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#303 アルバム論⑥|深海 / Mr.Children(1996)

これまで5作連続でハイスタの作品を紹介してきましたが、ハイスタ以外も紹介しましょう。
このアルバムはどこかに行ってしまって手元に無いんですが、手元にある「Kind of Love」「Versus」ではなく、やはりミスチルの中で最も僕の中で影響を与えた不朽の名作・深海を紹介させていただきましょう。


この時期のMr.Children(ミスチル)は?

1994年にInnocent WorldとAtomic Heartで頂点を取り、95年は「Tomorrow Never Knows」「everybody goes-秩序のない時代にドロップキック-」「es 〜Theme of es〜」「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」と、出す曲出す曲全部オリコン1位&ミリオン。メガヒットの嵐。
笑いが止まらないとはこのことだと思いますが、実際はそうではなく櫻井さんは悩んでいたんですね。小室然り、ヒットメーカーにしかわからない苦悩があるのでしょう。

更にはこの時期の櫻井さんはプライベートでもドタバタしていて、まぁ要はリンフーをしていたようで、その辺の心情はのちにリリースされる「Love Is Blindness」「Brandnew my lover」あたりを聞いてもらえればと思いますが、とにかく櫻井さんは病んでたんですね。

で、翌年96年、個人的には最高のシングルと言っても過言ではない「名もなき詩」をリリースして、これもバカ売れ。
その後に確かワンコインで「花-memento mori-」をリリースし、これもヒット。
とにかく出せば売れるという、レコード会社とかにとっては打ち出の小槌、そんな時期でした。


5thアルバム 「深海」 リリース

そして深海がリリースされたのは96年6月。
なんか初回購入の際は黒い専用ケースついてた記憶があります。

前作「Atomic Heart」が出てから2年、この間にリリースされたメガヒットシングル、これが全部収録されるものだと思ってましたが、収録されるのは「名もなき詩」「花」のみで、「Tomorrow〜」「everybody」「es」「シーソー」の4曲はアルバムの世界観に適していないと未収録。
当時、僕の周りでこの4曲が未収録だったことに関して文句を言う人も多かったですが、僕は全部シングルで持っていたので別にどっちでもいい派でした(当時は出たシングルはとりあえず買う時代でした)

で、初めて深海を聞いた感想は、とにかく暗く、ダウナーな内容でした。
前の曲のアウトロと、次の曲のイントロが繋がっており、全14曲が1つの曲のような感じで、独特の世界に連れ去られる印象。
まさに深海に誘われている感覚。

とにかく、人生で初めて聞いたコンセプトアルバムだと思いますが、かなりハマりましたね。


深海 全曲解説

1. Dive

1曲目はインスト。
個人的にアルバムの1曲目のインストは結構好きだったりするんです。ミスチルもAtomic Heartから次のボレロまで、1曲目はインストですね。
深海の1曲目のDiveは、読んで字の如くですが、コポコポと、海に深く深く沈んでいく様が表現されており、まさにDive
そうして海の底に到着すると、そこには古代魚が泳いでいるのです。


2. シーラカンス

以前にも紹介しましたが、とにかくダウナーで暗いロックンロールです。
Diveの沈んでいく余韻を残しつつ、イントロのアコギとエレキギターのコントラストがシーラカンスの遊泳を想起させ、すげーカッコいいです。

シーラカンス 君はまだ 深い海の底で静かに生きてるの?
シーラカンス 君はまだ 七色に光る海を渡る夢見るの?

古代魚のシーラカンスを、過去の産物(自身の栄光?)に準えて、「まだ生きてるの?」と問いかけるこの曲。
元々このアルバム「深海」は、「シーラカンス」にしたい意向があったようで、この時期の櫻井さんにとってこのワードは非常に使いたいワードだったのでしょう。

僕が一番好きなのは2番の「選択肢はいくつだってある 言うならば自由 そして僕は微かに 左脳の片隅で君を待ってる」の所から激しくなる所ですね。
何度聞いてもテンション上がり、最高に盛り上がってこのアルバムは始まります。


3. 手紙

そして全曲そうなんですが、シーラカンスの余韻を残したまま次の「手紙」の優しいストリングスが始まります。
3曲目(実質2曲目)からバラードというのも、なかなかない構成ですが、このアルバム全体が1つの世界観なので、何ら違和感なく聴けますね。

