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【雑談】発熱を味わえるのは今だけ

 「発熱」は、もともとごく普通の症状だった。この症状の運命は、ある日突然大きく変わられてしまった。発熱になった人は、コロナかもという認識があり、恐るべき人間になる危険性があり、大騒ぎになる予想もなくはない。

 だが、あるもののおかげで、今このご時世でも、「発熱」をじっくり味わえる機会があった。「味わう」と言える症状なんてあるわけがないけど、「発熱」があった原因は悪い原因ではないかぎり、逆に恐れる必要がなくなり、いくら体がきついとしても、そこからさらにきつくないことが予想できるので、むしろこの感覚を珍しいものとして味わえるのだ。

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 「発熱」は、コロナのワクチン接種が進んでいる今こそ、ワクチン接種の「副反応」として、改めていい感じで皆の目の前に現れた。特に2回目のワクチン接種の後、発熱はごく普通の副反応として、出てきても恐れる必要はほぼない。体が熱い。体温を計ったら、なんと38度以上。去年だったら、突然の地震と同じぐらい、心の中に警告音が鳴らすだろう。だが、ワクチン接種の翌日か翌々日、むしろ「ワクチンが効いている証明」だと言える。接種前に予想できるので、前向きに休みを取って、家でじっくり待機し、この症状を待っている。やっと「発熱」が登場し、体をきつくされる真犯人だと分かっているとしても、逆に体のこれからを守れるお守りとして、むしろ感謝な気持ちで味わえる。じきに消える副反応、なんのプレッシャーもなく、のんびりベッドの上にリラックスして、眠いと感じたらいつでも寝れるし、起きた時間なども気にする必要がない。きついと感じる時だって、「ああ、そういう感じなんだ」とのんびり言えるのは、おそらく今だけ。

 珍しいから大切なものは山ほどある。「発熱」というものは、珍しいと言えるものではないが、ワクチン接種が前提で、危険性がほぼなく、薬が効く証明として、大切なものだといえよう。「発熱」を、ワクチン接種してからの1、2日間だけ安心に味わえるもの。多忙の毎日で、コロナでさらに疲れしやすいご時世だからこそ、恵まれる感覚といえるかもしれない。

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