見出し画像

今週の全米No.1アルバム事情 #22 - 2020/4/4付

まずは志村けんさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。コロナ感染発表から僅か1週間、あっという間に他界され、自分同様その呆気なさと失われたものの大きさに呆然としている方は多いと思います。せめてこれが皆んなのコロナ対応の重い教訓になりますように。

画像1

さてコロナでもUSの音楽消費には陰りがないようで(ストリーミングのボリュームは減少傾向らしいですが).今週末のBillboard 200の1位には、予想通りザ・ウィークンドの『After Hours』が444,000 EAUs(実売 275,000枚)という今年最高ポイントでどーんと初登場してます。今年最高ポイントもさることながら、2位のリル・ウジ・ヴァートが115,000 EAUsということなので、実売ゼロのストリーミングオンリーでも今週のザ・ウィークンドは163,000ポイントなので楽勝で1位だったことになります(2.2億回ストリーミング相当)。恐るべし。
既に「Heartless」(1位)、「Blinding Lights」(先週2位上昇中、UKでは1位)と大ヒットシングルが収録されてるのもこの人気につながってるんでしょう。
しかし彼の人気もすっかりトップクラスになったもんで、最初の3本のミックステープをまとめた『Trilogy』(2013)を聴いたときは「何だかダークなR&Bやる奴が出てきたな」くらいの感じだったけど、あっという間にメジャーになったなぁという感じです。しかし今回のジャケは趣味悪いね、これ(笑)。

一方、先週ザ・ウィークンドと競るんではないか、と言ってたチャイルディッシュ・ガンビーノの新譜『3.15.20』は僅か25,273 EAUsでトップ10圏外の初登場に終わった模様です。やっぱり先々週一度リリースしてひっこめたり、今回も集計期間の最初から2日遅れでリリースしたりといったあたりが響いたんですかね。

画像2

さてトップ10に戻って、5位に49,000 EAUs(実売37,000枚)で初登場してきたのは、若干21歳のシンガーソングライター、コナン・グレイのデビュー・アルバム『Kid Krow』。お母さんが日本人で(お父さんはアイリッシュ)幼少の頃は広島に住んでたというコナン、9歳の頃からインターネットでビデオブログをアップしてて、その頃からネット上で人気を集めてたというからいわゆる新世代のネット・アーティストですね。2017年から自作の曲をネット上でリリースしてSpotifyYouTubeでバズってたのを、大手のリパブリック・レコードが契約して、今回のアルバムリリースにつながったという、まあいかにも今風のブレイクの仕方。

テイラー・スウィフトの小さいときからの大ファンだというコナンの楽曲は、まさしくテイラーがポップ・クロスオーヴァーした後のスタイルとサウンドを確かにフォローしてる感じの、まあ今風のメインストリーム・ポップです。どの曲もかなりセンスのいいポップ・チューンで、今週のHot 100には大量チャートインしそうですね。しばらくは注目かもしれません。

画像3

そしてもう一枚、つい先週81歳で亡くなった80年代カントリー・ポップの大御所、ケニー・ロジャースのベスト盤『The Best Of Kenny Rogers: Through The Years』が、32,000 EAUs(実売10,000枚)で9位に初登場。このベスト盤は2018年にキャピトル・ナッシュヴィル・レーベルがリリースしたもので今回彼の訃報を受けてチャートイン、彼に取っては1983年のアルバム『Eys That See In The Dark』(最高位6位)以来のトップ10アルバムになってます。

さて来週の1位予想ですが、3/27〜4/2のリリース・ラインアップはどちらかというと小粒が多くて、デュア・リパとか、この間のグラミーで突如アーバン・コンテンポラリー部門にノミネートされたカナダ人のR&Bシンガーソングライター、ジェシー・レイエズとか、ヒップホップR&B系のパーティネクストドアあたりが目立つくらい。パール・ジャムの新譜も出るようですが、ここは今週の強さを見る限り、来週くらいまではザ・ウィークンドが1位をキープするという線が濃厚ですね。ではまた来週。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?