自民党の統一教会汚染 追跡3000日

テレビやネット媒体などに出ずっぱりになった、鈴木エイトさんの『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』です。
Twitterのフォロワーさんが、「ほしいものリスト」から贈ってくださいました。感謝感激です!

一躍時の人になった著者の鈴木エイトさんは、ずっと「やや日刊カルト新聞」に記事を寄せていて、ウヨウヨちゃんとかカルト界隈をウォッチングしていた僕のような人間には、ずっとおなじみの人でした。
しかし、突撃取材を繰り返していた「やや日」は、創価学会や幸福の科学の人たちから、追い出されたり訴えられたりしてきていて、一種「キワモノ」的な媒体です。
統一教会の案件は、ずっとそうした「サブカル」メディアが追い続けてきた「ネタ」だったのですが、岸信介以来の密接な政治関与と、信者たちが被った莫大な被害を考えれば、メジャーなメディアがきちんと追うべき話だったことは、今さら説明の必要もないでしょう。
統一教会の問題をきちんとフォローしてきたメディアは、この「やや日」を除けば日本共産党の「赤旗」くらいのものなのです。

安倍晋三射殺事件の動機を作った「ビデオメッセージ」のことも、この「やや日」や「赤旗」はきちんと報じていて、僕たちウォッチャーは、驚きとともに大笑いしながら眺めていたものです。
事件後、多くのウヨい人たちから「サヨクは今までなにも言ってなかったくせに」などと言いがかりをつけられましたが、メジャーなメディアが大きく取り上げてなかっただけで、追っかけてる人は追っかけてたのです。
問題は、目新しいネタや金になりそうなネタにしか興味がなく、権力者に不利な報道を自粛してきた大手マスメディアや、そうしたことに関心を持たなかった国民の側にあるのです。

さて、この鈴木エイトさんが、教団と自民党の関係についてまとめたのが、この「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」です。
タイトルのとおり、統一教会の話を総合的に網羅した本ではなく、自民党議員らとの関係に焦点を当てています。
統一教会の全体像などを把握したいなら、別の本に情報を求めたほうがいいかもしれませんが、自民党との関係に関心のある読者には、間違いなく必読の一冊です。

しかし、この本に書かれていることが「すべて」ではありません。鈴木エイトさんも書いていますが、彼の取材や調査だけでは埋まらなかったピースが、事件後に寄せられた情報によって埋まっていくこともあるし、そもそも教団や政治家が「隠している」ことはたくさんあるはずだからです。
鈴木エイトさんは、より広く情報を募る意味もあって、「自分の持っている情報を出し惜しみしない」と書かれています。裏取りが十分でなくて出せない情報はあると思いますが、少なくともこの一冊は、現時点でまとめられた最良の情報が詰まった一冊であることは、間違いないと思います。

今回、いろいろな報道が続く中で、僕も多くのことを改めて知る機会を得ることができました。きっと、鈴木エイトさんのような人であってさえ、そうではないかと思います。
これまで声を上げてこなかった人たちが、マスコミの報道と、初めて関心を持った多くの人たちの声によって、背中を押されるようにして口を開くケースが出てきています。
多くはいわゆる「被害者」といわれる元信者や家族などです。

しかし、統一教会などのカルト宗教問題においては、被害者である信者が自ら宣教活動を行っているケースが多く、「被害者が加害者でもある」という特殊性があります。
そのため、被害者として声を上げることを躊躇する元信者や、問題に気付いても正面から向き合えない現役信者も多いのではないかと思うのです。
そうした人たちが、不当な差別や攻撃に晒されないだろうか、ということは、僕にとって大きな気がかりでした。(韓国に本部のある宗教ですし)
しかし、幸いにして今のところ、そうした攻撃は起きていないように思います。

テレビで見ていると、鈴木エイトさんたちも、この「信者への配慮」をとても大事にしていることが窺われ、そうしたことも、不当な差別や攻撃による二次被害を防ぐことに、大きく貢献しているでしょう。
私たちは、まずこの教団による活動を監視し、解散命令を勝ち取るなどの取り組みを進める必要があります。そして同時に、残っていく信者、脱会した信者、脱会しようとする信者などに、社会がうまく対応できる制度や雰囲気を作っていくことも、大事なことであろうと思います。
そのためにも、こうした反社会的組織と癒着してきた政治家たちを、断固として許してはいけません。

よろしければご支援をいただけると助かります。