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建造物フェチ

私はフェチというものは性的なものだけを指すと思っていたのですが、先日「空き缶フェチとかいるよね。ゴミ屋敷の主はゴミフェチだし」というお話を聞いて「私にもフェチがあるじゃないか!」と思い出したので、今日はそれについて書いてみます。
何のフェチかというと【不思議な建造物フェチ】です。
世の中には数多のヘンテコな建物があります。
今日ご紹介するアリマストンビルもロマン溢れるヘンテコ建造物のひとつです。

アリマストンビルは、従来の建造物に使われる作業効率を優先したもろいコンクリートとは違って、水分量をかなり少なくした頑丈なコンクリートを使用して【200年持つ建物】を目指して造られていたそうです。
デザインも即興で考えながら造っていくそうで、芸術的な側面も強いみたいです。

一級建築士の岡啓輔さんという方が一人で造られていて、2005年着工以来未完成のまま建設が続けられていたのですが、2022年に残念ながら再開発のために解体となったようです。
ファンとしては残念な限りですが、東京の三田という一等地をディベロッパーが見逃すはずもないというわけで、致し方ないことなのかもしれません。

推しは推せるときに推せといいますが、建造物も見られるうちに見ろということを実感します。
私は幸運なことに解体が始まる2年前の2020年に実際見に行くことができたので、思い出として画像とともにご紹介します。

高輪ゲートウェイ駅構内
まだ何もない高輪ゲートウェイ駅前

田町駅や三田駅の方が近いのですが、せっかくなのでこの年に開業してまだ降りたことのなかった高輪ゲートウェイ駅から行ってみることにしました。
泉岳寺の会社で働いてた頃、先輩に「新しい駅どんな名前になるんでしょうね?」って聞いたら「は?泉岳寺駅になるって決まったじゃん」って言われたけど、アレ嘘だったなぁ---などと思いながら、約20分くらい歩きました。

前衛的で手作り感満載のデザイン

蟻・鱒・鳶の絵に加えてカタカナのル。
遊び心たっぷりです。

著書の切り抜きと直筆メッセージ

コンクリートに直書きされているのが面白かったです。
ちなみに私はこの本買いました。
アリマストンビルを造っていくリアルな過程や専門的な話はもちろん、建築業界が抱える問題や建築への熱い思いが書き綴られていて素人でも読みやすかったです。
個人的にはセルフビルド建築ヲタの中ではかなり有名な高知県の沢田マンション(通称サワマン)の話が出てきて、かなりアツかったです。
(サワマンも行ったことがあるというか、泊まったことがあるのでいつかnoteに書きたいと思います)

ちょっと明るめに撮れた写真

写真右にちらっと映っているマンションもレトロで結構好きなデザインだなと思った記憶があります。

そびえ立つ要塞のような写真


私は廃墟フェチも併発してるので、この夜の暗がりの中にそびえ立つ少々不気味なショットを、アリマストンビルが存在しているうちに撮れて本当によかったです。
何かに魅力を感じるということは直感的な部分も大きいので、言語化する必要はないというか野暮なのかもしれませんが、ここはnoteなので自分なりになぜヘンテコ建築に魅力を感じているのかを書いていきます。
一番の理由は【強烈な人のニオイ】なのかと思っています。
ニオイというのは物理的にクサイとかそういうことではなく、気配だとかそういった意味です。
巷に溢れるマンションもたくさんの人が関わって想いを込めて造られているのだとは思いますが、特にセルフビルド建築はたった一人で理想通りの建物を造りあげるということに強いこだわりやロマンを感じますし、自由度が高くオリジナリティ溢れる意匠が凝らされていることが多いです。
そういう意味で【強烈な作り手のニオイ】を感じるわけです。
廃墟に関しては【そこで過ごしてきた人々のニオイ】というか歴史を感じるのと、栄枯盛衰というか、かつては間違いなく栄えていたものが時の流れとともに朽ち果てていった跡に人の残り香や世の儚さを感じているのかもしれませんね。
古いビルが立ち並ぶ繁華街や遊郭街も好きなのですが、きっとそれは【そこで働く人や訪れる人の強烈な欲望のニオイ】を垣間見ることができるから好きなのでしょう。

こちらが岡さんの著書です。


今後も機会があれば、日本最大の違法建築物沢田マンションやこれまで巡ってきた歓楽街・遊郭街について書いてみたいと思います✌︎('ω'✌︎ )

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