第五話 ハチダラケ
前回までのあらすじ
ぼうぼうに草の生え始めた夏の庭を片付けながら、庭再生の日誌を書くことを決めた。タイトルはぼうぼう庭日誌。
第五話『ハチダラケ』
この日誌をつけ始める前に、所々の草刈りは既に初めている。その作業の中で気がついたのはタイトルにある「ハチダラケ」ということ。ハチといっても蜂ではない。鉢である。叔母は次々と鉢の植物を購入しては植え、また放置して枯らせもしたのだろう。尋常ではない鉢が庭の至る所に転がっている。業者が塀に寄せ集めたもの以外にも草むらの中や寄せ植えの下から鉢が出てくる。草刈りも大事だけれどこの異様に広がっている鉢の山もどこかにまとめて片付けなければならない。そこで、散らばっている鉢を材質や色、形などで大雑把に分け、放置されていた木の棚にまとめることにした。
プラスチック製の鉢が多い。放置されて土だけになったものや、中を蟻に占拠されひっくり返すと腐った根っこと共に多量の蟻が溢れ出したものもあった。素焼きのものは使いやすいので率先して再利用することにした。てかてかとした白い鉢はどうも庭には合わないような気がして、一旦まとめてはみたもののそのうち捨てることになりそうだ。
よくわからないのは、土だけになった鉢をひっくり返すと、中から発泡スチロールの小片がゴソゴソと出てくること。通気性を良くするためなのか、水切れを良くするためなのか、全く理解できない。土の中に発泡スチロールの断片を混ぜ込むこと。気持ち悪い。
土は再利用するために一箇所へまとめてほぐし、発泡スチロールはゴミ箱へ放り込んだ。もう一つついでに苦手なものを片付けた。それは土に刺して使う小さな外灯。てっぺんにつけた太陽光パネルで蓄電し、夜に庭を細々と照らす照明器具。これが嫌い。安直な感じがするし、見た目が悪い。それに割とすぐ壊れるらしく光もしないのに土に何本も刺さっているのが苦手。ということで数本除去した。出だしは捨てるものが多そうだ。
片付けと草むしりが進むと、いくつか発見もあった。レモンか何か柑橘系の若い芽がみつかった。切り株の横からちょこっと出てきて育ったようだ。それから壁際にクリスマスローズと思われる芽も見つかった。葉が一枚きりなので育つかは不明。
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