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今週の全米No.1アルバム事情 #80 - 2021/5/22付

オリンピックまで2ヶ月を切ったところで、何となく中止に向けての世論だけでなく、政府や東京都の雰囲気もジワリと増しているように思うのは自分だけでしょうか?また、先ほど昨年来からの政府のコロナ対応の問題と国民の気持ちについて、思わず大きく同意するようなブログ(在日?アメリカ人の方が日英両方で見事に今の状況をまとめてくれています)を見つけたので、ここのリンクからチェックしてみて下さい。大きく頷くこと請け合いですから。

そして今週もいつものように、この記事連動のポッドキャストを先程配信してますので、上記のリンクからよろしかったらチェックしてみて下さいね。

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さて今週末、5/22付Billboard 200のアルバムチャートの1位、先週の予想では、強力なリリースもなく、誰が来るかが極めて不透明なのでDJキャレドの2週目1位か?と予想しましたが、蓋を明けてみたら、先週1位から2位に落ちたマニーバッグ・ヨの『A Gangsta’s Pain』が、先週比12%ダウンの61,000ポイント(実売はおそらく1,000枚程度)にも関わらず、相対的にチャート全体が落ち込んだ関係で、今週1位に返り咲いてます。

先々週1位になった時は「メインストリーム・トラップ」「ブリンブリンとエロテーマの作風が多い」とどっちかというとあまり褒めてないんですが(笑)、その時も触れたように音作りについてはソツがない作りですし、マニーバッグ・ヨのラップもそれなりにソリッドではあるので、まあDJキャレドのアルバムほどではないにしろ、他に新しい目につく音がなければ一般的なティーンエイジャーのヒップ・ホップ・ヘッズの手が伸びるのは判る気がします。今週はそんな中でこの間のグラミーではアルバム『Chilombo』が最優秀アルバム部門にもノミネートされてて、個人的にかなりポイント高いジェネ・アイコとのコラボ曲「One Of Dem Nights」がしっぽりとした感じのなかなかいい出来なので、こちらの動画をアップしておきます。

そして今週のトップ10は久々に初登場がゼロ。前回トップ10内初登場ボウズだったのは、3/13付のチャート(モーガン・ウォレンが8週目の1位を決めてた週)だったので2ヶ月ぶりの静かなチャートウィークということになります。今年のトップ10内初登場ボウズはこれで早くも6週目ですが、2016年以降過去5年間のそれぞれの年のトップ10内初登場ボウズは2016年2週、2017年と2018年がそれぞれ3週、2019年が5週、そしてコロナで業界がインパクトあった昨年2020年でも8週なので、年々こういう静かなチャートウィークが増加傾向にあるのが判ります。この調子だと今年はトップ10内初登場ボウズが15週に及びそうな勢い。チャートウォッチャーとしてはトップ10内にどんどん新作が登場する方が面白いんですけどね。

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一方、今週のトップ10圏外は、トップ10とは対象的に先週ほどではないですがそれなりに賑やかな状況。まずトップ10のすぐ下、11位にはウィーザーの今年2作目のリリースで、70-80年代のハード・ロックへのオマージュ満載のアルバム、その名もヴァン・ヘイレンならぬ『Van Weezer』が初登場。このアルバム、実売23,000枚で今週の売上トップを決めてますが、聴いててなかなか楽しい作品になってて「I Need Some Of That」という曲なんかはハードロックというよりあのファウンテンズ・オブ・ウェインを思わせるパワー・ポップ・チューンなんですが、歌詞に「エアロスミスを聴いてたら」なんて出てきて思わずニンマリしますね。

15位にはデトロイトのラッパー、ティー・グリズリーの3作目『Built For Whatever』が初登場。デトロイト出身なんですが、近所のシカゴ・シーンにもリスペクトということで、シカゴ・ドリル・シーンの立役者、故キング・ヴォンリル・ダークもフィーチャーした作品になってます。これで彼は3作連続トップ20。25位にはNY州北部のシラキューズ出身のラッパー、トゥーシーのミックス・テープ『Thank You For Believing』が初登場。

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一方、51位には、カントリー界の大姉御、ミランダ・ランバートが以前から一緒に曲を書いてきたジャック・イングラムジョン・ランドールエミルー・ハリス・バンドのギタリスト)とコラボしたアルバム『The Mafa Tapes』が初登場。タイトルのマーファというのは、この作品が録音されたテキサスの田舎町の名前で、このアルバムはマイク2本とアコギ2本だけで砂漠の中でキャンプファイアをしながら録音されたということで、バックグラウンドの風の音とか、曲間の会話なんかも入っているという素朴な作りのようで、かなりこのアルバム、各音楽メディアでも評価高いようです。以上トップ10圏外初登場は4作でした。

で、今週のトップ10のおさらい。やはりほとんど順位変わらずの静かなチャートですが、今週早くもDJキャレドがゴールド・ディスク・マークを付けてます(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

1 (2) (3) A Gangsta’s Pain - Moneybagg Yo
2 (3) (18) Dangerous: The Double Album - Morgan Wallen
3 (1) (2) Khaled Khaled ● - DJ Khaled
4 (4) (8) Justice ● - Justin Bieber
5 (7) (58) Future Nostalgia ▲ - Dua Lipa
6 (6) (7) SoulFly - Rod Wave
7 (5) (4) Young Stoner Life: Slime Language 2 _ Young Thug & Various Artists
8 (8) (45) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
9 (9) (56) After Hours ▲2 - The Weeknd
10 (11) (79) What You See Is What You Get ▲2 - Luke Combs

さて来週の1位予想。来週のチャート集計対象期間は5/14-20ですが、5/14のリリースを見ると結構話題盤が目白押し。トップ10内初登場が固そうなのは、カントリーのアラン・ジャクソン6年ぶりの新作や、ブラック・キーズのカントリー・ブルースのカバーアルバム、音楽各誌の評価が非常に高いセント・ヴィンセントの新譜(既に購入済みですがまだ聴いてません。楽しみ!)などなどですが、中でもかなり強力そうなのが過去5作連続Billboard 200の1位を決めているJ.コールの3年ぶりの新作。来週の1位は多分こいつで決まりでしょう。ではまた来週。

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