【中学受験】「1月受験」について思うこと@2022年

 去年、このような記事を書かせていただきました。

 この時期になると、1月受験について考えている方が多いかと思いますので、今年も1月受験についての記事を書こうと思います。去年の記事で書いたことには触れませんので、よろしければ、合わせてご覧ください。

 「1月受験」とは、東京神奈川の受験が解禁される前の1月に行われる、千葉・埼玉・その他の地域の受験を指すものです。ゆえにこの記事は、主に東京神奈川の受験生を対象に書かれているものになります。

 さて、去年の記事でも書かせていただきましたが、塾講師の立場から申し上げると、1月受験はした方が良いです。お金のかかるものですし、進学する気の無い学校を受ける必要があるのかという考えになる方も多いかと思いますが、やはりその経験値は2月の受験に影響しているように感じます。結果論でしかないのですが、その経験があったからこそ落ち着いて2月1日午前の入試に挑めたという子は多いはずです。ゆえに、1月受験をお勧めするという考えは、大前提にあります。

 ただし、受験する学校は1校で良いと考えます。そんなに多くの経験を積む必要はありません。受験数が多いと、かえって疲れがたまって息切れすることもあるでしょう。ちょっと前の記事で、「受験生は1月も成長する」という話を書きましたが、あまりに多くの学校を受験してしまっては、かえって成長するための時間と体力と精神力を消耗してしまう危険性もあります。

 ゆえに、1月受験校は、
1.通っている学習塾の授業と重ならない日程の学校を選ぶ。
2.極力近い受験会場の学校を選ぶ。
3.受験者数が多すぎない学校を選ぶ。
の3点で判断すると良いでしょう。「3」については、受験者数が多すぎると、子供はそれだけで人疲れしてしまうようです。

 ちなみに、私たちの教室では、今年は女の子だけの学年なので盛岡白百合をお勧めさせていただいております。

その理由は、上記のものに加えて、
4.学校会場の雰囲気を味わってもらう。
5.女子だけの受験を経験してもらう。
の2点で考えております。
 そのため、本来土曜日は授業日ですが、授業をお休みしています。ただし、受験しない子用の「自習室指導」を行います。

 もちろん、上記のような形以外でも、様々な「1月受験」があるでしょう。
 千葉に出やすい東京東部の子達の受験は、千葉の学校が本命になることや進学前提の抑え校になることもあるでしょう。城南地域でも、京浜東北線沿線やりんかい線沿線のご家庭は、千葉の学校が進学先に入ってくることもあると思います。
 東京北部の子達は、埼玉の学校が本命校や進学前提の抑え校になる子もいるはずです。横須賀線・埼京線沿線は、意外と埼玉に通いやすいということもあります。また、新幹線を使って通学するという方法も考えられないわけではありません。
 また、男子の場合は、寮のある学校を本命校として受験する子も、少なからずいます。そういう風に、1月受験を進学前提で考えている方は、この記事は関係ないかもしれません。

 マンガ版の『2月の勝者』では、ちょうど「1月受験」の場面を描いていますが、個人的な感想を申し上げれば、ステルスマーケティングになっているような気しかしません。どうも、「上位生は千葉・埼玉の難関校受験をするのが当たり前」という描き方がされているように見えます。それが、まるで美徳であるかのように表現している場面も見受けられます。
 確かに、私が最初に勤めていた学習塾では、1月受験の受験者数を増やすのが会社の方針でした。可能性が0ではない子は、千葉の渋谷幕張市川東邦大東邦の3校に受験に行ってもらいました。当時は、そういう進路指導しか知らなかったので、それを当たり前だと思っていました。だから、転職した先の学習塾の1月受験で、大半の先生が「授業を優先してください」「無駄に多く受けないでください」とあっさりした進路指導していたことに驚きました。多くの子には、佐久長聖秀光などの都心の受験会場で首都圏入試を受けさせて終わりでした。
 ある先生が、「そこを本命校として受けに行く子がいるのに、進学する気の無い子が受験しに行ったら邪魔でしょ。うちは、その学校を本命校にする子がいる地域にも校舎があるし」とおっしゃっていたのを聞いて、至極真っ当な話だと思ったことを思い出します。
 確かに、千葉や埼玉の1月受験で落ちてしまい、不安な気持ちで2月に再受験をしなければならないご家庭の気持ちを考えれば、おいそれと合格実績のために1月受験はできないものです。
 1月受験に関して、思いやりのある進路指導をしている講師や、そういう方針の大手学習塾を知っているだけに、『2月の勝者』の「1月受験」の描き方に不満を抱くところがあります。

 少し話が脱線しましたが、話題をまとめますと、1月受験は必要最低限の経験を回収するだけでかまいません。また、個人的には進学意思が無い場合は、他地域の首都圏入試を活用する方が思いやりがあると考えています。
 1月は私立学校にとっても稼ぎ時ですし、経営のことを考えれば、その利益も捨てがたいものかもしれません。ただ、色々なところで受験生のご家庭が疲弊する危険性を考えれば、今の流れはどこかで変わればと思うところです。
 この記事を読んでくださった方には、1月受験でストレスを感じずに、2月受験に進んでほしいと願っております。残すところ、あとわずかではありますが、ぜひとも頑張ってください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?