マッテイル
従順であろうとする籠の鳥は
籠の扉が開いているのに
気づかないふりで鳴いている
いつも冷静な窓辺の植物は
そのことを知っていて
余所見している
蛍光灯が日かりより
悲しみを露わにし
ポテトチップスの塩味が
異物みたいに尖った夜
時間機械は速度を上げる
野に放とう
小鳥はマッテイル
私の手でのみ
もとの空に還るために
私はマッテイル
彼方の導きを
新たな羅針とするために
壊れ続ける明日を
零れ落ちる今日を
愛しむことはやめにして
振られる手の意味を
きっぱり受け入れ
開いた扉を脱けていくのだ
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