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ウラジーミル・ソローキン『テルリア』読んだ

ロシア文学読んでみるシリーズ。

『親衛隊士の日』に続いてソローキンだよ。以前はポストモダン作家として知られていたが、ウクライナ侵攻以降はその政治的発言が注目されている。


本作の舞台は近未来の欧州だが、『親衛隊士の日』のように専制国家が支配しているのではなく、さまざまな国家が乱立している。ワッハーブ派だったり正教だったり共産主義だったりスターリニストだったり。
そこに暮らす人々の生活を切り取った50の短編(というか断片)が収録されている。文体も形式もバラバラで、中世のごとく小国家が乱立し孤立しているさまを表していると思われる。

テルルとよばれる鉱石から作られた釘を特別な大工が脳天に打ち込むと、強烈な麻薬的効果が得られる。テルルを豊富に産出するのがアルタイ地方にあるテルリア共和国で、これがタイトルになっている。

テルルの釘は作中にしばしば登場してなんらかのモチーフだと思われるが、実際のところよくわからない。

正直に言うと、あまり面白いとは思えなかったのだが、もう少しソローキンの作品は読んでみようと思う。次は氷三部作か、あるいは最近邦訳が出た『吹雪』か、どっちにしよっかな。


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