【2025年受験】洗足学園の併願戦略について

 併願戦略シリーズ、今回は洗足学園を扱います。

正直な話をすれば、難易度的に私たちの教室のターゲットの外にある学校ですが、立地は自由が丘に馴染みのある人気校なので扱っていきます。それほど、正確な話を出来ているかは計りかねますので、参考程度にお耳を拝借できれば幸いです。


基本的な考え方

 洗足学園も、基本的には全日程通すというのが基本になると思います。

1日/午前:洗足学園
2日/午前:洗足学園
3日/午前:    
4日/午前:    
5日/午前:洗足学園

ただ、絶対にそうするべきであると言えるかというと、そうでもないです。正直な話をすれば、1日2日の午前に連続で日程を組んでいる学校の多くは、「受験生に優しくない学校」だと考えています。
 理由は、女子の2日受験は1日校の結果を待たないからです。女子の伝統的1日校の結果の多くは、2日発表になります。ゆえに結果が出た後だと、受験してくれない子が出てきます。そうなると、入ってこない受験料もあると思いますし、受験生が集まらなければ不合格者が増えないので偏差値も高まりません。そのために、結果が出る前の2日に受験日程を組むことには構造的なメリットあるのです。
 そして、2日で合格者を絞っても、5日で調整できるようにしておけば、2日の偏差値が上がりやすい状況を生み出せます。1日2日5日という日程は、偏差値を上げやすい枠組みになっているのです。

 たとえば、吉祥女子のように1日2日の午前に全ての定員を振り切っている学校は、気持ちが良いので好感が持てます。繰り上げ合格も、1日受験者から出さないですし、第一志望を大切にしています。

 鴎友学園や東洋英和女学院のように1日3日に定員を振り切っている学校も好印象です。1日の結果が出た後に、2日を御守り校確保に設定でき、全ての結果が出た後に、心機一転3日の受験に挑めます。やはり、受験生のことを考えた日程になっています。

 また、頌栄女子学院のように1日と5日の2日間に定員を均等に分けている学校からは愛を感じます。5日の受験日程を定員100名に設定しているのこそ、誠の愛かと。お情け程度に定員を割いて、偏差値的な見栄えを良くしている学校とはわけがちがいます。

 これは個人的な思いですが、御家庭には入試日程から見えてくるその学校の受験生への優しさ、愛を感じ取ってほしいです。日程の配置、その定員の分配、複数回受験者への優遇など、第一志望の子や受験生全員を大切に考えている学校を評価してほしいです。自分の学校の偏差値上の格を上げるために、少しでも多くの受験生を集め、合格者を絞れる入試日程を組むような学校が評価されない時代が来ることを願っています。

 そんな話をしていると、まるで「洗足学園が悪い学校だ」と言っているように聞こえると思いますが、実際は好印象を持っています。大手学習時代には何人もの受験生を受け入れてくれていただいていますし、その子達が明るく楽しそうに過ごしているのも見てきたので、悪い学校だとは思っていません。入試日程に関して言えば、洗足学園よりも圧倒的に悪いことをしている学校があるので、洗足学園はそれほど悪くないと思っています。
 ただ、洗足学園も評価が安定し、成り上がる時期は過ぎたので、もうそろそろ受験生に優しい日程を組んでほしいと思っていることは本音です。入試日程を1日にしてほしいなんて贅沢は言いません。もし2日に絞ってくれたら、それだけで一気に印象が変わるというものです。洗足学園は、合格した子ではなく、合格できなかった子を思いやれる、そういう格になっていると思います。
 いつまでも、極楽浄土から蜘蛛の糸を垂らすような受験日程をしていては、伝統校の格には並べないのではないでしょうか。もっと第一志望の子に優しい受験日程を組んでほしいです。

 ゆえに洗足学園の場合、自主的に入試日程を一つ削って合格を取りに行くというパターンもあると考えています。「基本的には、全部突っ込みたい」という中学受験ですが、洗足学園レベルになってくると「自重する」という考え方も重要になってきます。

 ちなみに参考までに、通しの受験をしていない子の体験記を挙げておきます。

この子は特殊な組み方をしたので、1日に頌栄女子学院から変則に入っていきました。

併願校について

 さて、具体的な併願校についてですが、基本的な考え方で述べた通り、1日2日の午前を使わざるを得ない洗足学園の併願は、非常に難しいです。どちらかを外すという選択肢も考慮しなければなりませんが、考え方が複雑になり過ぎるので、今回は洗足学園を熱望するということで、1日2日を通す考え方以外はしません。
 また、これまでと同じで共学校を考え始めると多岐にわたり過ぎるので、女子校に限定して考えていきます。

[東洋英和女学院]