歌詞は全て私が「あなた」に送った手紙を読み上げた内容となります。
男性から女性への手紙なのか、女性から男性への手紙なのかは聞き手に委ねる形ですが、とにかくロマンチックな歌詞で、メロディも秀逸。

中学時代のサッカー部のキャプテンがこの曲が好きで、卒業するときにアルバムにこの詩を寄稿してましたね。「ラブソングだから適さないと思うけど・・・」と言いましたが、奴は頑なに変えなかったですね笑

そんな感じの曲ですが、このアルバム全体を通しての唯一の欠点を言うならば、アルバム全部で1つなので、この曲とかをライブで聴くのであれば、曲順指定で「シーラカンス」と「ありふれた〜」の間に聞きたいんです。
コンセプトアルバムはそれが難しいですね。



4. ありふれたLove Story 〜男女問題はいつも面倒だ〜

男女のラブストーリーを第三者の視点で見た曲です。
Aメロ〜Bメロ〜サビとテンポやリズムが心地よく、このダウナーなアルバム「深海」に収録されているので暗い印象で聞こえますが、Kind of Loveとかに収録されていてもおかしくないようなポップな曲ですが、歌詞の内容は明るくなく、最終的には別れるストーリーになっています。

で、この別れた男女のどちらかが、相手に対して出す手紙が、全曲の「手紙」の歌詞に繋がるようですが、どの辺がどうリンクしているのか分かりません。まだまだ聞き込みが足りないようですね笑

この曲は大学時代の友人のSがめっちゃ好きで、よくカラオケで歌ってましたね。そんなSも「深海は最高傑作やった」という男で、よく盛り上がってました。


5. Millar

この曲もゴキゲンなラブソングですね。
前述「ありふれた〜」同様、深海というヘヴィーなアルバムに収録されているのでダークなイメージがありますが、環境を変えるとポップな曲になります。
Love..Love…Love…がサビなくらいなので、まぁヘヴィーになりようもないんですがね。
ちょっとした箸休め的なポップな曲で、このアルバムじゃなくてもどこでも通用する子ですね。


6. Making Song

この曲は次の名もなき詩に繋がる前奏のような位置付けですね。
直訳すると「作曲」。歌を作るのは「こんな感じで作ってまっせ」というインタールードを、名もなき詩というタイトルの、名前がない曲の前にあえて入れるというのも深いです。
で、次作BOLERO収録の「タイムマシーンに乗って」のAメロに近い鼻歌を歌っていますが、これはたまたまの偶然というのも有名な話ですね。

本家のは無かったので、この曲をコピーした激アツの動画を貼っておきます笑


7. 名もなき詩

そしてミスチル史上、最高と言っても良いシングル。名もなき詩です。

この曲に関しても以前に紹介させていただいておりますし、そこである程度語り尽くしてしまったんですが、とにかく素晴らしい曲です。
もう25年以上前の曲なのに、今でもCMで使われてるくらいですからね。
名曲は時代を越えるんですね。


8. so let's get truth

この曲は名もなき詩というこのアルバムで最も盛り上がる場面を終えて、ちょっとした箸休め的な立ち位置で用意された曲で、櫻井さんが長渕になって歌う曲です。
この曲は次作の「傘の下の君に次ぐ」に繋がると思ってますし、「傘の〜」も僕は大好きなんですけど、この曲も歌詞が本当にいいですね。

子供らはたんこぶ作らず遊び
隣に倣えの教養を植え付けられて顔色を見て
利口なふり 利口なふり 利口なふりをするが
やがて矛盾を知り 苦悩を知り 試行錯誤する

so let's get truth…

日本に対する最大の皮肉を、トップアーティストが歌う風情を感じますね。


9. 臨時ニュース

wikipediaによると、ミスチルで最も最短の楽曲と紹介されてますが、曲ではないでしょう笑
シーラカンスでいうDive、名もなき詩でいうMaking Songのように、次のマシンガンをぶっ放せを引き立てるインタールードを、コミカルなニュースに載せた感じに内容で、次につながります。



