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新天地におけるEMとしての再現性と成果

本記事はEngineering Manager Advent Calendar 2022 の16日目です。EMアドカレに参加するのは2年連続となります。

2022年7月よりnote株式会社にEMとして入社しています。前職は株式会社リブセンスにてEMをしていました。前回のEMアドカレはリブセンスのEMとして書いています。

この記事では、EMとして入社したnoteで私が半年で何が出来たかを振り返ることで、昨年考えたエンジニアリングマネジメント業務の再現性が自分にあったかどうかを確認してみます。

やったこと1: 全社組織課題の把握

エンジニアと開発組織のステークホルダーと対話を行い、組織課題の言語化を行いました。入手前の面談でも組織課題については共有をもらっていましたが、潜在的なものも含めて課題の探索を行いました。

1on1

入社直後の1ヶ月半のとにかく1on1をお願いしまくって話を聞きました。エンジニア・各チームのリーダー・組織マネージャー、HR、CEO、合計で約60名の方にわざわざ時間を作ってもらったわけで・・・ありがたい限りです。

課題の分析

1on1をするときにメモを取り、言葉に現れていない課題はないか、どういう背景から課題を打ち明けてくれているのか、Google Docsのまっさらなページに向かって何時間も分析しました。分析をもとにいくつか仮説を立て、同僚のEMやCTO、HRの方々に話して課題感の共有を実現しています。

振り返り

反省点としては・・・正直最初の1ヶ月あたりで立てていた仮説が割と精度高く出来ていたのに、それを裏付けるために更に半月の時間を使ってしまったことでしょうか。1on1をすることで社内の方々と顔合わせできたので間違いなく意味のある時間ではあったのですが、荒い仮説であっても改善に向けて素早くトライできる余地はあったかもしれません。

やったこと2: 組織成長に向けたエンジニアリーダーへの支援

note EM good/bad/tobe の議論

エンジニア組織50名に対しEMは2名体制なので、EM単体で出来ることは思った以上に少ないのが前職との差分です。EM同士で目線合わせをすることと同時に、組織マネージャー・CTOにも意見を募り、今後のEMに対する期待値を明らかにしました。

エンジニアチームのリーダー向けマネジメントガイドの執筆

前述の通りEMが組織規模に対して少なすぎるので、エンジニアチームのマネジメントはエンジニアリーダーに多く委譲しています。エンジニアリーダーはマネジメント志向の強い方もいればテックリード志向の強い方もおり、チームによって個性が異なるのがnoteのエンジニア組織の特徴です。異なる個性が存在するのはむしろ魅力と捉えており、リーダーの苦手分野にさっと支援できる為のマニュアルとして、マネジメントガイドを社内向けに執筆しました。合間合間で作業していたとはいえ、執筆開始からリリースまで3ヶ月を要しました・・・。

「エンジニアリングマネージャーのしごと」読書会の実施

名著と名高い「エンジニアリングマネージャーのしごと」ですが、10月から毎週読書会を実施しています。毎回15ページ程度を輪読形式で読んでいます。マネジメント業務は具体例があったほうがイメージしやすいと考え、40分程で読書を行い、20分ほどEM同士の座談会をして、参加者に理解を深めてもらっています。
EMアドカレでも読書会を実施したことを書かれている方がいらっしゃって、思うところはみんないっしょだなぁと共感しました。

振り返り

社内のEMは急には増えないので、来年以降も組織に対してEMが不足する問題は継続するのですが、いかにして成果が出るエンジニア組織に成長していくかは、方向性含めまだ打った手が少なすぎるかと考えています。もうちょっと試行錯誤の日々は続きそうです。
前職ではEM人口が比較的多く、1チームに1名のEMが配置出来るくらいには恵まれていたのですが、そうでない環境ではEMに固執しすぎると特定個人が役割過多になってしまうし、役割を分担して複数のエンジニアで受け持ったほうが現実的なのかもしれません。

やったこと3: 中途エンジニア採用の実践

転職ドラフトの1次フィルタリング

各エンジニアチームに候補者を見てもらう前にレコメンドするための1次フィルタリングを行っています。正直前職でやっていたことをそのまま継続しているだけなので、工夫も何もないのですが・・・。社内の工数減+指名数維持は出来ているので、一番具体的にパフォーマンスしやすいところだったのかもしれません。

