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#269 映画論④|HANA-BI

もう北野映画を紹介するコーナーになってしまった感がありますが、あと5作くらい紹介させて欲しいので、しばらくはこのスタイルで行きます笑

てなわけで映画論①〜③に引き続き、今回も皆さんと一緒に北野映画を勉強しますが、北野映画が世界的にも権威となったきっかけの作品がこのHANA-BIなのではないでしょうか(既に海外では注目を集めていたとのことですが)


若干時系列が僕の中でズレていて、「菊次郎の夏」の後だと勘違いしてましたが、こっちが先でしたね。
ともかくこの作品は、39年ぶりに日本映画がベネチア国際映画祭で評価され、金獅子賞を受賞したことで一躍日本でも有名になった作品です。

僕も北野映画の中で、かなり好きな方の映画ですね。


HANA-BI あらすじ

究極の恋愛映画であり、深いテーマは
とにかく深く、深く、深すぎる作品です。

北野武は警察役で登場するんですが、とにかくバイオレンス・ポリスで、デビュー作「その男、凶暴につき」の主人公の吾妻を彷彿とさせる悪徳警官・西を好演します。

で、奥さんの岸本加世子は病気で余命いくばくもなく、更には数年前に子供を亡くしたことで精神的にも、肉体系にも弱っていて、西は毎日甲斐甲斐しく面倒を見ているんです。
しかしそんなる日、西が妻のケアをしている中で、西が狙っていた事件の犯人が、西の代わりに張り込みをしていた大杉漣を狙い、大杉漣は下半身付随〜一家離散という状況に。

贖罪の意識を抱えた西は、ヤクザから借金をして大杉漣に金を渡したり、妻の医療費に充てたりするんですが・・・お金が足りなくなって、警察に扮してパトカーで銀行強盗(このシーンは秀逸)をしてお金を稼ぎ、ヤクザに一括返金し、残った金で旅をする・・・
そんな話です。



映画を引き立てる「絵」

ちょっと背景は忘れましたが、下半身付随になった大杉漣に対して、たけしは画材をプレゼントするんです。
で、大杉漣が絵を描くんですが、その絵が映画の作中で何度も登場します。

この絵が一見グロテスクでもあり、作品を引き立てるアクセントにもなり・・・なかなか印象に残ります。

これは実際はたけしが描いた絵というのがすごい。
才能に触れていますね。


HANA-BI 魅力

花火(HANA-BI)を人生に例えていると推察されます。
下半身付随になり、歩くことができなくなって絶望した大杉漣も、絵と出会って生き甲斐を見つけて、「生」に向き合っていくという側面。

そしてネタバレになってしまいますが、逃走の果てにヤクザを殺しまくったのが当時の同僚の警察にバレて、「ちょっとまってくれ」と妻と2人で海岸で迎えるラストシーン。
海岸で凧を上げる日常を過ごす少女(たけしの娘)がいて「生」を表現しながら、これまで失語症で話せなかった妻が最後に口を開き、そして直接的な描写こそないですが、響き渡る2発の銃声・・・
このオチには初見でビックリしましたね。

「死」を想起させる内容ですが、ある種の希望も感じます。

これも視聴者が判断するエンディングであり、まさにカタルシスなのですが、僕にはこの物語はハッピーエンドに映りましたね。
絶望を超えて、その先に希望があったという感じです。

多分この例えは間違ってますが、パンドラの箱の底には「希望」が入っていたという感覚かもしれませんね。

エンディングはこちらから見れます(切ないです)


まとめ

たけし映画で大衆受けする作品ではない(とはいえベネチアで賞取ってるんでそうでもないかもですが)と思ってますが、メチャクチャ見終わったあと余韻に浸れる、そんな映画です。

久しぶりに見たくなりましたね!


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