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【法務編】起業当初は消費税免税ってホント?インボイス制度ってなに?

A. 法人化してから2年間は消費税の納税が免除されています。ただし、いくつかの条件があったり、新しくできるインボイス制度との兼ね合いがあるので注意が必要です。



0.はじめに

こんんちは!BACHIです。こちらは二回目の投稿。一回目は番外編として「健康経営」について記載していますので興味があれば覗いてみてください。

僕らはサラリーマンをしながら起業・副業を目指している6人組です。今回は起業してからの納税義務やインボイス制度について整理していきます。
起業までのストーリーについては以下の記事に記載しているので、ぜひご覧ください。


1.消費税の免税制度

私達は法人として事業をしていなくても、消費税は身近なものであり、よく理解されているかと思います。法人も商品を販売した時には購入者に消費税を払ってもらい、法人がその分を納税するのですが、特定の条件を満たすことで、法人が物を販売した際に消費税を納税しなくても良い(お客様から消費税をいただかなくて良い)制度があるのです。

引用:https://irinotax-blog.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/Screenshot_121-1024x594.png

そもそも消費税の納税義務はいつ発生する?

ある法人の基準期間(2事業年度前)の課税売上高が1,000万円を上回っている場合、消費税を納税する義務が発生します。なので課税売上高が1,000万円未満の場合は、そもそも消費税納税義務がない(免税)ということになります。

このケースだと2022年度に納税義務はない

特定期間に注意!

2事業年度前の売上高が基準年度と呼ばれており、売上高が1,000万円以上か否かがポイントであると申しました。ただし、特定期間(1事業年度前の開始日以後6か月間)に課税売上高が1,000万円を超えた場合は課税義務が発生する為、注意が必要です。
つまり、2年前に売上高1,000万円を超えていなくても直近で急成長(半年間で売上高1,000万円以上)となった場合、納税義務が発生します。

このケースだと2022年度に納税義務が発生する

新しく設立された法人はどうなる?

もうお気づきかもしれませんが、新規に設立された法人*については、基準期間(2事業年度前)の概念すらない為、原則として2年間の納税が免除されます。ただし、上記のように設立後半年以内に売上高1,000万円を超えてしまった場合には翌年度は納税義務が発生するので、その場合は免税期間は1年間となります。

基準期間のない事業年度であっても、その事業年度の開始の日における資本金の額または出資の金額が、1,000万円以上である法人や特定新規設立法人に該当する法人の場合は、納税義務は免除されません(注2)。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm

2.消費税の仕入税額控除

少し視点を変えますが、商流と消費税の流れに注目していきましょう。

仕入税額控除とは

BtoBの卸売ビジネスを行っている法人であった場合、材料や商品を仕入る際にも消費税を払い(仕入れ先に払う)、自社からお客様へ商品を販売する際にも消費税を払う(税務署に納税)ことになり、2重課税状態となってしまいます。そのような事態を回避する為の制度が「仕入税額控除」です。

どうやって2重課税状態を回避するの?税額控除の仕組み

下図のB加工工場に注目してみましょう。まずはA工場から原材料を1,100円(消費税100円含)で仕入れ、加工後の商品をC販売店に1,200円(消費税120円含)で販売しています。この場合、C販売店から120円分の消費税を預かっている*為、税務署に120円を納税すべきと思われるかもしません。ですが結論、この場合は20円のみを納税することで事足ります。

C販売店から預かった120円ー仕入れ時に支払った消費税100円=差額20円

引用:https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/40404/

3.軽減税率制度とインボイス制度

消費税の仕入税額控除されるのであれば、その制度を有効に使いたいところですが、併せて考えておきたいのが新しく施行されるインボイス制度です。制度の意味、成り立ちから見ていきましょう。

インボイス制度の前身、区分記載請求書等保存方式

2019年10月に消費税が10%に引き上げられたタイミングで、軽減税率制度(標準税率(10%)と軽減税率(8%)の複数税率)が導入された為、事業者は取引等を税率ごとに区分して記帳する必要が発生しました。
それに応じて、消費税の仕入税額控除を適用する為にも、区分経理に対応した請求書等の保存が要件となります。これが区分記載請求書等保存方式です。

2023年10月からはじまるインボイス制度

この区分記載請求書等保存方式の上位交換であるインボイス制度(適格請求書等保存方式)が2023年10月から開始します。消費税仕入税額控除を適用させる為には、従来の区分記載請求書ではなく、このインボイス制度の要件を満たした請求書(適格請求書)が必要となりました。ですので、商品を納める側の事業者は適格請求書の発行が求められるようになります。

適格請求書(インボイス)とは、これまでの区分記載請求書に「登録番号」・「適用税率」・「消費税額等」が追加された書類やデータをいいます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm

ただし、この適格請求書、発行する要件として「消費税の課税事業者」でなければなりません。つまり、新設法人や売上高1,000万以下の法人は、消費税の免税メリットを享受するか、適格請求書を発行できるように消費税納税者となるか、選択をしなければなりません。

インボイス制度に適用すべき?

結論、C販売店はインボイス制度に適用不要、A工場・B加工工場はインボイス制度に適用した方が良い、と言えます。
C販売店は個人のお客様から適格請求書を求められることは少ないはずです。ただし、A工場・B加工工場は納品先から適格請求書も求められる(仕入税額控除を適用させたい)ことが大半となるはず。

仮にB加工工場が適格請求書を発行しない、できないとなった場合、C販売店はどう考えるでしょうか。C販売店はB加工工場から仕入れた商品について税額控除を適用できなくなってしまう為、多少コストがかかってしまっても、適格請求書を発行できる別の加工工場から仕入れる選択をした方がメリットが発生してしまいます。

結論:

BtoBビジネスの事業者はインボイス制度に適用すべきであり、BtoCビジネス事業は消費税免税を適用すべし。

詳しくは国税庁HPをご覧ください。
特集 インボイス制度 (nta.go.jp

最後までご覧いただきありがとうございました。


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