見出し画像

ミニトマト

 仕事を辞めた俺は医師から園芸でもやってみては、と勧められたのをきっかけに、自分が勤めていたホームセンターにいってミニトマトと土と鉢と肥料と鉢底石と支柱を買った。ミニトマト栽培キットなんてものはないから、自分で選んで、一番安いので揃えた。
 早速家に帰ってセッティングをした。わずか10分足らずのことだ。
 あとは成長をまつばかりなり。
 ほんの10cmくらいの苗がゆっくりゆっくりと伸びていった。
 花が咲いて実になって青い実が赤くなれば食べごろだ。
 ミニトマトは実に従順にまっすぐ成長していった。脇芽は基本的に摘んだ。一回、青虫がいたこともあったが、つまんで捨てた。あとは虫に危害を加えられることはなかった。
 花が咲いた。チョンチョンとそのたびにはじいてやる。こうすることにより、おしべとめしべがつきやすくなるのだ。
 ミニトマトだけではつまらなくなったので、ハーブと日日草を買ってきて植えた。あとでポーチュラカも買った。どれも順調に育っていってくれている。変な虫がくるわけでもない。なるほど意外と簡単なものだな、と今まで売っておきながら、無責任に感心した。
 ポーチュラカも日日草もパーッと広がり、ベランダは華やかになった。ハーブも伸びて、お茶にして飲んだ。
 ミニトマトもついに実が次々と赤くなり始めた。千切って朝食にした。皮が堅かった。それから少しずつ実はできていった。
 夏も終わりかけになると、実はたくさんあるが、青いまま成長しない実ばかりが残り、トマトの木は成長しすぎて背も支柱もはるかに越えてダラーンと垂れ下がってきていた。
 もはやこれまでと思った私は、実をすべて取り、ビニル袋に入れ、ベランダに吊るした。伸びきった木はゴミ袋に入るくらいに折って土と一緒に捨てた。
 吊るした実は数日後、全て赤くなった。最後においしく頂きました。
 ミニトマトいいやんけ、失敗のひとつもないと文章としてはおもしろくもなんともないのだが、さすがに買ったのは初心者向きのミニトマトであった。ホームセンターに勤めていたのだから失敗したら恥ずかしい。いくら工具を担当してたからといってもだ。というわけでミニトマトは無事成功に終わりました。
 調子に乗った私はコカブの種を買ってきて植えだした。するとまるでスプラウトのごとくバーッと芽がでてきた。これから間引きをしないといけない。どんどん摘んで食べた。そうしていても芽は十分には伸びず、結局コカブとはいえ、ビー玉くらいにしか成長しなかった。葉っぱ食っただけで元は取れたかもしれないけど、失敗に終わった。
 春になればどうしようか何を植えようかと現在考え中である。



この記事が参加している募集

#わたしの野菜づくり

3,777件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?