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0323 かたや離婚

週末はすべて春だった。
金曜はじっとしていて土曜はめまぐるしく、立て続けに友達4人と会って喋りすぎたのか呼吸がへたくそになったりした。

日曜日。朝起きて春。
暖かい日差しに目を細めながら起きてUber eatsで朝マックを頼む。土日はだいたい昼過ぎまでだらだら寝てるから、午前中に起きたのは数ヶ月ぶりくらいな気がした。ゆるゆる用意して、高尾山に向かう。着いたら想像以上の人がいた。よく考えれば、イベントは軒並み中止で人が集まる屋内施設は怖いし…と思えば、こういう場所とか動物園とかに人が集中するのは当然な気もする、けどこんなに同じ考えの人がたくさんいるのか…と思ってがっかりしたりもした。着いて登りはじめる頃にはもういい時間で、降りてくるお客さんたちを横目に一番ハードな道を選んでみた。野草をみながらああでもこうでもないって話ながら2時間くらい散歩。どこに出ようにも人の存在を過敏に感じてしまうし警戒せざるをえない今、こうして山の中を歩くってことが一番正しい選択なんじゃないかと思った。友達は俺よりも遥かにいろんな植物を見つけるのがうまくて、俺の目には全然なにも見えてないじゃないかってちょっと悲しくなったりした。この日に触れた川の水の冷たさとか忘れずにいたい。暮れて寒くなってきたので降りて温泉に行って、てきとうな居酒屋で飲んで帰る。

午前中に起きれば朝マックも食えて山にも登れて温泉にも入れて飲むこともできる、0時より前に!素晴らしいことだと思った。

帰りがけ、ほぼ終電の駅のホームで電車を待っていると、例のごとく酔いちくれたおじさんがじっとこっちを見つめてきて警戒していたら、電車のことを聞かれて調べてあげた。その後どうでもいい話になり、同じ電車に乗り込んですぐ「俺は今日離婚された」と教えてくれて笑った。あまりにも突然で、女は結婚したら変わるんだよ、っていうおじさんに「じゃあお兄さんは変わってないんですか?」って聞いたら俺も変わったよ、って言ってた。まあそやんな。受け答えのいちいちを気に入ってくれたのか、何度も頭を抱きしめられて何度もおでこにキスされた。こういう人に懐かれてしまう感じ、一生変わらない気がする。どこかからあぶれた人に、あぶれてんねん、って声かけられる感じ。ってことは俺もなにかからあぶれた仲間のように見られてるんやろうか。ちょっとだけ不安になる。

おじさんは電車を降りたあとも閉まったドアから離れようとせず、駅員から怒られるところまで見せてくれた。かたや山登ってる日に離婚されてる人もおるんやな、と思うと、なんか最後の無駄話みたいなものでも多少おじさんの気を紛らわせられたらいいなと思う。元気でやってくれ。

もう桜散りそうな勢いで咲いてるけど、大丈夫かな。花見しないまま終わるのは寂しいから、小規模のやつをさくっとやりたい。


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