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赤らんたんに灯を入れて第五夜 後編

私達の親友だった友恵が死んじゃった。
あの時私に電話してきたのには、友恵の
中で何かを感じたからなんだろう。
後で聞くと、おばさんも間に合わなかった
そうで、1人で逝ってしまった友恵。

享年45歳。

早過ぎるよ友恵。由美子やアッコも私も
子供達に手がかからなくなって、もう少し
自由な時間がこれからは取れる様になると
思っていたから皆で色んな所に、もう歳
だから温泉かねぇ、行こうと思ってたんだ。

あれから20年経ったんだよ。早いよね。
今は携帯電話でネットが見られるんだよ。
そしたら由美子が面白いサイトを見つけて
それで今日ここに3人で来たんだよ。
友恵、アンタに逢えるからって。

「今日ちゃん、そろそろじゃない?」
「そうよ、私もアッコも早く友恵ちゃんに
逢いたいわ!今日ちゃん、早く!」
「まだ駄目よ。必ず時間厳守で!って」
そして…

" 8時25分 " 

ランタンに灯を入れると目映い光が辺りを
包み込み、その中から友恵が現れました。
「友恵?友恵なの?」
「友恵ちゃん!」
「友恵ちゃん!」
3人が口々に友恵の名を呼んでいます。
「今日ちゃん、由美ちゃん、アッコ!
来てくれたんだね!わぁ、もう何年振り?」
「20年経っちゃったよ。それよりアンタ、
1人で逝っちゃって!それに関してはまだ
ちょっと怒ってるからね!由美子もアッコも
同じ意見。あと、最後に言い掛かった言葉、
あれ " さよなら " って言うつもりだった?」
「今日ちゃんにはお見通しかぁ。みんな、
ゴメンね!ホントはあの日死ぬ予定じゃ
なかったんだけど、自分の体力が思ったより
なくて…だからみんなにもだけど、母親にも
謝らなきゃって思ってたんだ。でも、その
術が分からなかった。今は技術が発達して
いるんだね、凄いね!」
「何言ってんの!ここが不思議な空間で、
管理人さんも特別な力を秘めてる筈よ!」
占い好きの由美子がドヤ顔で答える。
「そうよ、こんなのって科学でどうにか
出来る物じゃないでしょ、20年後でも。
相変わらず天然だわ。フフフッ」
これを機に4人の仲は当時に戻ったようだ。

「そっか!3人は還暦過ぎたんだね!
それはそれはおめでとう!」
「何、その顔?嫌味なヤツ!でも身体は
衰えたけど、それなりに楽しみがあるん
だから。ねえ?由美子、アッコ」
「そう、今は旅行と温泉よ!」
「うんうん」
その間、私は今日の為にダウンロードして
おいたとっておきの曲を流してみた。
スピナーズの " I'll be around " 
ディスコに入り浸りの頃に好きだった歌。

それからの1時間は楽しく懐かしい時間。
でもすぐにお別れの時になっちゃった。

「友恵、今日は逢えて本当に良かった。
あの日、独りで旅立っちゃうからずっと
気になってて。ひどいよ、友恵って」
「ゴメンね、今日ちゃん、由美ちゃん、
アッコ。何か見送られるのって少しだけ
照れくさかったんだ! 違う、みんなの
顔を見ながら逝くのが淋しくて嫌だった」
「友恵ちゃんの優しさだったんだね」
「由美ちゃんの言う通りね」
「そろそろ行かなきゃ!逢えて良かった」
「もうすぐ私達もそっちの世界へ行くと
思うよ。その時に案内を頼むね!」
「任せといて、今日ちゃん!じゃあ」
「色々あった私達だけど今でも友達だよ!」

またも辺り一面明るく照らし出され、
収まると友恵はいなくなっていた。

今夜もまた不思議な体験者を生んだ空間。
" 赤らんたんキャンプ場 " 

今、貴方には逢いたい人はいますか?

GoGo-CLUBの3人は箱根湯元のホテルに
来ていた。あの日撮った4人の写真と共に。


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