見出し画像

気分転換のお手伝いをするよ #言葉を宿したモノたち

ここで語られる物語は、あるルールに沿って書かれています。そのルールとは・・・

身の回りにあるモノをヒトに見立てて、そのモノから世界がどう見えているかを正体を明かさずに書くこと。

つまり、『擬人化』手法で書かれた物語。

この物語の【ぼく】は何だと思いますか?

--------------------------------------------------------------

ぼくと一緒に過ごしたことがない人って、いるのかな。

ぼくはいつだって、だれだって受け入れるよ。ここに来てくれさえしたら。

雨の日も晴れの日も、暑い日だって寒い日だって、朝から夜中までずっと待ってるよ。きみが来るのをずぅーっと待ってるよ。

ぼくのそばにいたら、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、非日常を味わえるよ。ゆ~らゆら。

大人になったからぼくのところに来るのがはずかしいなんて、そんなふうに思わないでほしいな。

ぼくはいつだって待ってる。きみが来るのを待ってるよ。

なにかモヤモヤしているとき。気分転換のお手伝いなら、ぼくにだってできるかもしれない。

ときどきね、夜、大人が来ることがあるんだ。

1人で来るひとは、だいたい飲み物をもっている。お酒とか、あったかいコーヒーとか。

そして、「はぁーっ」なんてため息をついてる。ちょっと上のほうを見上げたりしてね。

ため息をつく大人を見ていると、なにかムズカシイことを考えているのかな、なんだか苦しそうだなって、ぼくは思うんだよ。

ぼくができるのは、ただそこにいて、その人を支えてあげること。その人の重みをしっかりと受け止めて。

しばらくするとその人は、両手でぼくのことをギュッと握ってくれる。そう、昔みたいにね。「懐かしいなぁ」なんてつぶやいてくれる。

嬉しくなったぼくは、その人をちょっとだけ非日常に連れて行ってあげるんだ。風を切って。

しばらくそうしていると、なにかが吹っ切れたようにその人は去っていく。

あぁ、こんなぼくでもなにかの役に立ったのかな。そう思うと嬉しくなるよ。

大人になるとみんな忙しいのか、全然来てくれない。ぼくだってほんとうは寂しいんだよ。

だから久しぶりにおいでよ。少しだけでもいいから。

ぼくはね、大人になったきみをいつだって待ってるよ。

大きくなったきみの姿を、ぼくに見せに来てよ。あのころみたいに、一緒に風を切ろう。

--------------------------------------------------------------

こちらの企画に参加しています。

開催日は、2020年11月2日(月)~11月4日の3日間。ハッシュタグ【 #言葉を宿したモノたち 】を付けてnoteに文章をアップするだけで参加できますよ。

これね、企画の肝は読者なんです。

つまり、読んだ方が、どういったモノからの目線でこの物語が描かれているかを想像し、コメントを付ける。noteのコメント欄であっても、Twitterシェアによる引用コメントでもOK。すると、大喜利のような空間になるかなぁって。

企画の主役は読者ですよ。ガチコメントも良し。もちろんボケも良し。

みんなでワイワイしましょう!

大切な時間を使って最後まで読んでくれてありがとうございます。あなたの心に、ほんの少しでもなにかを残せたのであればいいな。 スキ、コメント、サポート、どれもとても励みになります。