転職媒体のスカウト運用

人事とは別のラインで、ワンオペでスカウト配信業務をやらせて頂きました。タレントプールを作って、興味通知を送って、反応があった方にスカウト文面を考え送信。シンプルですが、興味通知に対する反応が35%、スカウトからカジュアル面談成立が72%なので、個人的には悪くない数字だと思いました。

カジュアル面談対応

カジュアル面談を対応するEMが私の入社前までは1名しかおらず負荷が高かったので、日中のカジュアル面談の多くを巻き取りました。育児都合で18時以降開始の面談・面接に出られないので、遅い時間の対応だけ他のEMやエンジニアにお願いしています。育児と採用業務が両立出来ているのは同僚たちの支援のおかげだと思っているので本当に感謝しきりです。

振り返り

採用フローの改善・採用基準のリファインメント・Job Descriptionの整備などは、できればこの半年内にやりたかったが・・・間に合わず。手を動かして実績を作ることに執着しすぎたか・・・とはいえ時間的に工面できそうな感じでもなかったので、これは来年以降に。

EM業務の再現性を振り返る

noteという優良な環境に恵まれたという側面は大きいですし、解決できていない課題はたくさんあるのですが、成果という観点から見れば、一定の再現性は認めても良さそう・・・少なくとも給与ステイするくらいは継続してパフォーマンスは出せそう(と言っておかないとダメな気がする)。
今春の転職は「40歳になるまでにはEMとして複数の環境でも成果を出せるようになる」という目標があったのですが、今にして振り返ると、そんな悠長に待ってくれるほど社会は甘くなかったですし、出来てないことも多々あるとは言え入社半年で成果を出した領域もあるので、さっさと次の目標を立てないといけないな、と考え始めています。
ちょうど同世代の方が先日EMアドカレで転職エントリを書かれており、EMのキャリア形成に触れられていますが、EMのキャリア形成は難しいですね・・・。

EMの生存戦略を想像する

フルリモートの会社が増えてピープルマネジメントがより一層難しくなったことと、世の中全体が不景気になってきたことも相まって、巷ではEMポジションを放棄してソフトウェアエンジニアに戻るケースが増えてきたと聞きます。私はEMの仕事がまだ好きなので続けたいと思っていますが、気持ちはわかります。これからエンジニア組織のマネジメントに従事する人たちに期待されることは何なのか、自分なりに分析してみます。

マネジメントラインの整理

おそらく今後もEM人口が爆発的に増えることはなく、EMを大量採用する企業も出てこないでしょう。社内でエンジニアの方々に、いかに納得感高く業務にあたってもらうか、そして成果を出してもらうかというのを、EM以外でも出来るようになる必要があります。
もともとEMという存在がなかった時代にはそれが普通だったので特段目新しいことではないですが、EMが持っているノウハウの共有やサポート体制の構築によって、ある程度は自己組織化出来るんじゃないかと想像しています。

職種越境のしやすい環境作り

前職もそうだったのですが、職種越境をプロダクトづくりにおける組織の強みに持っている会社は以前からいくつかありました。フルリモートな環境になって、残念ながら分業制が進み、職種越境がやりづらくなってきた印象があります。
エンジニアもプロダクトマネジメントが出来るようになったほうが成果に直結するし、PdMやデザイナーもちょっとエンジニアリングがわかると捗ると思うので、要所要所で職種越境が出来るように検討するケースが出てきそうです。

チームのアサイン最適化

この不景気なご時世、高収益体制が構築できている企業は比較的少数だと思っています。EMはエンジニアの生産性を高め事業価値の創出に導くのがミッションと捉えていますが、エンジニアの生産性が事業価値として認知されるほど改善されるには多くの時間がかかるし、現状がよほど悲惨な状態でもない限り短期の劇的改善も困難です。
企業がより事業価値を出すためには、利益が出そうな領域に人材を寄せる判断をするのが自然で、組織をデザインしたり異動を効率よく行ったりすることが求められそうです。

終わりに

生存戦略・・・書いてみて思ったのですが、EMとしての領域を超越している部分があるように感じています。こんな難易度の高い課題を複数同時にパーフェクトに行えるEMは激レアですし、「役職としてではなく役割としてのEM」が挑むには裁量が足りず、摩擦が起きそうな懸念があります。
これからのEM(というより私自身か・・・)の在り方について、模索する日々はもう少し続きそうです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。ご覧の通りEMとしてまだまだ精進の身でして、もしご意見あれば是非DMなどでご連絡頂ければ幸いです。


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