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「悪は存在しない」

「悪は存在しない」を鑑賞
ネタバレ全開

鑑賞直後の感想「ここで切るのか?」

この作品における「悪」とは何なのか?
タイトルの「悪は存在しない」観る前は何とも思わなかったこの簡単な言葉の羅列が
鑑賞後はどこに「悪」があるのか「悪」はどう存在しなかったのかが鳴りやまない不思議で的確なタイトル


「EVIL DOES NOT EXIST」

人間は言葉を扱う
言葉の「列」に引っ張られる。悪という言葉は人間の勝手な区分けで森や山からしたら悪なんて存在しない

色の対比が面白い「青(田舎) vs 赤(都会)」から「青(自然) vs 赤(人間)」への移行
入り口が田舎vs都会なのだろうなと思わせつつ実は自然vs人間である事が分かり田舎の人間も実は自然と対立する反対側なのだ。
主人公巧と娘の花は最後まで「青」
そこに来る芸能プロダクションの高橋と黛。



黛は紫色。高橋は赤いダウンジャケットの下に紫のセーターを着ている
この2人は青(自然田舎)と赤(人間都会)の対比に挟まれた中間の迷いが現れていて移動車中の(非常に面白い)会話を潜り抜けると色の対比が上手く刺さる絵作りになってる。

様々な場面で意図的に切れてる(映さない)シーンがある
保育園の帰り娘が車に乗車するシーンがない、うどんは既に食い終わってる、ピアノを弾きそうで弾かない、沸騰してお茶入れるかと思ったら入れない、酒を受け取らない、鹿が撃たれる瞬間は音のみ
山や森の視点として「文明」を許したわけでは無いという意思表示なのか?
対してチェンソーで丸太を切ったり薪を割るシーン水をくむシーンは長く映されてる。主人公巧は許された部分なのか?

森の中地面に横たわってた鹿の死骸は主人公の妻と重なっているのではないか?主人公巧と娘の花はあの死骸の鹿の家族なのではないか?もしくは主人公巧と娘の花は鹿の家族が乗り移った鹿人間なのではないか?
遠くの鹿が撃たれた銃声を聴いて主人公巧は思い出したかの様に他人事と思えなくなる。あの瞬間主人公巧と娘の花は鹿の親子と同期しているのではないか?

町中に迷子のお知らせが流れ
陽も落ち夜の捜索となるかと思いきや急に明るい場に移りその異空間にも感じる所に銃で撃たれた鹿と対峙する娘を見付ける。
ラスト赤いダウンジャケットの高橋が娘の花を助けに動くのを主人公巧が阻むのは主人公親子が鹿と同期して人間が人間を助けるという概念が曖昧な空間に切り替わっている山の視点状態になりその場には「悪は存在しない」

実はこの曖昧さ区分けのし難い状態の維持こそ昨今の争いを避ける1つの解決法なのかもしれない
つい敵対する相手に対応しようとすると知らぬ間に相手のルール上に乗っていて気付いたら争いに発展しているという場合がよくある。しかし今作の主人公巧は「都会や(田舎を含む)人間」のルールの上には最後乗らずに終わらせた。

まあ、解決法とか書いてる時点で人間のエゴが出でますね。
読み返すと「?」の多い文章になった。タイトルを含めてどこを見ても疑問にぶち当たる作品だ。面白い。

遠くでパァンと鹿を撃つ銃声が山に響く
狙撃手はおそらく友情出演の東出昌大
アレ?おかしいなCASTクレジットに載ってないや

おしまい

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