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【中学受験】大学生講師の価値

 私たちの教室では、大学生講師には大学生であることはもとより、基本的に素性を明かしてもらっています。

 ネット上では情報を伏せているところも多いですが、現場では比較的多くのことを明かしております。それは、講師と受験生に人と人との付き合いをしてほしいと考えているからです。
 大手学習塾で勤めていたときは、基本的に講師側が御家庭に個人情報を明かすことはありませんでした。お子様をお預かりしていると講師側は比較的多くのことを知ってしまうものですが、御家庭が講師のことを知ることは、ほとんどありません。そこには多少の不公平感があると感じておりました。
 素性を明かす方が良いかどうかは、意見の分かれるところだと思います。誰のどういう立場で考えるかで変わるので。ただ、私たちの教室では、お互いに素性を知り合っていた方が過ごしやすいと考えているので、非公開を原則とはしておらず、それぞれに委ねているところです。

 そんな風に過ごしていると、思わぬところで好影響があるものです。これは最近御家庭からよく聞くようになった話なのですが、子供たちが家で「将来、○○大学に行きたい」というような話をするようになっているようです。それは、これまでの講師人生で聞いたことのない話だったので、とても意外でした。
 どうやら子供たちにとっては、「大人」はイメージできなくても「大学生」はイメージできるようです。「小学生」により近い存在でありながら、それでいて親と同じように「働いている」という存在の「大学生」は、子供たちにとってはイメージの中間点のようで、身近に感じることができ「そうなりたい」と思うようです。
 また、リアルに感じられる近い将来の中学受験よりも、少し遠い将来の大学受験の方が、目標にしたときのストレスが少ないのかもしれません。あまり中学受験に乗り気ではなかった子も、大学生と接することで比較的近い将来の具体的なイメージを抱き、漠然と大学受験を目指すようになるようです。
 興味深いのは、大学生講師の多くが中学受験経験者で、名のある私立中高を卒業しているのですが、その出身中高に憧れるのではなく、大学の方に憧れることです。憧れるのであれば、より近い目標の中高の方になる方が自然に思えるのですが、どうやらそこには興味を持たない子が多いようです。それが何故かは、まだわかっていませんが、今は子供の傾向を注意深く観察しています。

 「大学生講師」というと、その指導力に不安を持たれる方も多いと思いますが、私たちの教室では、そのデメリットよりも彼らが子供たちの前で「大学生」として振る舞うメリットの方を大切にしています。また、大学生たちも、自らの素性を明かすことで責任感を持って過ごしてくれています。
 素性を明かさない「講師」として過ごすのではなく「自分」として子供たちの前に立つことで、大学生もまた「社会人」として成長できる環境であってくれればと願うところでもあります。受験生と大学生が、お互いに助け合って成長できる環境ができるのであれば、そこに価値があるのではないかと考えています。

 幸い、規模の小さい教室ですので講師も紹介で事足りており、採用有きでは集めておりません。ゆえに、人としての信頼の置ける学生ばかりに集まってもらえていると考えております。それでも、指導の経験値という点においては学生講師の方が劣る面があるのは否めないところです。しかし、今の私たちの教室の在り方にも、また価値があるのではないかと考えている次第です。そんな方針の学習塾に興味がありましたら、気軽に学習相談にお越しください。


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