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悟りを開いたチベットスナキツネ ーbosyuキャラクターに物語を授けよう企画vol.1

これは「bosyuのアイコン用動物キャラクターに物語をつけて」にご応募くださったユーザーさんが創作してくれた、悟りを開いたチベットスナギツネ↓の物語です。

アセット 1


悟りを開いたチベットスナキツネ

「変わらない毎日が始まるんだろうな」と思いながら朝を迎えた自分は、相変わらず野生のルールに身を任せたまま、4本の足でゆっくりとチベット高原に向かいました


縄張り争いの板挟みされ、自分のことしか考えていない仲間と過ごす日々

ここ最近は「なんでこんな毎日なんだろう」と思いながら、その日もやることを終え、巣に戻ってすぐに寝ました

疲れていたせいか、その日はとある夢を見ました

ーー広い大地の中、自分はそこの番人となり生き物たちを見守っていました

住み慣れたチベットの大高原の番人として争いを止めたり、仲間と一緒に共同作業をしたりする生活を送っている自分は、夢の中でとても充実していました


ところが、はっと目覚めると

そこにはいつもの巣で寝ている自分がいました

その夢はあまりにも生々しい経験として記憶に残っていたため、自分が夢の中で番人となっていたのか

それとも自分は高原を見守る番人で、今、チベットスナキツネの夢を見ているだけなのか、区別がつきませんでした

うっすらと普段の生活に飽きを感じていたから、こういう夢を見たんだと片付けるにはあまりにもリアルだったので

普段と違う世界を見回ると、何か答えが見つかるのではないか

旅に出られずにはいられない


そういう感覚が全身をめぐり、ここにいては答えが見つからないと、旅に出ることにしました

世界中を旅して、世の中の宗教、文化、コミュニティに触れながらあの日の夢に対する答えがないかと探したり、知らない環境で生活をしながらあの夢を思い返したりしました

しかしこれといった収穫はなく、生まれ育った高原へ戻ることにしました



あのとき見ていた夢は何だったのかと考えながら、ふるさとに戻ると、以前と変わりないだだっ広い高原が見える麓にたどり着き、ふとあのときの夢を思い返しました

夢の中、番人として立ち尽くしていた広い大地は、紛れもなくこの場所だったのです

毎日を送っていたはずの場所でしたが、日常から少し離れて見えた光景は夢で見ていた光景と同じでした

いつも送っていた日常が、皮肉にも夢の場所だったと気づいた自分は、巣穴に帰り、夢を見る前の自分と今の自分について考えました

ありのまま見て、感じていると思っていたはずの日常だけど

実は、自分が見たい、感じたいと思った通りに実現し迫ってくる


そういう考えに至り、高原で生きる一匹のチベットスナキツネである自分と、夢で見ていた高原の番人である自分。どちらも自分として居られるものだと感じました

違いがあるとしたら、今の自分は「どちらの自分として日常を過ごしたいか」ということ

変わらないと思っていた毎日は、自分で変えられる


集中して少しずつ行動して行けば、いつか夢で見ていた番人になれる。そう思った自分は今、チベットの高原で毎日を過ごしています

この物語の作者

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✍️ カモさん
本業はエンジニア。個人的な活動で壁打ち、podcastや積読を解消する会を開催している。bosyuでは「エンジニアの先輩に話を聞きたい」という募集をだしたり、興味のあるものに応募することも。

一時期、シナリオを書く勉強をしていたこともあり、今回は『胡蝶の夢(夢か現実かはっきりわからないさま。また、人の世がはかないこと、人生がはかないことのたとえ)』を題材に物語を考えてくれました。

Twitter:@camomile_cafe

ーー物語を読んで(bosyuさんの感想文)

エンジニアであるカモさんが書く物語はどんな内容だろう!と、原稿をいただくのをわくわく楽しみにしていました。

誰でも、毎日をものたりなく感じたり、自分の存在に自信がもてなくなることがあると思います。

私はそんな毎日の中、ふとした時に視点を変えたら「あれ?私、結構幸せかも…人生は自分次第なんだ…!」と気合を入れ直す、みたいなことがあります。だから、気づくと自分とチベットスナキツネを重ねながら読んでいました。私もいつの日かこのキツネみたいに、悟りを開きたいなぁ。

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