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2024.2 異臭

   月に一度、病院に通っている。厄介な病気を抱えていて、生涯のパートナーとしてこの先も連れ添っていくしかない。腐れ縁という奴だ。仲良くしようぜとよく話しかけている。
 
 先日、定期の受診日で病院に行った。開院前に着いたので十分ほど並んで待つ。片道に2時間ほど掛かっていて、開院して機械で受付を済ませると真っ先にトイレに向かった。
 トイレに入って「はて」と感じたのは、するはずのない食べ物のにおいがしたからだ。人の姿はない。個室からなのか、肉系のにおいが漂っている。たとえばハンバーガーかソースのついた豚カツの類だ。これはなんという違和感だろう。この場にふさわしくないと言えばまったくその通りで、異臭だと言っていい。組み合わせが悪すぎる。食べ物もとんだ災難だろう。
 時間的には外来患者ではない。数ある入院経験から言えば、病院食に満足してない入院患者が、院内のコンビニで買ったものを隠れて食べたのだろう。罪悪感があるからこんな行為におよんだのだと理解はする。ただ共感はしない。
 採血があるので朝食を摂らずに来ていた。お腹が空いていて、採血が済んだら診察前に何か食べようと予定していたが、このミスマッチに食欲を失くしてしまった。誰かに文句を言うような話ではないが、なにやら、もやもやとしたいやな気分になった。
 

 花屋では飲食店から花の注文があると必ず置き場所を聞くそうだ。テーブルに飾る花なら香りはなるべく抑えたい。香りが強すぎては主役の料理が台無しになってしまう。
 玄関付近に置くなら戸の開閉もあり、そうした気遣いがいらない。花の香りはリラックスや癒しの効果があり、出迎えには向いている。どこになにを置くかが重要だ。
 
 トイレに入って消臭剤や芳香剤の香りがすれば清潔感があるだろう。飲食店なら炒め物やスープのにおいに食欲がそそられる。においはその場の環境と密接な関係があり、その組み合わせを誤れば、ただの異臭となってしまうので気をつけたい。

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