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自分で受験校を決めることの大切さ

 受験する学校の選び方は様々です。ご両親が子供に通って欲しいと思っている学校、子供が行きたいと思っている学校、親子共に気に入っている学校、自宅から通いやすい学校、そしてそこに学習塾が受験を勧める学校なども含め、2 月 1 日からの 1 週間の受験日程は組まれます。

 この受験日程をどのようにして決めるかは、中学受験において非常に重要です。それは、中学受験が 2 月 1 日から午前、午後と続き、体力的にも精神的にも非常に過酷だからです。小学生の体力や精神力を考えると、それらに加えて移動や合格発表を待つ時間など試験以外の大変さも相まって、日程をただ乗り切るだけでもとても大変なことです。

 ゆえに、様々な観点から受験校を選定する戦略が大切になります。戦略を考えずに好みに任せて受験日程を組むと、想定していない状況に陥り、体力的にも精神的にも踏ん張りが利かず、最悪の結果になってしまうことがあります。中学受験の成功の如何は、最終的には「受験日程の組み方」で決まると言っても過言ではありません。

 さて、そんな受験校を選ぶ上で最も大切なのは、「本人がどうしても通いたいと思っている学校は、よほどのことが無い限り受験させる」ということです。私たちは、どんなに模試の判定が悪かろうとも、本人がどうしても通いたいと思っている学校は受験日程から外さず、その学校の受験をベースに納得できる抑え校を組んでいくことが大切だと考え、そのような日程を各ご家庭にお勧めしています。

 そのように考える理由は、その学校を受験する経験自体が、その子の成長に大きく関わるからです。心の底から「どうしても通いたい」と強く思う学校のためであれば、その子はいくらでも頑張ることができます。逆に、そういった学校を見つけられていない子は、自分自身を追い込むことがなかなかできません。

 今年の受験で指導させていただいた 3 人の 6 年生は、「私立中学受験の勉強」という意味では 6 年生の夏から受験勉強を始めた子達でした。そのため、本人が心の底から「どうしても通いたい」と強く思う学校が、受験をスタートした時点ではありませんでした。それゆえに、なかなか自分達を厳しく追い込むということができませんでした。

 そんな子たちも、12 月に入り「自分が通いたい!」という学校が見つかったタイミングから、目に見えて努力量が増えていきました。
 特に 2 人の男の子は、通いたいと思った学校の合格確率は 20 %程度だったため、そのギアの上がり方は秀逸でした。調子の良い時でも精々 30 %になるくらいで、全ての模試の日程が終わった 12 月の段階でも極めて厳しい状況にありました。しかし、保護者様とも相談し、「本人が通いたいというのであれば…」ということで、万全のセーフティネットを張った受験日程を組み、チャレンジすることになりました。

 1 人は、自分が本気で「通いたい!」と思った学校と、それまで目指していた学校とで、算数の難易度が決定的に異なりました。そのため、そこから算数の勉強量が一気に増えました。時には、問題が解けない自分に涙を流しながらも、ひたすら算数の問題を解き続け、最初は対応できなかった入試問題も、最終的には合格者最低点まであと少しというところまで成長しました。分が悪いとはいえ、「当日、算数数問をミスなく解ききれれば…」というところまで成長しており、その努力に敬服します。

 2 人目は、学校を実際に見に行ったことをきっかけにして、本当に通いたいと思える学校を見つけました。そのため、それまで予定していたものから抜本的に受験校が変わりました。12 月までの段階で過去問 20 年分近くを取り組んできた学校を受けないことにして、本当に通いたいと思った学校の過去問をゼロから始めることになりました。特にその学校の理社の問題への基礎対応力が足りなかったため、そこから理社の勉強量を一気に増やしました。その演習量には、ただただ頭が下がります。

 結果的には、残念ながら 2 人とも第一志望の学校の合格までは導いてあげることはできませんでした。私達講師陣の力の至らなかったと思うところもあり、不徳の致すところです。しかし、2 人が最後の最後まで強い挑戦の気持ちを持って努力し、成長し続けてくれたことは、私たちにとっても大きな誇りとなりました。BOX OUT の初年度の受験を、そのようなものにしてくれた子達には、感謝の念しかありません。

 そんな子達の姿を見ているからこそ、「自分で受験校を決める」ということは中学受験において、とても大切なことだと私達は考えています。合格するかしないかではなく、「何が何でも、その学校に通いたい!」という強い気持ちを持つことが、結果的にその子の成長を強く促してくれます。
 当然、「合格すること」は大切なことです。しかし、本人の意志を育てることなく考え、受験校を決定してしまうと、その子の努力を引き出せない危険性があります。ゆえに、私達は中学受験を通じた成長にプライオリティを置いて指導しており、受験生本人が自分で受験校を決めることを強く勧めています。

 そのような考え方の学習塾である BOX OUT にもしご興味をお持ちいただけましたら、是非学習相談にお越しください。
どのようなことでも、お気軽にご相談いただければと思います。
ご連絡お待ちしております。


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