10.マシンガンをぶっ放せ

後にマキシシングルとしてシングルカットされる曲で、シングルカットされるだけあってキャッチーで覚えやすく、メロディアスで華がある曲ですが、歌詞はとにかくネガティブというか、悲観的というか、厭世的というか何というか。
核実験を繰り返すフランス批判で始まり、「殺人鬼も聖者も凡人も共存するしかない」「毒蜘蛛も犬も乳飲み子も共存すべき」「宗教も科学もUFOも信じれるから悲惨」と、哲学的な歌詞です。
とにかく櫻井さんのドロドロの心情を吐露した曲ですね。

なんでシングルカットしたのかは謎ですが、名曲「旅人」を世に出したので非常に意味のあるシングルカットではありましたが。


11.ゆりかごのある丘から

この曲は「暗い」「暗い」と評される深海の中でもぶっちぎりに暗く、重いバラードです。そして曲も長いんですが・・僕はめっちゃ好きですね。
このアルバムの中でも1〜2を争うくらい好きです。シーラカンスと深海とかもめっちゃ好きなんですけど、それとは違う魅力がありますね。

何らかのメタファーかも知れませんが、この曲を鬼のように重くする「戦場」という2文字のワードがあります。
この歌詞の物語は仲睦まじいカップルがいて、理由は分かりませんが男が戦場に行き、戻ると女はいなくなっていたという超ハード、超ヘヴィーな曲です。

で、この曲はインディーズ時代から存在しており、インディーズ時代の歌詞はもっと重いんですが・・・

とにかく美しい曲です。
最後の「She Loves Again」がシーラカンスと聞こえる、本当に素晴らしい繋がりです。


12.虜

ゴリゴリのロックンロールですね。
最後はゴスペルが入り、歌詞にもあるよう「天国」、死後の世界を想起させるような印象を持ちます。
リアルタイムで聞いていた13歳の頃はそんな金銭に触れなかったんですが、大人になって聞いたらカッコよさが分かる、そんな渋い曲ですね。

このコラボもかっこいい!割と最近っぽいですね!


13.花

そしてシングル曲の花ですが、この順番で聞くのが最高にカッコいいです。

初めて聞いた時はそこまで琴線に触れず「Tomorrow Never Knows」から全部のシングル買ってましたけど、この花のシングルは買わなかったんです(「es」とかは聞かないで買ってた記憶もありますが・・・)
ただ、アルバムのこの位置で聴いて「なんていい曲なんだ・・・」と思った記憶があります。

個人的な解釈ですが、手向けられる花、餞の花の印象があり、死後の世界というか、何らかが終わった世界で聞こえる曲の印象があり、すごく響きますね。


14.深海

そしてラストの曲はアルバムタイトルでもある「深海」です。
これまでミスチルはアルバムタイトル≠アルバム収録曲であり、タイトルは分けて考えていた美学があったと思うんですが、そんなミスチルがルールを変えてまでアルバム名にも冠した曲で、尚且つアルバムの最後を締めくくる曲。
期待して聞きましたが、アルバムの世界観をうまく絞められており、かなり感動した記憶があります。

イントロから素晴らしいんですけど、エコライザーかかったボーカル、そしてサビで「シーラカンス」と、2曲目のシーラカンスと同じ詩を使ってメロディを変えるとかは本当にセンスだなと思って聞きました。

これは僕の解釈ですが、
深海は心の奥底であり、回遊するシーラカンスが虚栄の過去の日々、そんな日々に対して「これから君(自分自身)はどこに進化(すす)むんだい?」と問いかけ、最後の歌詞が染みます。

連れてってくれないか 連れ戻してくれないか 僕を 僕も

あの頃に戻りたい・・・そんな感じなのかも知れません。
その悲痛に似た叫びで曲は終了し、そして最後に再度コポコポと聞こえる音は、更に沈むのか、浮上するのかも聞き手に委ねる形で、余韻を残して本作は終了します。


深海 まとめ

そんな感じでこのアルバム論はどうしても長くなってしまうんですが、やはり長くなってしまいました。
とにかく今聞いても、本当に染みるアルバムですね。

これまで作品や、この後の「BOLERO」も「Discovery」も好きですし、これと同じくらいの分量で書けると思いますが、やはりリアルタイムで思春期に聞いた、深海は重く、印象に残りまくっているのでこれを紹介させていただきました。

今でも最前線で活躍するミスチルにリスペクト!
そして次は何を書こうか・・・迷いますね!!

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