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今週の全米No.1アルバム事情 #23 - 2020/4/11付

先週から絶賛在宅勤務なんですが、まだまだ在宅勤務できない方も多いようなのでくれぐれもお気を付け下さい。まあ明日には緊急事態宣言も出されるようなので、多少自粛活動にも拍車がかかるのでは。コロナ対策もここ1〜2週間が山場だと思うので、皆さん三密避けて、不要不急の外出は控える、手洗いうがい徹底の三点セットで何とか一致団結して乗り切りましょうね。

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さて今週末のBillboard 200チャートの1位は、やはり先週予測のとおり、先週に続いてザ・ウィークンドの『After Hours』が138,000 EAUs(実売47,000枚)と大幅ポイント減ながら2週目の1位をキープ。どうやら今回のチャート集計期間突入後に3曲のボートラが追加されたデラックス・バージョンもリリースされたらしく、これがポイントダウンを補ったようです。リル・ウジ・ヴァートのデラックス・バージョンといい、どうやら今後こういう商法が主流になりそうですなあ。でもこのジャケ、デラックス版は更に趣味悪いなあ。

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そしてそのザ・ウィークンドを急追して、あわや今週1位ゲットするか?というくらいの勢いで今週圏外62位から一気に2位に急上昇してきたのがオーストラリアの4人組パワー・ポップ・バンド、5セカンズ・オブ・サマー(5SOS)の4枚目『Calm』。ポイントが133,000 EAUs(実売113,000枚)というから、本当に僅差。いや、ていうか、5SOSが先週62位にフライングで入ってしまっていたのも、今回行われていた5SOSのコンサート・チケットとこのCDとのバンドル・オファーによる購入のうち11,000枚分が、アルバム発売日(3/27)前(=先週のチャートの集計期間)に誤って一部のお客さんに送られてしまったためらしい。ということは、そのフライング分のポイントを今週のポイントに足すと144,000EAUsになるから、実は今週の1位は5SOSだった!というこの事実。こりゃあ今頃5SOSの間違ってCD発送しちゃった事務方怒られてるだろなあ。特に5SOSはデビュー・アルバムから3枚連続初登場1位だっただけに今回のこの2位は可哀想やなあ。

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続いて4位に初登場してきたのは2020年代のポップ・クイーンの座をまっしぐらに取りに行ってるデュア・リパの2枚目のアルバム『Future Nostalgia』。66,000 EAUs(実売18,000枚)と上位とは大分差がありますが、最新シングル「Don’t Start Now」(先週Hot 100で2位、全英でも2位)の大ヒットの勢いでここに入ってきました。去年のグラミーではH.E.R.グレタ・ヴァン・フリートを押さえて新人賞取ったデュアだし、ヒット曲もいい楽曲に恵まれてるようなのでこのまま人気を持続できればいいんですけど。

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そして5位に63,000 EAUs(実売57,000枚)で飛び込んで来たのは、90年代からのファンにはうれしいパール・ジャムの11作目のスタジオ・アルバムになる『Gigaton』。でもシングルの「Dance Of The Clairvoyants」聴いてビックリしたのは、何かエディ・ヴェダーがデヴィッド・バーンみたいになっちゃってたこと。こういうトーキング・ヘッズみたいなスタイルは取り敢えずこの曲だけらしいけど、久しぶりの新作でこういう曲をやるエディの心境は何なんでしょうかね。もう少し聴いてから評価は定めたいと思いますが。

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さて今週も盛り沢山で、8位に50,000 EAUs(実売不明)で初登場してきたのは、ドレイクカニエの曲のソングライターとして名前をよく見るヒップホップ・シンガーのパーティネクストドアの3枚目になる『Partymobile』。チルウェイヴ系のヒップホップR&B曲が多い作風のアーティストで、いかにも2020年代のR&Bシンガーという感じ。彼の場合どちらかというとソングライター活動の合間にこうしてアルバム出す、という感じでこれからも行くんでしょうか。

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そして今週の最後は39,000 EAUs(実売10,000枚)で10位に滑り込み初登場のジョイナー・ルーカスの『ADHD』。2018年にエミネムのシングル「Lucky You」(最高位6位)にフィーチャーされて初めてその名前をシーンに刻んだマサチューセッツ出身のラッパーで、そのスタイルは、エミネムに影響受けたというだけあってかなりハイテンションでフロウを繰り出すという、ややオールドスクールなやつ。そろそろトラップ一辺倒でないこういうラッパーも上位に出てきて、シーン全体にとってはいい傾向。シングルの「ISIS」のMVでもADHD(注意欠如・多動症)の解説のテロップをバックに軍服着たジョイナーISISのメンバーに扮したディプロ(彼は軍人との2役)をいたぶる、という最近のトラップ系の連中とは全く趣が異なってて、内容の是非はともかく要注目かも。

さて来週の1位予想ですが、4/3〜4/9のリリース・ラインアップは先週以上に小粒な内容。その中でちょっと不気味なのが、4/3リリースのザ・ウィークンドAfter Hours』のリミックスEP。まさかこれがまた1位ってのはないと思うけどなあ。可能性がありそうなのはカントリーのサム・ハントサンダーキャットの新譜ぐらいかなあ。ストリーミングの勢いだけでガーンと来そうなヒップホップ系も見当たらないし、どうなりますか。では来週。

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