

洗足学園の問題ともなると、問題の分析を言語化するのにも一苦労なので、大問毎に切り分けて記事にさせていただきます。
大問2の4問では、全体の1/5となる20点分が振り分けられています。
大問1の計算2問を合わせた30点分は、正直言えば落としたくありません。
それ以外の問題の正答率を見ると、大問2までで借金を背負えば、それを返済するのは容易ではありません。
どのタイミングで過去問を取り組むかにもよりますが、それを冷静に設定したとしても、大問1・2で20点をキープできない場合は志望校の変更を提案します。
ここを全部取り切って40点前後で戦えていれば、最後の取り組みにも希望を持てますが、30点に満たない場合は志望校を変えた方が無難であると考えます。

〇過去問の個別指導サービスについて


過去問の個別指導サービスにおいては、

1.志望校の入試問題の分析
2.受験生の答案用紙の分析
3.試験に挑む上での戦略の立案
4.戦略を落とし込む指導

という4段階の作業を行います。

その中で、忌憚なく現実的なご提案もさせていただきます。
なお、担当講師4名で行える作業量にも限界がありますので、業務量の容量を超えるようになりましたら、人数を待たずに定員を締め切らせていただきます。
興味のある方は、まずは学習相談にお越しください。


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