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【中学受験】午後受験の考え方

 昨年も同様の記事を書かせていただきましたが、今年は少し思うところがありましたので、再度記事にまとめたいと思います。

 〇考えを改めようと思った理由

 考え方を改めようと思ったのは、今年の模試の結果からです。今年は今までとは異なり、10月と11月の日能研と四谷大塚の模試の日程が重なりました。そのため、多くの御家庭が午前午後で二つの模試を積極的に受験してくれました。その結果、初めて午前午後の連戦を経験した子は、100%の確率で午後受験を失敗してしまいました。10月と11月の両方とも連戦した子の11月は、「午後で失敗した」というわけではなかったのですが、今度は午前中がパッとしませんでした。今のところ、午前午後ともに結果を残した子はおりません。ここまでの結果では、想像以上に午前午後の受験は難しいことがわかります。
 正直に申し上げて、複数のケースを集めたときに、ここまで一方的な結果が出るとは考えておりませんでした。

 これまでも午前午後のデータが無かったわけではありません。
 たとえば、6年前期に午前午後で受験するサピックスオープンでは、午後に受けるAタイプの結果の方が悪くなる傾向を感じていました。ただ、それは「まだ前期だし、午前午後で受験する体力が育っていないよね」という結論で片付けていましたし、実際にそういう傾向が強いと思います。
 また、後期に入っても合格力サピックスオープンと学校別サピックスオープンの連戦があります。こちらも「学校別」という特殊性から、それほど「連戦」の影響を考えることがなかったです。
 しかし、今年は日能研と四谷大塚の連戦の結果が多く、その全てで午後受験に失敗しているので、考えを改めざるをえないと痛感しています。

 ポイントは、「移動」にあると考えています。午前午後で問題を解くということは、サピックスオープンでも、土日の授業でも経験しているでしょう。お弁当を食べて、午後に試験を受けるという経験は、ある程度積めます。しかし、それはあくまで「同じ校舎で移動せずに過ごしている」というケースだと思います。「午前に受験をした後に、移動して午後にも受験する」という経験は、なかなかしたことがないのではないでしょうか。その行動は、小学生にとっては相当な消耗になると考えた方が良さそうです。

 もちろん、それは11月の段階の話で、ここから冬期講習を超えて体力的に成長するので、2月の段階ではある程度戦えるようになっているとは思います。ただ、今はそれを過大評価も過小評価もせず、冷静に考えて受験日程を組まなければならないと考えるようになっています。

 今教室では、午前午後を受けきる体力を育てるのと同時に、冷静な併願パターンを組もうと取り組んでおります。それを前提として、以前の考え方を更新していきます。

〇1日午後は「鉄板校」を押さえる

 以前の記事では、「欲をかかない」という表現で書いておりましたが、今回は「鉄板」という表現に変えます。「鉄板」という意味は、「合格確率」で考えるのではなく、「問題の難易度」で考えます。その子の実力で考えて、消耗の低い難易度の問題を出している学校を考えてください。
 午後校の問題の難易度が高い場合、2日目への消耗とリスクが発生すると考えます。中学受験の入試問題は、難易度に決定的な差があります。その子のレベルによって、鼻歌交じりに問題を解ける学校というものがあるものです。可能であれば、そういう学校で抑えを組むことをお勧めします。
特に、2日以降に再チャレンジができる学校を第一志望にする場合、その日程も考慮して、総合的に考えて1日午後の受験校を考えてください。

 ただし、この考え方とは異なる考え方で受験をしなければならない学校もあります。それについては、次に述べさせていただきます。

〇複数回受験優遇を考える

 中学受験には、複数回受験の優遇が大きい学校があります。そういった学校を受験する場合、多少のリスクを背負っても、1日午後に攻めなければならないケースもあります。

 昨年は、カリタス女子と実践女子学園の受験では、複数回優遇を活用するために攻めました。

 第二志望で考えている学校に複数回受験の優遇がある場合、多少のリスクを背負ってでも1日午後を受けに行かなければならないこともあります。一発で合格できることが理想的ではありますが、第二志望ともなると難易度から考えて差が無いケースもあります。そのとき、1日午後受験を回避すると優遇を取ることができないケースもあります。そうなると、後半戦で不利な戦いを強いられることもあります。それゆえに、戦略的に1日午後に突っ込まなければならないケースもあります。
 それは、その第二志望の学校の熱望度合いと優遇の大きさによって変わります。それを冷静に考えながら、受験日程を組む必要があります。

〇1日午後が本命になる場合

 ケースは少ないのですが、1日午後が初戦になる学校があります。たとえば、東京農業大学第一や恵泉女学園のような学校です。

そういった学校が第一志望になる場合は、受験日程を組むのが非常に難しいです。午前中に消耗してから午後の受験を受けなければならないからです。1日午前は、受験できる学校が多いため、出来ればそこで進学しやすい学校を選びたいところです。
 しかし、受験校の問題の難易度によっては、午後の受験をする前に消耗してしまう可能性もあります。先にも申し上げた通り、午後受験は鼻歌交じりで合格できる層が受験に行くものです。農大一でも、恵泉でも、その問題を鼻歌交じりで解いてしまうレベルの子というものはいて、午前に消耗した後にそういうレベルの子達と戦うとなると、熱望層は厳しい戦いを強いられます。
 そういう午後受験が初戦となる学校を第一志望にする場合は、1日午後を回避するという可能性も考えて良いと思います。そういう学校は、鉄板の押さえ層が消えた2日以降を第一志望層の初戦と考える割り切り方も必要かもしれません。
 ちなみに、私たちの教室の1期生で農大一に進学した子は、2日午後のみの受験で、さらに2日午前は1日午後に合格していたので受験していません。そういう日程の組み方もあると考えております。

 以上が、今年の模試の結果を受けて考えを改めたところになります。基本的な考え方で、昨年の記事と変わっていないこともあるので、よろしければ昨年の記事も併せてご参照ください。

 今回の記事では、具体的な日程については言及していません。それは、様々な要因によって、個々の学校で事情が変わるからです。教室にお通いの御家庭には、個別に相談させていただいております。それは、進路面談回数が限られている大手学習塾よりは、密にご相談させていただいている自信があります。そういう総合的な受験指導をご希望の方は、ぜひ一度学習相談にお越しください。


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