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今週の全米No.1アルバム事情 #76 - 2021/4/24付

前からひどいとは思ってましたが、ここに来てコロナ対策ワクチン対策の政府対応がますますひどいことになってますね。医療従事者のワクチン接種がまだ25%水準というのに高齢者のワクチン接種を優先するような河野大臣の発言やら、その高齢者接種が来年までかかるのは医療関係者の協力が足りないからなどという暴言を吐く下村政調会長など、自らの検査徹底・感染経路特定・拡大防止、という単純な対策を充分徹底しなかった責任は認めないんでしょうか。
二階氏の「五輪中止もあり」というのは本音がポロッと出たんでしょうが、来年まで多くの国民が一回もワクチン接種を受けられない国に海外からの選手が来るのでしょうか。少なくとも国家としてこの後国際社会からの信頼を失わないような対応をお願いしたいものです。

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さて気の滅入るような話は一旦置いといて、今週末のBillboard 200のトップ10のご紹介です。今週の1位は先週も予想していたように、やっぱりテイラーでした。自らのBig Machine時代の原盤権をスクーター・ブラウンに買われてしまったことに対抗するためにBig Machine時代のアルバムの再録音を始めたテイラー、その第1弾が2008年にリリース、11週1位を記録したアルバム『Fearless』の再録バージョン、『Fearless (Taylor’s Version)』。当時収録の13曲に加えて、2009年にプラチナ・エディションがリリースされた時に追加されたボートラ6曲、2010年彼女自身も出演した映画『Valentine’s Day』のサントラ収録でシングルのみリリースだった「Today Was A Fairytale」(2010年初登場&最高位2位)、そして先日からHot 100の下位にもポロポロ初登場している当時の『Fearless』用に書いたけどお蔵入りになっていた"from the vault’楽曲6曲を収録した、全26曲の豪華てんこ盛りバージョンなんですよねー。これはファンなら絶対逃せないだろうし、最近『folklore』以降ファンになった人達には嬉しいプレゼントといえるでしょう。

勢い今回の『Fearless (Taylor’s Version)』、291,00ポイント(実売179,000枚、もちろん今週セールス1位)という久々のビッグ・ポイントでぶっちぎり1位を決めています。291,000ポイントというのは2021年では今のところ最高で、昨年12月の自身の『Evermore』リリース初週の329,000ポイント以来の高得点ですし、売上の179,000枚も2021年最高で、これも昨年8月自身の『Folklore』リリース初週の615,000枚(そう考えるとこれとんでもない数字だったですね)以来の週間売上枚数ということになります。
このアルバムからはシングルオンリーで今回追加された「Today Was A Fairytale」の他にも、オリジナル収録の13曲中10曲がHot 100にエントリーして、うち「Love Story」(2008年4位)「White Horse」(同13位)「Fearless」(同9位)「Change」(同10位)「You’re Not Sorry」(同11位)「You Belong With Me」(2009年2位)「Fifteen」(同23位)「Forever & Always」(同34位)の8曲がトップ40ヒットという、ベスト盤か!というほどのヒット曲満載なので、まあこれは売れますよねえ。おそらくこの後リリース予定の残り4枚についても、アルバム未収録曲や蔵出し音源を追加してリリースされるでしょうから、本人の達成感もひとしおだし、今のレーベルRepublicも大喜びでしょう。

そしてもう一つ。前回のオリジナルリリースの時、テイラー第52回グラミー賞で8部門ノミネート、うち『Fearless』は最優秀アルバム部門(当時20歳で最年少受賞記録)と最優秀カントリーアルバム部門を受賞してるんですが、NARASの今のところの見解では、この『Fearless (Taylor’s Version)』は別アルバムとして来年のグラミー賞ノミネート対象になるとのこと。ひょっとして史上初の同一アルバム2回受賞(ノミネートだけでも歴史的なことですが)なんてこと、あったらどうしましょうね(笑)。

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まあテイラーのこのアルバムの話をしてるとキリがないのでこれくらいにしますが、今週の2位は何と先週圏外再登場でご紹介した、先日急逝したDMXの『The Best Of DMX』が今週一気にポイントを伸ばして来て、77,000ポイント(先週の4.4倍)、実売9,000枚(先週の6.3倍)で先週73位から大躍進。虎は死して皮を残すと言いますが、Xは死して2006年の『Year Of The Dog…Again』(2位)以来のトップ10アルバムを残したというわけで、これが改めて一斉を風靡した90年代〜2000年代のラップ・アイコンの再評価に繋がればXも浮かばれるというものです。

今週はこのベスト盤以外にも、彼の最初の2枚のナンバーワン・アルバム、『It’s Dark And Hell Is Hot』(46位)と『Flesh Of My Flesh Blood Of My Blood』(107位)の2枚も圏外に再登場、過去のシングルも「Ruff Ryders Anthem」(1999年最高位94位)が16位に、「Party Up (Up In Here)」(2000年27位)が40位に、そして「X Gon’ Give It To Ya」(2003年60位)が46位にそれぞれ再登場してます。改めてXの冥福を祈ります。

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今週のトップ10内初登場はテイラーのみで、あと特筆すべきは、先週ヴァイナルLPとカセットのリリースでぐーんと売上を伸ばしたアリアナの『Positions』が圏外17位→6位に復帰したくらい(54,000ポイント、実売35,000枚)。その他圏外の初登場で目立つのは、11位に6作目になる『Roadrunner: New Light, New Machine』が初登場してきた、テキサス州サンマルコス出身の高校の同級生を中心に2010年に結成された人種混合の最大13人から成るヒップホップ・ボーイバンド、ブロックハンプトン。彼らはここ2作、『Iridescence』(2018)が1位、『Ginger』(2019)が2位と快調だっただけに今回チャート上はやや地味ですが、音作りもなかなかハードコアでシーンの評価も高いようですね。

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もう一つ、36位にはこちらも昨年11月にカーチェイスの末暴漢に射殺されるという非業の死を遂げたダラス出身のラッパー、MO3(本名:メルヴィン・A・ノーブル、享年28歳)の遺作となった『Shottaz 4Eva』が初登場してます。ラッパーの訃報、相変わらず多くてなかなか気が滅入ってしまいます。ということで今週のトップ10おさらい(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

*1 (-) (1) Fearless (Taylor’s Version) - Taylor Swift
*2 (73) (8) The Best Of DMX - DMX
3 (1) (4) Justice ● - Justin Bieber
4 (4) (14) Dangerous: The Double Album - Morgan Wallen
5 (3) (3) SoulFly - Rod Wave
*6 (17) (24) Positions ▲ - Ariana Grande
7 (6) (10) The Highlights - The Weeknd
8 (5) (2) Destined 2 Win - Lil Tjay
9 (7) (41) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
10 (9) (54) Future Nostalgia ▲ - Dua Lipa

ちなみにこのDJ Boonzzyの「全米アルバムチャート事情!今週もポッドキャストで配信してますので、そちらの方も是非聴いてみて下さいね

さて来週の1位予想。対象期間4/16-22にリリースされる新譜、結構世が世なら混戦だったんじゃないかというリリースがいくつかあって、例えばカントリーのベテラン、エリック・チャーチの新譜とか、若手ネオハードロックの雄、グレタ・ヴァン・フリートの新譜とか、サー・ポールの『McCartney III』のリイマジンド・バージョンとか、普通だったらこのどれかが1位取りそうなんだけど、今週の1位2位のポイント差を考えると、やっぱ来週はまだテイラーが強いんだろうなあ。ということでまた来週。

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