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#628 漫画論54|べしゃり暮らし

ヤングジャンプの漫画を紹介し続けていますが、今回紹介するのは「べしゃり暮らし」、僕が漫画界で最高にリスペクトする漫画家・森田まさのり先生の渾身の作品ですね。

小学校の頃にろくでなしBLUESを読み、中学・高校の頃にROOKIESを読み、そして社会人からべしゃり暮らし
こういう感覚を持っているのは僕だけでないと思っていますが、ろくでなしBLUESを見ながらブルーハーツを聞き、ROOKIESを見ながらハイロウズを聞いたので、べしゃり暮らしはクロマニヨンズがセットで響きます。


べしゃり暮らしとは?

森田先生がROOKIESの17巻辺りの作者コメントで松本人志は天才だ」「いつかお笑いの漫画を描きたい」と語っているのはみんな印象に残ったと思っておりますが、ROOKIES終了後ヤングジャンプで「柴犬」というお笑いをテーマにしつつ、クソ重い漫画を描いたのち、べしゃり暮らしのプロトタイプである「スベルヲイトワズ」という作品を経て、このべしゃり暮らしの連載が始まりました。

森田先生フリークとしては単行本は発売日に抑えておりましたが、正直「う~ん」とそこまでピンと来ず。
勿論面白いんですけど、やはり森田先生の最大の魅力である、バイオレンスさの中のヒューマンさを求めていたので、少し物足りないと思っていましたが、少年ジャンプでの1~3巻までの連載が終わり、ヤンジャンに移行しての4巻以降で徐々に面白くなり、養成所入る辺りから劇的に面白くなりましたね。

終盤の記憶喪失は要らなかったなと思いつつ・・・それでも大団円でしたね。


べしゃり暮らしの魅力

1. 森田先生の画力

過去の作品と比較しても画力はどんどん研ぎ澄まされています。
特に女性キャラが格段に可愛くなりました。千秋とか酷かったですからね笑
やはり森田先生の圧倒的な画力、これは真似できません。
絵を見ただけで一発で誰が描いたか分かる画力は素晴らしいですよね。


2.「お笑い」というテーマに挑むフロンティアスピリッツ

「お笑い」という漫画で未だかつてないテーマをセレクトしただけでも凄いのに、しっかりと作中の漫才のネタも作り込んだのは流石です。

僕は下記の親に謝りたいネタが一番好きでした。

(父親に御礼を言いたいという漫才で)

「男を教えてくれてありがとう」
「お、どうした急に」
「間違えた、男"も"教えてくれてありがとう」
「なんで教えた?」

みたいなやつです笑

音楽漫画とかでも演奏シーンで誤魔化したりしますが、やはりネタを書かないとダメと森田先生は断言しておりました(BECKに対して)


3.泣ける

そしてやはり森田先生の最大の魅力は「泣ける」ことですね。
ちょっと強引な展開とかもありましたが・・・それでも名シーンは多いですね。
どのシーンも良かったと思いますが、やはり藤川のシーンは泣けましたね。


べしゃり暮らし 好きなキャラクターBEST10

10位 潤三さん

潤三さんは大阪で若者向けの漫才でバカ売れして、お笑いBIG3にまで上り詰めた男で、モデルは間違いなく松本人志と思います。
タレをカキまくっていたあたりも通じるものがありますし笑


9位 梵

梵は、作中のお笑い養成所(YSC的なところ)で、あるあるネタで人気を博して、若くしてTVデビューした「るのあーる」の真面目な方です。
チャラチャラした方の上原くんは、マジでクソチャラチャラして後に制裁を受けるんですが、真面目とチャラチャラの養成所でデビューしたコンビと言えばオリエンタルラジオですね。
この梵は本家には似ないで欲しいところですね!笑
よいしょ!



8位 校長

校長です。
ろくでなしBLUESのキング校長、ROOKIESの村山校長(当初)と、森田先生の作品は一癖も二癖もある校長が多いのですが、べしゃり暮らしの校長もなかなか味があってよろしい。
ゲーハーをイジられる辺りは美味しいですね。


7位 親父

親父です。
親父は元々芸人大好きなんですけど、一時を境にアンチ芸人になります。
ただ、これは親父にもどう考えても責任があるんですけど笑
最終的には理解者になって、良い父親になりますね。


6位 子安

これまでの森田先生作品にはいなかったクソ真面目野郎です(御子柴は1巻でキャスター吸ってたので除外)
良いポジションでしたね彼は。


5位 藤川

藤川さんはかなり衝撃的なラストを迎えるんですが、良いキャラクターでした。
「笑うからおもしろい」は名言ですね。


4位 金本

そんな藤川の相棒が金本なのですが、モデルは恐らくジュニアでしょう。
デジタルきんぎょの昔ヤンチャしていた時期の回想シーンで、ハイロウズの「2匹のマシンガン」を流した時は森田先生のそのセンスに嫉妬したものでいた笑


3位 岩隈

岩隈将大というプロ野球選手の名前をドッキングさせた名前ですが、正にピッタリのいい名前ですね。
この岩隈ことまーくんが結成する「げんこつロデオ」がライバルとして出だしたころが一番面白かったですね。


2位 辻本

そして辻本です。
途中からこの漫画は辻本が主人公の辻本目線の漫画になったりするんですが、その辺が自然で非常に良かったですね。
色々と苦悩する、苦労するタイプの芸人です。


1位 圭右

そして1位はこの漫画の主人公・圭右ですね。
とにかく笑いの才能が有り、貪欲であり、天然なところも持っているというサラブレッド。
奥手なのかマセてるのかも不明ですが、森田先生の漫画の主人公なので、なんだかんだで人をすぐ殴る好戦的なスタイルであり、高校生の分際でしっかり煙草を吸うオールド・スクールな主人公でしたね。


まとめ

実写版も放送されていました。
とにかく森田先生は外すことをしらない漫画家なので、ここまでの3作全てヒット、全て実写化と安定のバッターです。
連載していた「ザシス」も終わったっぽいので、また構想があるらしいべしゃり暮らしの続編も是非「あぐれっしぶー!」に書いて欲しいところですね!

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