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振られた男㉔ 78日目:親戚の人への対応

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78日目 親戚の人への対応

おじいちゃんが死んだ。
訃報が入った時、僕は仕事をしていた。
病にかかり、この三ヶ月くらいはいつ亡くなってもおかしくない状況が続いていた。
ちょうど彼女とギスギスし始めた頃におじいちゃんが体調を崩していた。

お通夜が終わり、そのままお食事の席に向かう。
29歳になる僕には苦痛の時間が始まる。
「坊主はそろそろ結婚しねえのか?」
よくわからん親族がいきなり話しかけてきた。
後から聞くとおじいちゃんの妹の旦那さんと知った。
小さい頃は会ったことあるかもしれないが、、もう20年は話したことがないのに。
相手も自分も町であったら絶対に挨拶もしないだろう。
お互いの顔を認識していないだろうから。
だから今もそこそこの歳なのに嫁といないから声をかけただけだろう。
軽くお酒入ってるし。
このように、田舎では今の時代に逆流していることが多々ある。
でも、そこに対して、この指摘をしたことで空振りに終わる。
治す気ないし、治らないだろうから。

「最近まで長く付き合っていたんですけど別れちゃいまして~。」
精一杯の愛想笑いで対応する。
「あんた!失礼だよ!今そんなこと聞いちゃダメなのよ!ごめんねー」
おじいちゃんの妹がさえぎってくれた。旦那さんはもごもご言っていたがそれ以上追及してこなかった。

「久しぶり!」
「あ、お久しぶりです。こんにちは。」
お父さんの兄弟夫婦が話しかけてきた。

「まあ、おじさんのああいうの気にしなくていいからね?」
先程の話を聞いていたのだろう。慰めてきた。
「でもなんでわかれちゃったの?」
結局お前も聞くんかい。そういうとこ。と思いつつ言ってもわからないので当たり障りなく答える。
「結婚のタイミングとか考え方とかそういうのが中々合わなくて。」
「そうなのね。大変だもんね。」
「はい。」
目で制してこれ以上は聞かれないようにする。
向こうも空気を察したのか別の所へ去っていった。
多分場所が違ったらもっと深ぼられていたなと疲れがどっと来る。

いつも疑問に思う。
なぜお通夜や葬式の場ではあんなに泣いて休憩室では嘘だったかのようにケラケラと話せるのだろうか?
それは誰かが空気を和まそうとしているのか?
だとしたらこんな食事の場自体不要だと思う。
どうせ話すこともないんだから、共通の話題となると孫世代の結婚とか子供ができたかなどしか話さないのだから。

こんな考えになってしまうのはまだ社会経験が少ないからだろうか?

ただ、おじいちゃんには結婚相手を紹介したかったな。
何年後になるかわからないが、必ず結婚相手とお墓参りにいくよ。
ごめんねおじいちゃん。それまで待っててね。

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