 最初に検討するのは、先にも挙げた東洋英和女学院です。3日に差し込むことができます。

1日/午前:洗足学園    
2日/午前:洗足学園
3日/午前:東洋英和
4日/午前:    
5日/午前:洗足学園

洗足学園を志望する御家庭は、ある程度大学受験に対する意識が高いと考えます。その場合、東洋英和の合格実績くらいで納得感が出てくるのではないかと思います。

大手時代、私が面談を担当した御家庭には提案をしていました。ただ、同じキリスト教系の学校でも、洗足学園と東洋英和は少し雰囲気が違います。東洋英和の方が伝統的なミッションスクールなので、洗足学園を志望する御家庭の好みにあうかはわかりません。
 3日の東洋英和も、そこそこの難易度なのでリスクが無いわけではありません。ただ、東洋英和の問題を難なくこなせなければ、そもそも洗足学園に行ってはいけないレベルだと考えます。3日の東洋英和は、その意味で一つの試金石です。
 なお、同じ3日に鴎友学園がありますが、鷗友学園はもう洗足学園と併願する格ではないと考えます。

もし鴎友学園を検討するのであれば、1日も鷗友学園にすることが望ましいです。洗足学園と鴎友学園の二兎を追うと、最悪の展開の可能性が高いと考えます。そこは、しっかりとどちらか一つを選ぶというのが望ましいです。

[大妻]

3日は、鴎友学園を外すとなれば、あとは大妻を検討するくらいでしょうか。

1日/午前:洗足学園/午後:    
2日/午前:洗足学園/午後:
3日/午前:大妻
4日/午前:    
5日/午前:洗足学園

 大学の合格実績で考えれば、数の上では上位校に近い存在だと思います。洗足学園をキリスト教系の学校として選択する方は少ない印象なので、そこはポイントにならないと考えています。あとは趣味の世界です。東洋英和と比較して、どちらを選ぶかは趣味の世界だと思います。

[普連土学園]

 完全な御守り校としては、まず普連土学園を挙げます。

1日/午前:洗足学園/午後:普連土学園
2日/午前:洗足学園/午後:普連土学園
3日/午前:東洋英和
4日/午前:普連土学園
5日/午前:洗足学園

午後入試が併せやすいので、重宝します。普連土の1日午後算数は、1行問題50題を解くというスタイルなので、多少のミスも許されます。洗足学園を目指せるレベルの子は問題なく通過できると思います。逆に普連土学園の算数単科で苦戦するのであれば、洗足学園は受験してはなりません。
 ただ、ネックがあるとすれば、普連土の1日午後は5日の洗足学園の発表を待ってくれません。そこをどう考えるかです。もしかしたら、募集要項には載っていないけど、待ってくれる制度があるかもしれませんので、そこは学校で相談してみてください。

 普連土についても、洗足学園と規模が違うので雰囲気に差があると言われています。そこは好みの問題としてご判断ください。

[東京女学館]

 普連土との互換を考えるとすれば、東京女学館をお勧めします。

1日/午前:洗足学園/午後:東京女学館  
2日/午前:洗足学園/午後:東京女学館
3日/午前:東洋英和
4日/午前:普連土学園
5日/午前:洗足学園

私たちの教室では、推している学校です。

近年の大学合格実績をの伸び方を見ると、安全策を図るのであればと東京女学館まで視野に入れると良いと思います。規模が違うので、普連土の合格実績も東京女学館と同等だと考えますので、そこは互換性があるのかと。あとは、趣味の問題です。1日午後に東京女学館で押さえておけば、3日の東洋英和にも落ち着いて入っていけます。
 東京女学館は、5日の洗足学園の結果を待ってくれるので、1日の段階に安心できるというメリットがあります。たとえば、2日午後に普連土を受けに行く筋などの柔軟さも保たれています。東京女学館でも良いとなれば、2日以降に多少無理をしたパターンも組めるものです。偏差値に差はありますが、しっかりと検討しておくべきと考えております。

まとめ

 自由が丘を中心に女子校でまとめると、以上になります。まだ、他にも品川女子学院もありますが、普連土学園と同じ併せ方になるので、触れませんでした。

 山脇学園は、5日の洗足学園の結果を待ってくれず、募集要項に品川女子学院のように入学金の返金期日などが明記されていないので、いったん外しています。

 さて、簡単にまとめますと、

①全日程を通して受験しないという選択肢もある。
②欲をかきすぎた午後受験はしない。
③1日午後にしっかりと押えた上で、後半戦に山を作る。
④5日の結果を待ってもらえるか確認しながら学校見学をする。

というところになるでしょうか。洗足学園に関しては、難易度が難しいだけでなく、学校が設定している日程が悩ましいという難しさもあって、簡単には語れないところがあります。これで共学校を絡めていくと、さらに複雑になりまります。

 ということで、今回の記事は「自重を促す」というものになっています。洗足学園の併願は攻めすぎると大変なことになりかねないので、熱くなり過ぎずに冷静に御守り校の選定を進めてください。もし、お悩み事がありましたら、ぜひ学習相談にお越しください。


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