奥山いずみ

1993年生まれ。読書と短歌と野菜がすきな社会人。 Instagramで読書記録を投稿…

奥山いずみ

1993年生まれ。読書と短歌と野菜がすきな社会人。 Instagramで読書記録を投稿しています。

マガジン

  • 短歌とショートエッセイ

    短歌+ショートエッセイを日々つづります。

  • 小説・エッセイ

    掲載していただいた小説・エッセイの情報や、日々のことをつづったショートエッセイを載せています。

最近の記事

短歌+ショートエッセイ:真ん中にない中心

としん、としん せり上がりゆく心音を感じて都心という場所をゆく /奥山いずみ  東京出身っていっても、西東京だから……。  こういう謙遜?の言葉を言われたことがある。西東京はみんなが思っているいわゆる東京とは異なります、という東京都民のリアルを語るひと言なのだろう。  同じ用例として、横浜っていっても○○だから……などもあって、いずれにしてもthe 東京・the 横浜ではない場所が東京にも横浜にもあるということなんだと思う。まあ、茨城出身からすると、どっちも東京だし横

    • 短歌+ショートエッセイ:言葉がなじんでゆく

      あたらしい言葉はすこしずつなじむあなたが記憶になったあとでも /奥山いずみ  先日、純喫茶というところに久しぶりに行った。  古めかしい建物に、なじみらしいお客が思い思いの時間を過ごしていて、ゆったりとしたいい空間。  ふと、角の席が空いたとき、店員さんが靴を脱いで椅子の上に立った。店の天井近くの棚にプレイヤーが設置してあって、手動でCDを交換していたのだ。  それまではくぐもった声の女性歌手の歌がずっと流れていたが、CDが入れ替えられたことで昭和から平成一桁年代くらいの

      • 短歌+ショートエッセイ:湿気をまとって

        湿原のワンピースを着て森と川、町から町へ雨を降らせる /奥山いずみ  言葉にすると身も蓋もないが、高温多湿が不快である。  汗もうまく乾かなくて身体じゅうぺたぺたするし、気圧とあいまってか頭痛がするときまである。  ……と、ぶちくさ言っていても楽しくはないので、少し想像を膨らませてみることにする。  例えば、この湿気が全部、一枚の服だったらどうだろう、とか。身にまとわりつく感じがなんとなく、衣服のような感じがするからそんなことが思い浮かんだのだ。  いったん設定が決まる

        • 短歌+ショートエッセイ:影の美しい季節

           これからときどき、日常のことと、それにちなんで詠んだ短歌をつづっていこうと思う。なんでもない出来事も、言葉にして、さらに短歌の形にもしてみると少し面白いのでは……なんて考えたのだ。  初回は、散歩しつつ感じたことについて。 ゆれている葉陰のうえを渡りゆくあいだに季節がめぐっていたの 奥山いずみ  この前、道を歩きながら、今の時期は一年のなかでも特に影が美しい季節なのではないかと気がついた。  残暑で光がまぶしくて影がくっきり浮かび、一方、太陽のめぐりは確実に傾きつつあっ

        短歌+ショートエッセイ:真ん中にない中心

        マガジン

        • 短歌とショートエッセイ
          13本
        • 小説・エッセイ
          5本

        記事

          展覧会「走泥社再考 ‐ 前衛陶芸が生まれた時代」

          前衛陶芸の黎明を見つめ直す「走泥社再考」 先日、東京・港区にある菊池寛実記念 智美術館の「走泥社再考 ‐ 前衛陶芸が生まれた時代」を拝見してきました。 戦後日本で誕生した前衛陶芸集団「走泥社」の活動を見つめ直す本展覧会、会場には走泥社同人の有名作品がたくさん並んでいました。 このなかで個人的に一番好きなのが、鈴木治による作品「馬」。 鈴木は走泥社発足から関わるキーメンバーの一人であり、特に馬をモチーフとした作品を複数生み出しました。 「馬」と題される作品がいくつかある

          展覧会「走泥社再考 ‐ 前衛陶芸が生まれた時代」

          2023年 新聞歌壇に掲載いただいた短歌

          こんにちは。奥山いずみです。 社会人をしながら、短歌を趣味でつくっていて、新聞歌壇に投稿しています。 今年の締めくくりに、自分用の記録もかねて新聞歌壇で掲載いただいた短歌をまとめておきたいと思います。 東京歌壇 東直子選 2月26日 つぶされたトマトの呻き声のよう遠くで回転するチェーンソー 4月16日 丹念に湯葉をはがして食べながらあなたは話す終わった恋を 4月30日 骨折ののち捨てられたビニ傘が閉じたすがたで受ける春雨 6月25日 取り壊す日を待つビルの輪郭は夕

