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ウラジーミル・ソローキン氷三部作読んだ

現代ロシアで最も注目度の高い文学者ソローキンの氷三部作読んだ。長かった。

1908年にツングース上空で隕石爆発がおこり、そのさいに永久凍土に氷の塊ができた。この氷で胸骨をしばかれることで覚醒するのが光の民で、みんなで光の民を捜索するというのが全体を通しての主題である。

読んだ順番に。

ボリシェヴィキ革命後から第二次大戦前までのソ連が舞台である。ツングース、ウクライナ、ポーランドと舞台を移しつつ、光の民がソ連やドイツの上層部に食い込んでいく様子が面白い。


出版されたのはこれが一番最初。
舞台はそれ崩壊後のロシア。金髪碧眼の光の民が仲間を探して大暴れする。エログロ度高い。


現代世界が舞台。23000人いるとされる光の民がついにすべて発見され、輪になっておどる完結編。本作では一般人(肉機械)の視点もおおいに取り入れられるのが特徴だが、渋谷でコギャルの耳に射精するオランダ人のインパクトが強すぎて他のことはあまり覚えていない。


長かったがあまり苦痛なく最後まで読めた。なんといって松下隆志氏の訳がいい。光の民と一般人(肉機械)との違いが際立つように注意深く文章や訳語が組み立てられている。


まあでもソローキンの作品で、一番面白いくて、いま読む価値があるのは『親衛隊士の日』だな。

最近文庫版も出たようだしおすすめしておこう。


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