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静かな夜に思うこと

山道をバスがどんどん進んでいく。
葉の付いていない枝のカタチがくっきりと見えて、綺麗だと思った。
普段枝のカタチなんて目に入っていないのに何故かと考えて、地面の雪の白が、枝のカタチを浮かび上がらせているのだと気付く。

軽井沢の山奥の小さなホテルで過ごす夜。
外は真っ暗で、たまに通る車のヘッドライトが雪の積もった外の様子を照らし出す。
建物の中はストーブと暖炉のおかげでとても暖かい。
温もりを感じる一方で、
”もし外へ出たら、迷子になってしまったら、死んでしまうんだろうな”
と、ふと考えた。
都会で生活していると考えもしない事だけど、人の気配がなく、完成された空間が、山奥の静寂と暗闇が、私に死の気配を感じさせた。
夢の中にいるような、不思議な夜。

「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている」

暗くてほとんど何も見えない、窓の外を眺めている時に教えてもらった言葉。
調べてみるとニーチェの言葉で、「深淵」は水深が深く、澱んでいる場所を指す言葉らしいので、若干シュチュエーションは違うのだけれど、その言葉にドキドキした。
意味は「乗り越えるべき悪や問題に立ち向かうことに没頭しすぎると、いつしか我を失って自分自身が悪い方向に影響されてしまう可能性がある」ということらしい。
暗闇の中を探り探り進むのは、誰しも怖いし、我を失う危険性もはらんでいる。
自分自身はどこへいくのか、私はまだ見えていない。


(静かな雰囲気ってポエティックな感じに飲まれることもあるんや!という気づきも得ました!)

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