          2023年 新聞歌壇に掲載いただいた短歌

          2023年上半期 新聞歌壇に掲載いただいた短歌

          こんにちは、社会人をしつつ趣味で短歌を詠んでいる奥山いずみと申します。 記録用に、今年上半期(1~6月)に掲載いただいた短歌を投稿します。 最後の方に、個人的な振り返りも載せてみました。それではどうぞ。 毎日歌壇 伊藤一彦選 2月6日 ながされる草舟のような日々のなか空の容器に砂糖をみたす 2月27日 霧雨に輪郭線をうばわれてふやふやなままふたりであるく (※掲載時は、「うばわれて→うばはれて」となっています) 3月14日 息をするたび重くなる感情を銀のスプーンで掬い

          2023年上半期 新聞歌壇に掲載いただいた短歌

          2023.01.29付 #東京歌壇 佐佐木幸綱先生の選で掲載いただきました。ありがとうございました。 シーグラスおはじきのようにぶつけ合うとおくに海を感じる町で /奥山いずみ

          2023.01.29付 #東京歌壇 佐佐木幸綱先生の選で掲載いただきました。ありがとうございました。 シーグラスおはじきのようにぶつけ合うとおくに海を感じる町で /奥山いずみ

          2023.01.15付 #東京歌壇 佐佐木幸綱先生の選で掲載いただきました。ありがとうございました。 顔色をうかがいながら笑ってる鞄のファーの繊(ほそ)い毛羽立ち /奥山いずみ

          2023.01.15付 #東京歌壇 佐佐木幸綱先生の選で掲載いただきました。ありがとうございました。 顔色をうかがいながら笑ってる鞄のファーの繊(ほそ)い毛羽立ち /奥山いずみ

          #2022年の自選五首を呟く #短歌 #tanka #新聞歌壇 今年の自選五首です。 今年ははじめて短歌同人誌に参加して、新たなつながりを得られた一年でした。 来年はさらに創作的な一年にしたいな。 来年もどうぞよろしくお願いいたします✨🐰

          #2022年の自選五首を呟く #短歌 #tanka #新聞歌壇 今年の自選五首です。 今年ははじめて短歌同人誌に参加して、新たなつながりを得られた一年でした。 来年はさらに創作的な一年にしたいな。 来年もどうぞよろしくお願いいたします✨🐰

          2022年掲載いただいた短歌

          こんにちは。奥山いずみです。普段は社会人をしつつ、短歌を詠んで新聞歌壇に投稿しています。 2022年に掲載いただいた短歌をこちらでも掲載していきます。ちいさなギャラリーを訪れた感覚で眺めていただけますとさいわいです(^^) ご覧いただき、ありがとうございました^^ 今年は短歌同人誌「砂糖水」「絶島」に参加し、短歌の新たなご縁をいただけた年でした。 来年はさらにチャレンジしたいこともあるので、またこの場でご報告できればいいなと思っています。 それでは皆さん、よいお年をお迎

          2022年掲載いただいた短歌

          2022.12.04付 #東京歌壇 佐佐木幸綱選として掲載いただきました。ありがとうございました。 ゆるやかにはじまってゆく年末よハロウィン横のおせちの告知 (奥山いずみ) #短歌

          2022.12.04付 #東京歌壇 佐佐木幸綱選として掲載いただきました。ありがとうございました。 ゆるやかにはじまってゆく年末よハロウィン横のおせちの告知 (奥山いずみ) #短歌

          2022.12.18付 #東京歌壇 東直子選として掲載いただきました。 ありがとうございます。 満員の列車いくつも見送って翅のない蝶のように佇む (奥山いずみ) 11.20投稿です。 #短歌

          2022.12.18付 #東京歌壇 東直子選として掲載いただきました。 ありがとうございます。 満員の列車いくつも見送って翅のない蝶のように佇む (奥山いずみ) 11.20投稿です。 #短歌

          【東京歌壇掲載】デスクチェアに正座

          2022年11月27日 東京歌壇の東直子選として掲載いただきました。ありがとうございました。 2022.10.30投稿。

          【東京歌壇掲載】デスクチェアに正座

          【東京歌壇掲載】赤を窮めて

          2022年10月30日 東京歌壇の佐佐木幸綱選として掲載いただきました。ありがとうございました。 2022.10.02応募。

          【東京歌壇掲載】赤を窮めて

          2021年後半 掲載いただいた短歌など

          新聞歌壇などで短歌を掲載いただきました。秋には少し短歌から離れてしまっていましたが、冬からまた掲載いただき、とてもうれしかったです。 また、小説、エッセイなども掲載いただくことができました。それぞれ、下記にまとめていきたいと思います。 2021年後半 掲載いただいた短歌 空白をなるべくうさぎで満たしなさいそれからわたしを抱きしめなさい (NHK短歌 大森静佳さん選 テーマ「不思議な歌」7月号 佳作) うなずいてそのまま百日紅になって夜ごとに花をたくさんこぼす (東京歌壇

          2021年後半 掲載いただいた短歌など