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【小説】ケータイショップのヤバい奴ら①入社

201×年4月に入社した会社は、Web広告事業部とモバイル販売事業部と留学生就職サポート事業部をやっていた。
「1×年入社の君たち7人は、全員、広告事業になると思う!来季からはそこを強化したいと考えているんだ!君たちの若い力と柔軟性をこの会社で生かしてほしいんだ!」
内定者懇親会で、社長と、専務の会社のツートップは、熱い情熱を言葉に込めて僕たちにぶつけた。
他にも内定はもらっていたが、その情熱に心地よさを感じて、この会社に就職を決めた。

そして、4月。
内定者懇親会にいた内の4人が入社し、1週間のマナー研修を受けた。
そして、マナー研修後に、全員モバイル販売事業部に配属された。

「部長。内定者懇親会では、広告事業部になると思うって言われたんですが、、」
「なる”かも”しれないでしょ?」
部長は笑顔を崩さない。
「そうですね。」
「断定してないよね?ここでいい成績出して広告事業に行く人もいるから頑張って!」
こうして、201×年入社の全員がはめられた。

「上村さん、こんなことってあるんですね。」
僕と同期の中嶋君は、1年先輩で指導係の上村さんに聞いた。
「うん。ここはそういう会社。私達の代も聞く?」

201×年入社の1年前の内定者懇親会
「201△年入社のみんなには、世界と日本を繋ぐという素晴らしい業務についてもらう!僕たちは、世界と日本の友好の懸け橋なんだ。どんどん外国籍の方のサポートをしてもらうからそのつもりでいてほしい!」
「この言葉にみんなテンションが上がったの。内定者全員が入社したんだもん。」
「1つ上の年の人でモバイル部門が少ないのは留学生をサポートしているからなのか!」
「違うの。人が少ないのは、15人やめたから。」
「え!」
「021△入社も20人全員がモバイルに配属されたの。」
「・・・」
「あ、でもね、あなたたちと1つ違うのが、名札に”外国語対応”ってネームプレートはもらったけどね。」
上村は自分の胸元を指さして自虐的に笑う。
「月に1人も外国籍の人が来ないことあるけどね。」
上村の悲しそうな顔をただただ見守ることしかできない二人だった。

【ケータイショップあるある①人材不足を補うために採用がでたらめ】


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