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モデルガン

 中学3年間が一番多感な時期であろう。音楽もそうだし、小説や漫画やドラマや、異性やスポーツや勉強やその他もろもろ。
 そんな時期に凝っていたものがある。
 モデルガンだ。
 MGCというモデルガン屋とコクサイというモデルガン屋があり、休みの日には自転車で友達と紙屋町まで1時間かけて、いったものだ。1年生の頃である。
 お小遣いをためて、初めてのモデルガン、コルトローマン375口径を買ったときは嬉しかった。それから何個か買ったり貰ったりした。  
 主に僕のモデルガンはPC製でそれも十分満足だったが、なかには本物に近い重厚感を求めて金属製を購入するものがいた。
 モデルガンの規制は厳しく、金属製は必ず金色にしなければならなかったので、マニアはそれを、サンドペーパーで磨き、黒色にしていた。ひどい奴になると、塞いである銃口に穴をあけて、(古い規制の甘かった時代のモデルガンは結構簡単に開く)実弾(自分でつくったのか?)を発射してガンが耐え切れず爆発して壊れたことがあったらしい。聞いた話だが。
 僕は改造はしていないが(PCではやりようがない)ばらして中の構造を調べたりして研究した。拳銃の理屈は今でも覚えている。
 僕らは原っぱで、モデルガンでサバイバルゲームみたいなことをして遊んだ。音はでるが、発射はしない。中学生1年生とは幼稚性からまだ抜け出せないでいる年ごろである。
 ある日、結構入り浸っていたコクサイの販売店の社長?と従業員?が新聞に載った。モデルガン改造で逮捕されているのだ。びびった。そんな人たちのところへ入り浸っていたのか。店は閉鎖された。行くところはMGCだけになったが、そのうち行かなくなった。別に興味が湧いたものが現れたからである。ビートルズとギターだった。
 ビートルズで音楽に目覚めた僕は、もうモデルガンに見向きもしなかった。
 しばらく飾っていたモデルガンもサビだらけになり動かなくなった。表面はPCだが、中は金属だったからだ。
 この稿を書くに当たって押し入れ深く保管してあったモデルガンを出してみた。ボロボロではあるが、懐かしい。
 今はMGCもコクサイもつぶれてなくなったと聞いているが、詳しいことはわからないし、どうでもいい。
 

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