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汗と泥まみれの中で

日本に一時帰国して、4ヶ月。
懐かしの日本食でお腹周りがひと回り大きくなった気がする(少なく見積もって)

美味しい日本食を口いっぱいに頬張り、満喫しながらも、当初の目的をふと思い出す。
そう、日本に帰ってきた目的はただ一つ。
「貯金をすること」
シンプルイズベスト。

なぜ貯金する必要があるのかというと、ドイツでの学生ビザを取得するためだ。
まぁ、細々とルールがあるのだが、それは追々説明しよう。

問題は、約半年の間にガッポリ稼げるバイトができるかということだ。

経験を積めばドイツでも役に立つと思い、無印良品に飛び込み、バイトの面接をしてもらえた。

面接も好印象だったはず。髪型以外は。
コミュニケーション力だってあるはずだ。(全部主観)

が、しかし、そんなに世の中甘くない。
不採用だった。そりゃ、短期希望だもの。

そんなこんなでタウンワークを握りしめ、興味があるバイトに片っ端から連絡する。
履歴書も書く。送る。面接をする。繰り返す。

しかし、結局、不採用。 
そりゃそうだ、短期希望だもの。
(髪型のせいかもしれないといよいよ思い始める)

ふーむ、どーしたものか。困った。髪は切りたくない。
このままでは、ただ太りに日本に帰ってきたようなものだ。

そんな途方に暮れている中、
数少ない昔からの友人が連絡をくれた。
彼とは、21歳の頃、ヒッチハイクをした幼なじみだ。

連絡の内容は「今の会社で短期でバイトできるけどくるー?」という話だ。 

ありがたい。ありがたすぎる。甘んじる。
ぜひー♪ということで、返事をした。

そして、今、どこにいるかって?
私は今、森の中にいる。
ざー、ざーと雨の音だけが聞こえる森の中だ。
霧も濃く、10m先は真っ白だ。
蒸し暑さによる汗なのか、
雨に濡れたからなのかわからないが
びしょ濡れだ。
おまけに泥もべったりだ。

なんで森の中にいるかって?
友達の紹介は土木現場の仕事だったからだ。
平日、フルタイム。
おかげ様で普通のバイトより稼がせてもらっている。
さらに、200段くらいの階段の登り降りで、
腹回りもほんの少し痩せた気がする。

私は会社を辞めてドイツに行く前は、
自慢ではないが、エンジニアとして当時120万くらいするビジネスクラスの世界一周チケットで出張に行った経験もある。

それが、今は森の中だ。
ビジネスクラスの座席どころか、
地べたに座っている。

この状況だけを聴くと、多くの人は、
「ドイツに行かなければよかったのに」とか「無謀な挑戦をするからだ」と思うだろう。

ただ、残念ながら当の本人はそう思っていない。
自分の選択は間違っていないと思うし、この仕事の経験はいつか活きると信じているからだ。そして、絶対にデザイナーになるという覚悟があるからだ。

そんなこんなで、雨の森の中にいる。
汗と泥まみれになりながら、
自然の中で、何かデザインに活かせることはないかと草木を眺めながら、今日もデザインを考えている。



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