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映画は映画館で見るもの。〜夜は短し歩けよ乙女〜

映画は映画館で見るもの。〜夜は短し歩けよ乙女〜
※ネタバレを含みますのでお気をつけてください。

ハイスピードで駆け抜ける1年いや1日。

さすが森見登美彦作品。

SF(少し不思議)な要素がいっぱい。
現実のような、非現実のような、酔っ払いが見ている現実のような、うだつの上がらない大学生が見ている白昼夢のようなお話を繰り広げてくれます。

要約すると、お酒!大学生活!恋愛!という映画。
って書くとアメリカのB級映画みたいですけど
そこで効いてくる森見ワールド。
「青春など唾棄すべきもの」と主人公「先輩」が言い放つアンチ青春ストーリーなのですが、それは主人公の戯言。
非リア充で青春とは全く逆の立ち位置にいる先輩。
それが一人の黒髪の乙女に恋することで、青春に巻き込まれます。
青春に巻き込まれるけど、どこかずっと青春の核を外し続ける先輩。

青春に巻き込まれるのに、青春を謳歌出来ない感じが本当にもう
非リア充の極み。
ただその非リア充が非リア充なりに青春という波に揉まれ、恋愛という島に辿り着こうとする姿は素直に応援したくなります。
青春を斜に構えて生きてきた人には是非見て悶えてもらいたいです。
自分が過ごしてきたかもしれない青春がそこにあったかもしれません。

とまぁ言ってみましたけど…

こんな青春ないわ!はちゃめちゃすぎるわ!黒髪の乙女かわいいわ!
ってなります。
まぁでも斜に構えてる時の思考ってこんな感じだよなぁ。これぐらい起きたら人生って面白いのになぁ青春謳歌してやろうかなぁ…。
って思っていた青春や恋愛が詰まっています。

だって、黒髪の乙女…って非リア充の男が好きな女の平均値というか中央値じゃないですか。
そりゃ、あんな子がいたらね!接触の仕方が分からなくて外堀から攻めてこう!ってなりますよ。

あとこの映画は原作から大幅に変更している部分があるのですが、それがそもそのも構成が違う。
春夏秋冬の1年の話だったのを、映画という尺をうまく使い
まるで1夜で春夏秋冬を味わうかのような構成になっています。
それが良い意味でハイスピードで駆け抜けていくように感じさせます。
そんなんハチャメチャになるんじゃないの?って思うかもしれないけど
実際に見ると心地よいテンポ。
90分に、この話を詰め込んだ湯浅政明監督凄い!!としか言えません。
見終わったあとに、あ、もっかい見よ!という気分になれます。
ジェットコースターだと疲れちゃって、ちょっと休憩したいなぁ…ってなりますけど、この映画心地よいテンポなので、何度も見たくなってしまいます。

このレビューを読んでくださった皆様

この映画はアンチ青春という立ち位置ですが、間違いなく全員が楽しめる青春群像劇だと私は思います。

この映画から得られる教訓は
神様も我々も、どいつもこいつもご都合主義者だ!


映画『夜は短し歩けよ乙女』公式サイト
http://kurokaminootome.com/

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