ライアン・ブレイジアは2023年シーズン中の移籍前後で何がかわったのか

●概要


日本の広島東洋カープでもプレー経験のある、ライアン・ブレイジア投手は2023年シーズンの開幕を、ボストン・レッドソックスで迎えたが、5月15日までに20試合登板で防御率7.29を記録しDFA(戦力外)でチームを去る事になった。
しかし、その後ロサンゼルス・ドジャースに移籍してからは、29試合で防御率0.70とリリーフで驚異的な数値を記録した。
今回は、このブレイジア投手の投球を移籍前後で比較し、何が要因で成績が改善したかを確認していきたい。

●データ概要


期間:2023年レギュラーシーズン(3月30日~10月1日)
選手:ライアン・ブレイジア(ボストン・レッドソックス~ロサンゼルス・ドジャース)
Baseball Savantより取得:
https://baseballsavant.mlb.com/

●分析結果


・ブレイジアとはどのようなピッチャーなのか?


まず、ブレイジアがどのような球を投げる投手なのかを確認していきたい。

2023年ライアン・ブレイジア 球種別変化量

球種は、4シーム・シンカー・カッター・スライダーの4球種を投げる。

2023年ライアン・ブレイジア 球種別平均球速と回転数

続いて、その球種別の球速と回転数を確認する。4シーム・シンカーのストレート系の平均球速は96マイルと剛速球というほどではないが、力らのある球を投げている事が分かる。

2023年 ライアン・ブレイジア 投球割合

基本情報の最後に、これらの球種の投球割合を確認したい。
4シーム・シンカーのストレート系とスライダー・カッターのスライダー系の投球割合がほぼ50:50となっており、1球種に大きく偏ることなくバランスよく投げている事が分かる。

2023年のブレイジアをまとめると、「ある程度の球速と力を持ち、ストレート系とスライダー系をバランスよく投げる投手」と言える。

・移籍前後で何か変化があったのか?


ここからは、移籍前後で変化があったのかを確認するために、基本情報で確認した項目を所属球団別に分けて確認していきたい。

2023年ライアン・ブレイジア 球種別変化量

まず、平均変化量は移籍前後でやや違いのあるものもあるが、最も大きな違いはカッターを移籍後から投げる様になっている点である。ブレイジアは元々カッターを投げる投手ではあったが、2023年移籍前は全く投じることなく、移籍後に再び投げる様になっていた。

2023年ライアン・ブレイジア 球種別平均球速と回転数(球団別)

続いて、球種別の球速と回転数を確認する。回転数に移籍前後で変化は殆ど見られないが、全体的に球速が移籍後にアップしている事が分かる。特にストレート系は約1マイル以上アップしている。

2023年 ライアン・ブレイジア 投球割合(球団別)

球団別の投球割合を確認すると、カッターが新たに出現するのは当然だが、移籍前は投球の半分以上を占めていた4シームの投球割合を、移籍後は25%程度に落とし、その代わりにカッターを投げる大幅な投球スタイルの変更を行っている事が分かる。

・投球スタイルの変化によって、被打球にどのような影響があったのか?


ここまでで、移籍後に球速がアップし、カッターを投げる様になったことが分かったブレイジアだが、この変化が被打球にどの様な影響があったかを最後に確認したい。

2023年ライアン・ブレイジア 球種別被打球速度・角度(球団別)

最も注目すべき点は、新しく投げる様になったカッターで、被打球速度は80マイル以下に抑えつつ、更に角度は7度とライナー性の当たりを打たせており、HRなどの長打を阻むのに非常に優秀な球種となっている。
その他の球種では、4シーム・シンカーのストレート系の被打球角度が上昇してる点が気になるが、代わりに被打球速度は減少しており、何より打者が圧倒的に有利とされるレッドソックスの本拠地フェンウェイパークから”脱出”した事を考えれば、それほど大きな問題ではないと思われる。

●まとめ


ブレイジアの移籍後の成績改善の理由は下記の3つによる可能性が高い事が分かった。
・打者有利のフェンウェイパークの脱出
・球速のアップ
・長打を阻むカッターを投げるようになった

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