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Vol.1 館山白浜のハム職人〜セントシュバインの店主〜松苗直人さん〜

千葉県館山の露地裏にひっそりと佇むダイニングバー「SAINT SCHWEIN(セントシュバイン)」
多拠点生活の3拠点目となった館山にて訪れたのが、このお店だ。


戸建ての1階を、お店に改修した独特の雰囲気をまとった店内では、店主松苗直人さんのライフストーリーを聴くことができた。

貿易会社からキャリアをスタートさせた後、脱サラして手作りのハム&ソーセージ職人へ。さらに、セントシュバインの営業に至るまでの「松苗直人さんのライフストーリー」に迫る。


会社員時代はひどい男だった

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キャリアのスタートは貿易会社。

バブル時代であったこともあり、仕事の関係で住んでいたインドネシアでは、プール付きの豪邸にてメイドに囲まれ、まさに「金持ち生活」を若くして味わったそうだ。

「付き合う女は金持ちでないと!」

そんな言葉が出てくるほどの「ひどい男だった。」と語る松苗さん。

26歳で退職し日本をバイクで旅する

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26歳で退職を決意した松苗さんは当時、貯めていた貯金を糧に「1年くらい自由に生きたっていい」と、バイクで日本を旅し始める。

バブルで染み付いてしまった’’金持ち生活’’から抜けられず、お金を湯水のごとく使い果たした結果、しまいには都内に戻ってきてからの帰りの電車まで無くなるまでに…。

友人に連絡して助けを求めるも、最終電車を逃してしまい、路上で寝るはめになったんだとか。

ホームレスのおじさんに同情され、段ボール1枚差し出されるも、「一緒にするな!」と断った覚えがあると言う。

再就職に向けて動くもサラリーマンに戻ることへの違和感

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「このままでは人として腐ってしまう…」

そう思った松苗さんは再就職をすることに。

前職の貿易の経験を活かし、とある会社の面接を受けたのだが、最終面接の直前で’’サラリーマンに戻る’’ことへの違和感を覚えて辞退する。

その時を語る、松苗さんのこんな印象が言葉に残る。

「あの時、自分の心に従って、決意できたことが良かった。」

違和感を無視せずに、本当にやりたいことはなんだろうか?と真剣に向き合った結果、自分は「食べることや、料理を作ることが好きだと気づけた」と言う。

会社員時代にアジアに住んでいたことから、中華料理に興味を持った松苗さんは、横浜中華街のお店の調理の求人を見つけると、すぐに面接に挑んだ。

横浜の中華料理店のアルバイトが決まるが…?

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無事に面接が通り、内定の翌月から仕事が始まることになっていた。

仕事が始まるまでの空白の時間を過ごしていると、新たな出来事が起きる…!
それは、ひょんなことから’’牛を飼っている先輩のところ’’に遊びに行く機会が訪れたことだ。

この出来事が、松苗さんの人生の流れを変えることになる。

そう、そこで出逢ったのが’’手作りハム’’なのだ。
松苗さんは、最初にハムを口にした時、その美味しさに感動を覚えたと言う。

手作りのハムに感動し、ハム職人の道へ

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「うまい…!」

純粋にそう思ったと語る松苗さん。そして、先輩から思わぬ問いがきた。


「おまえ、今何をやっているのか?」

「来月から中華料理屋でバイトするんですよ。」

「…やってみないか?」


ハム作りに挑戦してみないか?と突然スカウトされ、出した答えは「やろう!」という答え。

そこには松苗さんのこんな想いがあった。
’’素人の自分でもこれだけうまいと思うのだから、他の人もそう思うだろう’’

松苗さんは、純粋に感じた手作りハムの美味しさを、’’だだ美味しい’’で終わらせなかったのだ。
こうして、ハム職人への道へ踏み入れることになった松苗さんだが、一人前になるまではかなり苦労したのだとか。

しかし、’’食べることや、料理を作ることが好き’’という想いは、心に強くあり、「好きだからこそ続けられた。」と。

その言葉には、力強いエネルギーを感じるものがあった。

「いくら見かけが良くても、良い広告を出したとしても、宣伝がうまくても、このハムが本当に美味しいかどうかは、食べてもらわないと分からない。」と松苗さん。

’’お客さんに実際に食べてもらいたい’’

だからこそ、魂を込めてハムを作る。

本当に美味しいものには、人はお金を払うのだから。


「ハム工房セントジュバイン」をオープン



ドイツや国内での修行経験の途中で、化学製品である発色剤や着色料の怖さを知り、「人工添加物は一切使わない」と誓った松苗さんは、より一層ハムとソーセージ作りに精を出した。

ドイツで、’’ソーセージとワインを楽しみ、宿泊できる施設’’に惹かれたことから、レストランとゲストハウスが一体となった「ハム工房セントシュバイン」をオープンさせる。

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「あの時、夢が叶ったんだ。」

そう当時を語る松苗さんの声は、生き生きとエネルギーに溢れていた。

こうして「ハム工房セントジュバイン」は、30年もの間、人々に愛され、惜しまれながらも拠点を移し、現在のダイニングバースタイルに。

残念ながら、ソーセージ作りは辞めてしまったとのことだが、お店の看板メニューは’’手作りハム’’。

早速、松苗さん手作りのハムの盛り合わせを、ドイツビールと共にいただいた。

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スモークされたレバーやタン、まさに絶品のハム。ビールを片手に一人でペロリとたいらげてしまった。

特に昔からの看板メニューだと言う’’レバースライス’’は、是非とも口にしてほしい。
セントシュバインのハムには、松苗さんの魂が込められている。

松苗さんが再就職を決意した時、心に感じた違和感を無視していたら、このハムは生まれなかったに違いない。

夢が叶うも、新たな夢を追いかけ挑戦へ

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夜がふけるにつれ、常連さんが次々と店にやってきた。地元の人に愛されているお店だというのは、言うまでもない。

そんな松苗さんは、以前ゲストハウスで利用していたロッジを改装して、今年新たな宿泊施設をオープンさせるのだそう。

実は、現在の「セントシュバイン」のお店も、松苗さん自身がDIYで造り上げた手造りのお店。


ハム作り体験のワークショップや、バーベキューができる設備を作り、「若き者の合宿場にもなったらいいな…!」と夢を語る松苗さん。

ハム職人のかたわら、茶道の先生としても活躍している松苗さんは、まさに’’自分を生きる’’人生を送っている。


そして、彼の挑戦はまだまだ終わっていない。むしろこれからなのだ。

館山に来た際は、是非とも新たな挑戦をし続ける、松苗さんの夢の一部を味わってみてはいかがだろうか?


セントシュバイン (SAINT SCHWEIH)

住所:千葉県館山市北条2015

営業時間:18:00~23:00

定休日:不定休

予約・お問い合わせ :0470-29-5548
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※営業時間・定休日は変更となる場合があります。
ご来店前に店舗にご確認ください。

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