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意識高い人と冷笑的な人とブルーインパルス東京

これは昨年亡くなられた瀧本哲史さんについての、安川新一郎さんのnoteである。この記事にある追悼文は昨年読んだはずなのだが、安川さんの名前は頭に残っていなかったようだ。安川さんが私たち医師に強烈な印象を残したのは今年に入ってからのコロナ騒ぎである。今年2月のこのnote、公開されている情報だけから疫学や感染症の専門家とほぼ同じ結論にたどりついたのは驚いた。ああこれが頭良いってことなんだなあと。結論があっているかどうかは問題ではなくて推論の過程が丁寧で、データを処理するというのはこういうことなのだとあらためて思い知らされたのだ。

このたびの騒ぎで今まで違うところがひとつある。医学のトレーニングを受けていないと思われる人々が的確に、ときに医師をも上回るような考察をしていることである。過去の疫病だったり医療事故だったりでは、医療従事者でない人たちのいうことはたいていは的外れもいいところだったが、今回はそうでもない。安川さんはその中でも際立っているので印象に残った。そして安川さんが瀧本さんに近いところにいた人だと知って納得したのである。

ところで瀧本さんとか、瀧本さんの本を読んでいる人は意識が高そうである。そして揶揄として意識が高いというとき、通常は意識の高さに能力が追いついてないこと含意している。もちろん瀧本さんは意識も能力も高かったであろう。

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