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ついに『クライテリオン』でも新反動主義が取り上げられる

保守系の思想誌である『クライテリオン』11月号は安倍晋三批判特集であった。主に保守側からの安倍首相批判で多くは妥当なものであったと思う。ただ多くの安倍批判が虚しいのは、別の人間が首相であっても似たりよったりの情況にしかならず、ことによってはもっと酷いことになるかもしれないということだ。

安倍晋三はただの空虚な器であり、そこにはさまざまな勢力の多様な思惑が入り込む余地がある。そして現実の政治力の強さによって政策が実現していくという。それはたしかにそうなのだが、それをより強化したのが小泉進次郎ということにならないか。それを指摘しているのは西尾幹二氏だけだった。

それはさておき前号の続き「思想の転換点」と題した、宮崎哲弥、松尾匡、中島岳志、藤井聡の座談会が面白かった。新自由主義の蔓延というところから、中華未来主義、ニック・ランドの新反動主義、(右派)加速主義へと宮崎氏が暴走していくのである。

さらにはマーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』にも触れている。しかし、ここまで来ていて左派加速主義には言及していないのがもったいない。フィッシャーはランドの近くにいた時期もあるようだが、左派加速主義によりシンパシーを感じていたようだ。

このあたりの事情は現代思想の加速主義特集号を参照されたい。宮崎哲弥氏も必読といっていたことだし。

技術的失業がもはや現実になりつつある今、それを良いものにするにはベーシックインカムしかない。しかしそれは使い方を間違えるとネオリベラリズムへの降参になってしまう。だからこその左派加速主義なのである。

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