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今週の全米No.1アルバム事情 #47 - 2020/10/3付

この記事を書き始めていたら、何とつい先週「新旧お宝アルバム!」で取り上げたタワー・オブ・パワーの初代ファンク・ベーシスト、ロッコ・プレスティアの訃報が飛び込んできた!何で僕がロッコ入りのTOPのライブ見る前に逝っちゃうんだよー(涙)!こうなると先週TOPのアルバム取り上げたのも虫の知らせなのか…本当に残念。今夜は「What Is Hip?」の彼のベースを聴きながら追悼することにします。R.I.P. Rocco!

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さて今週末のBillboard 200の1位ですが、何と先々週5位、先週4位と後退していたテイラーの『folklore』が87,000ポイント(実売56,000枚)という特に実売枚数では力強い売上で2週間ぶりに1位に返り咲き、通算7週目の1位をマークしてきました。この売上の急増(対先週比339%の増)は、引き続きテイラー自身のサイトや独立系のレコード店でテイラーのサイン入りCDを販売するというプロモーションもさることながら、集計期間中の9/16にナッシュヴィルのグランド・オール・オプリー・ハウス他で開催されたACM(アメリカン・カントリー・ミュージック)アウォードに出演してシングルの「Betty」を演奏したのが、即YouTubeにアップされ、しかもデジタルトラックとしてストリーミングやApple Music等の購入サイトにもリリースされたのが、56,000枚という力強いセールスにつながった模様。

テイラーがナッシュヴィル、しかもオプリーでライブなんて多分数年ぶりだったろうから、話題性抜群ということですよねえ。そしてこの7周目の位で、アルバムチャートでの1位トータル週数が47週となって、これまでホイットニーが保持していた女性アーティストの記録、46週を抜いて歴代女性アーティスト1位になったテイラー(ちなみに総合での1位はビートルズの132週)。やはり今年のグラミー戦線ではかなりの存在感を示す気配満載ですね。

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そして先週の1位予想で挙げていたアリシア・キーズの4年ぶりの新譜『Alicia』は、62,000ポイント(実売51,000枚)とこちらも力強いセールスポイントながら、初登場4位でした。もともと3月リリース予定だったこのアルバム、コロナの影響で2回もリリースが延期になる間に7枚もシングルが切られて(最初は今年1月のグラミー授賞式で披露された「Underdog」でした)、何となくヒット曲集アルバム的な位置づけになってしまった感は否めません。それでも今年のBLMの動きを反映するかのような、警官に射殺された息子のことを悲しむ母親の視点から歌われる「Perfect Way To Die」など、存在感あるメッセージをこめたこのアルバム、久しぶりのアリシアの熱量が伝わってくる作品になってるようです。早く買って聴かなくちゃ。

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一方6位には、メンフィス出身のマニーバッグ・ヨー(本名:デマリオ・ドウェイン・ホワイトJr.)とブラック・ヤングスタ(本名:サミー・マーケス・ベンソン)の二人のアラサー・ラッパーがコラボしたミックステープ『Code Red』が予想外の40,000ポイント(実売3,000枚)で初登場。マニーバッグ・ヨーにとっては4作目のトップ10ですが、ブラック・ヤングスタにとってはこれが初のトップ10。ブラック・ヤングスタ、よかったねえ。

Super Hot」のPVとか見てるとホントはしゃいでます、ブラック・ヤングスタ(笑)。音的にはおとなしめのトラップですが、メンフィスというと90年代はプロジェクト・パットとかスリー6マフィアとか、個性的な連中で一勢力を形成していた場所ですし、最近ではこの二人も所属してるヨー・ガッティ率いるコレクティヴ・ミュージック・グループ(CMG)が地味ながらも一大勢力を形成している土地。こうしてこの比較的地味な二人のコラボがここまで上がってくるということは根強い支持層があるんでしょうね。

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そしてこちらも先週名前を出したオーストラリア人カントリー・アーティストのキース・アーバンニコール・キッドマンの旦那ですな)の12作目のアルバム『The Speed Of Now, Part 1』が、40,000ポイント(実売27,000枚)で7位初登場。今回はアルバムオープニングの「Out The Cage」ではナイル・ロジャース、2曲めの「One Too Many」ではピンクと多くのゲストを迎えてるのですが、あのピノ・パラディノのベースとベンモンド・テンチのオルガンをフィーチャーした現在のシングル「God Whispered Your Name」は最高位60位で早くも下降中と、2017年のキャリー・アンダーウッドとのデュエット「The Fighter」(最高位38位)以来トップ40ヒットに恵まれていないキース。この曲なんかもなかなかいい曲なんだし、ほんの10年前にはNo.1アルバムを連発したこともあるだけにまた頑張ってほしいもんです。

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そして今週のトップ10内初登場最後はこれも先週予想で名前を出した、NYはクイーンズ出身の若干18歳のラッパー、リル・テッカ(本名:タイラー・ジャスティン・アンソニー・シャープ)の初フルアルバム『Virgo World』が34,000ポイント(実売4,000枚)で10位初登場。昨年「Ran$om」(最高位4位)の大ヒットで突如登場したリル・テッカですが、曲自体はよくあるふつーのトラップなんで、どっちかというとオタクっぽい眼鏡と歯列矯正をしたそのユニークな風貌とのギャップで受けてるのかな、という感じ。今回のアルバム収録曲はそこそこ今風売れ線トラップトラックが満載、という感じですがこの音楽性でどこまで頑張れるかがミソですな。

ということで今週のおさらい。でもホントに不思議なのが、テイラーのアルバムに未だにRIAAマークがつかないこと。とっくにミリオン超えてるはずなんですがね(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

*1 (4) (9) folklore - Taylor Swift
2 (2) (12) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
3 (1) (2) Top - YoungBoy Never Broke Again
*4 (-) (1) Alicia - Alicia Keys
5 (3) (11) Legends Never Die - Juice WRLD
*6 (-) (1) Code Red - Moneybagg Yo & Blac Youngsta
*7 (-) (1) The Speed Of Now, Part 1 - Keith Urban
8 (5) (261) Hamilton: An American Musical - Original Broadway Cast ▲7
9 (6) (30) My Turn - Lil Baby ▲2
*10 (-) (1) Virgo World - Lil Tecca

さて来週の1位予想ですが、対象リリース期間の9/25-10/1リリース予定の作品の中で、やあ光ってますねえ、スーパーM。折しも今週のHot 100BTSの「Dynamite」が1位に返り咲きと、K-Popを取り巻く環境が今かなり盛り上がっているだけに、去年10月のEP『SuperM』に続くナンバーワン、充分にありますねえ。来週はデフトーンズの久々の新譜とか、マシンガン・ケリー、スフィアン・スティーヴンスなど気になる新譜もいろいろ出ますが、これはスーパーM 、来ると思います。ではまた来週。

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