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#573 読書論24|民王(池井戸潤)

前回の空飛ぶタイヤに続いて、今回も池井戸潤を紹介します。


半沢直樹シリーズやルーズヴェルト・ゲームなども紹介したい気持ちもあるんですが、これらは小説して書くか、ドラマとして書くかを俺の中でまだ決めあぐねている状態なので、ドラマ化されているけど見ていない民王を紹介しましょう。



民王とは?

民生(たみお)ではなく、民王(たみおう)ですね。
民の王、つまり総理大臣の話です。
主人公の武藤泰山(むとうたいざん)は最大派閥である党で、短命で終わった前総理、前々総理に続いて、総理大臣になったんです。
そんな泰山は漫画を読むのが好きで、秋葉原などで「俺たちの泰山」みたいな感じでオタク系に大人気なんです。どこかで聞いたことありますね。

そしてこの小説、池井戸潤小説には珍しくぶっ飛んでて、古くは「放課後」的展開、最近だと「君の名は」的展開、すなわち「入れ替わってる!」という状況となり、総理大臣の泰山は、ドラ息子の大学生・と入れ替わってしまうんです。

翔はダメ大学生なので漢字も読めず、国会答弁でも未曾有を「みぞゆう」と読み、踏襲を「ふしゅう」と読んでしまい・・・

とにかくそんな感じで「短命に終わった前総理、前々総理に続く」「アキバで大人気」「漢字の読み間違い」と、完全にこの政治家を揶揄した作品なんですが、うまくできていて笑ってしまいますね。


民王の魅力

なんで入れ替わったのかとか正直あんまり覚えてないんですが…
印象に残っているシーンを振り返ります。


1. うまくできている設定

前述の通りですが、漢字を読めずにいる様は「あー、息子と入れ替わっていたから漢字読み間違えたのか」と納得してしまうし、「あー、だから酔っ払ってたのか」とか、そんな感じであの頃の政治のお騒がせ状況の舞台裏が見れたりしますね。
本当に「よくできてるな」と思っちゃいますね。


2. 珍しいジョーク

今回の小説は池井戸小説では珍しく、笑いのエッセンスがふんだんに含まれています。

妻に浮気を疑われた時に、「どうもこの(かぶっている)ヘルメットは声が聞こえにくくていかん」とごまかしたり、公安のクソ真面目な刑事に趣味を聞いた際に「チェロを少々」と言った時に吹き出したり、交渉というか公開口げんかで「シリウスの杏奈は元気ですか?」とかの弱みを狙ったり…
とにかく、面白い下りが多いですね。


3. グッとくるシーン

てな感じでギャグシーン多めの話ですが、それでも泣けるところ、感動するところなどもしっかり用意してあり、その辺はグッときますね。

盟友である官房長官にスキャンダラスがあった時に、それを守ろうとする泰山(実際は翔)が暴言を吐きながらしっかりと守ったり、就活で翔(実際は泰山)が夢を語ったりと、入れ替えもの特有のネタを旨い感じに使えていますね。


民王 実写版

見てないのですが…遠藤憲一と菅田将暉のダブルキャストですね。
個人的には麻生太郎に演じて欲しかったので、それに近い芸能人で言うと…山崎努とかですかね?その辺がイメージ近かったと思います(遠藤さんはまだまだ若いので)

そんな感じで見ていないので何とも言えんのですが、日曜劇場でやって欲しかった感はありますね。ただちょっと毛色が違うかしら?


まとめ

以上、そんな感じで池井戸作品の中では異色ですが、結構読みやすいです。
是非、機会があったr読んでみてください!

続編も出てますYO!(自分もまだ読んでないですが・・・)


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