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イタリアの仮設住宅の4つの問題点

仮設住宅という言葉は直訳するとAlloggio temporaneoもしくはCase temporaleだが、報道においてはほぼ使われないと言っても過言ではない。

仮設住宅という言葉はない

では、どうやって表現するかといえば、震災ごとに名称が変わるのだ。

仮設住宅は、SAEやCASEなどと言われる。
SAEはSoluzione abitativa in emergenzaの略、CASEはComplessi Antisismici Sostenibili ed Ecocompatibiliの略だ。
意味は「緊急時の住宅ソリューション」と「持続可能な免震エコ住宅コンプレックス」である。(これらのことは「イタリアにおける震災復興プロセスに関する研究」という論文に詳しい)

前者は2009年のラクイラ地震、後者は2016年のイタリア中部地震において使われる。

仮設住宅の問題点は多い

日本のメディアは「イタリアの仮設住宅は耐用年数が長く、住みやすい」などと報じているが、それは全くの冗談である。アマトリーチェに住む私の友人に伝えたら怒られそうだ。

第1に、床が壊れて住めなくなる。
なぜこんなことが起きるのか?仮設住宅がある場所、つまり地震の被害を受けた場所を考えてみたらわかる。アマトリーチェやノルチャ、ラクイラなどは本当に冬が厳しい場所だ。雪が降り、街には4ヶ月以上雪がある。
地面の湿気に耐えきれず、床がすぐに使い物にならなくなるのだ。

第2に、冬はとても冷え込む。この記事(https://www.ilcapoluogo.it/2018/12/14/bazzano-che-freddo-al-progetto-case/)によると寒さのために風邪を引いた方のことが書かれている。

第3に、作りがとてももろい。これに関してはこの画像(https://facebook.com/story.php?story_fbid=2310427515657840&id=100000718426013 より)を見るだけで十分だろう。

第4に、これが一番大きな問題なのだが、仮設住宅がなかなか建たない。
地震から1年の時点で、わずか23%しか建っていないのだ。(https://www.ilfattoquotidiano.it/2017/08/24/terremoto-centro-italia-dopo-un-anno-consegnato-solo-il-23-delle-casette-provvisorie-promesse/3813931/
多くの人が車中泊を強いられている(http://seijionishi.hatenablog.com/entry/2017/08/08/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E4%B8%AD%E9%83%A8%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%91%E5%B9%B4%E3%80%81%E5%BE%A9%E8%88%88%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E3%81%A8%E8%AA%B2%E9%A1%8C)。

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