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16の思いも天にのぼる④恵美(5)

 一年後、恵美は大学受験の勉強をしながら、これまで通り友だちの相談に乗っていた。
 恵美が大学進学を決めたのは、広の死後のことだった。
 人のちょっとした変化や感情の出し方が人にとよって違うことに気づけず、彼女に傷つける言葉をかけてしまったこと、友だちはお礼を言ってくれたが、もっと違う支え方があったのではないか、人を貶めることで他の子を支えるのは違うのではないか、と心の中に深く刻み込まれた。
 その経験をばねに、将来心理カウンセラーになりたいと考えるようになった。
自分たちと同じ経験をした子や、困っている人をちゃんと支え、助けてあげられるようになりたくて。
恵美は心理学で有名な大学進学を決め、広の死後、勉強に力を入れてきた。
相談された時は、人の表面だけを見て、その人の心の中まで決めることをやめた。
苦しんでいるなと分かっても相談されない時は、強引に相談にのることもやめた。
自分の出来る範囲で、友だちを支えることに力を入れた。
(これは、広君と美奈子と幸子のお陰で切り開こうとしている道。三人に感謝)
 恵美は折れそうになると、広と彼女の関係や、友だちの式での顔を思い出し、自分を奮い立たせ、一生懸命未来に向かって、進んでいた。

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