【2024年】大妻中野の大学進学実績を眺めて

 「大学進学実績を眺めて」シリーズ、今回は大妻中野です。

 これまでの記事は、マガジンにあります。よろしければ、お読みください。


[基本設定]
現役合格者数と現役進学者数と卒業生数を、全てHPにおいて公表している学校を対象としている。
[大妻中野の基本情報]
卒業生数:217名
偏差値 :SS32(2024年 SAPIX vol.1 2/1午前)
※HP上では、浪人生への言及はないが、書かれている数値から逆算すると、現役生のみのデータと推測できるので、考察の対象とする。

国公立の進学実績について

 まずは、国公立についてです。

【進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
7名:7名:100.00%:3.23%

 旧帝大への進学者はいません。ただ、東京藝術大学が1名います。それは凄いことです。それでも「国公立に進学する」ということを考えると、選択肢には入りづらい学校になるかと思います。

早慶上理の進学実績について

 次に、早慶上理の進学実績についてです。

【大学名:進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
慶應  :4名:6名:66.67%:1.84%
上智  :5名:7名:71.43%:2.30%
東京理科:2名:4名:50.00%:0.92%
早稲田 :2名:3名:66.67%:0.92%

※50音順

 早慶上理も、中堅校と比較すると少ない数字です。国公立早慶上理までで合わせて約10%、10人に1人程度の進学率になります。SAPIXの偏差値表で考えると、大学進学実績は、偏差値35のところで一つのラインが引かれているのかもしれません。

GMARCHの進学実績について

続いて、GMARCHの進学実績についてです。

【大学名:進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
青山学院:  4名:  7名:57.14%:1.84%
学習院 :  5名:  6名:83.33%:2.30%
中央  :  5名:18名:27.78%:1.84%
法政  :  6名:20名:30.00%:2.76%
明治  :  7名:16名:43.75%:3.23%
立教  :11名:28名:39.29%:5.07%

 大妻中野まで来ると、GMARCHへの進学者が増えます。全体の15%強がGMARCHへ進学しています。指定校推薦などの関係だと思いますが、これまでの学校と比較すると、合格者の中の進学率が高いです。
 大妻中野だと、およそ4人に1人が国公立早慶上理GMARCHへ進学するという数字になっています。

日東駒専の進学実績について

 次に、日東駒専です。

【大学名:進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
駒澤:2名:  9名:22.22%:0.92%
専修:1名:  3名:33.33%:0.46%
東洋:6名:21名:28.57%:2.76%
日本:6名:14名:42.86%:2.76%

 大妻中野でも、日東駒専が増えるという感じはありません。同じくらいの大学は、もう趣味の世界なのでしょう。どこの大学が良いというわけでなく、学びたいこと、行きたい大学で選んで良いのかと。その意味では自由があるのとは思います。
 一つ付け加えるとすれば、この記事を書き始めて、ついに駒大進学者が表れました。ずっと「0%」を刻み続けていたのですが、ついに数値が付きました。

医療系大学の進学実績について

 最後に、医療系大学の合格実績についてまとめます。ここでは、大妻中野がまとめる「医療歯薬看」の大学学部になります。

【進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
33名:78名:42.30%:15.21%

 進学率は、田園調布学園よりも良いです。医療系大学は専門的な受験になるので、一般的な大学の実績を増やすことはできないでしょう。そういった進路に進む子が15%いるということは考慮した方が良いと考えています。その進路の先にある職業は、社会で必要とされている専門職ですし、その専門職に就く人材がいなくなれば、それはそれで困ってしまいます。そういった人材を育てている学校は、高く評価されても良いのではないでしょうか。

まとめ

 やはり、上位校と比べると大学進学実績は見劣りするところがあります。ただ、それをどう評価するかです。GMARCHまでは、しっかりとした可能性がありますし、医療系大学への進路も確かな指導が行われているようです。もちろん、学校の指導だけで進学できているかは不透明ですが、それはある程度はどこも同じ条件だと考えています。

 中堅層は大妻中野を御守り校として許容できるかで考え方が変わってきます。個人的には「自分次第」の環境は整っているとは思いますが、それは実際に通うことになる御家庭の判断に委ねられる部分です。問題の難易度はそれほど難しくないので、田園調布学園・普連土・山脇学園などを目指す子には、ある程度確実な御守り校になると思います。逆に、大妻中野の問題で苦戦する子は、その上位の女子校への挑戦権はないと判断した方がいいです。

 また、大妻中野は6年生から中学受験の勉強を始めた子にとっての上限になるくらいの難易度だと考えています。個人差はあると思うので、厳密なことは言えませんが。ただ、算数の問題の難易度から考えると、大妻中野の問題であれば、1年の努力である程度対応できるようになると思います。

 それらのことを考慮すると、通学圏内の方は一応見学に行ってみてよい学校です。模試の会場にもなることが多い学校なので、そういうタイミングで足を運んでみるのも悪くありません。もし「大妻中野も悪くないな」という印象が持てるのであれば、精神的にゆとりのある中学受験にしやすいと思います。

 重ねて申し上げることになりますが、中学受験は目的意識が重要です。「中学受験」といっても、一概にして語ることができるものではありません。その理解を精緻しないことには、無駄に精神的に追い込まれると思います。無理をして、中高6年間で頑張る気力を失って中学受験を終えても、あまり意味がないと思います。それであれば、多様な進路と価値観を尊重し、それが整っている環境に敬意と信頼を抱いても良いのではないでしょうか。

 私たちの教室では、そういうスタンスで中学受験を考えていますし、それぞれの学校の固有の価値を尊重しております。「どこに進学しても、最終的には本人次第」ということを信条にしております。そういう中学受験でもよろしければ、ぜひ学習相談にお越しください。


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