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今週の全米No.1アルバム事情 #43 - 2020/9/5付

先程菅官房長官が自民党総裁選へ出馬表明。党員投票を見送るという明らかな石破外しのための自民党総務会の決定を受けて、負け戦には出ないと固辞していたスガシを担ぎ出したこの一連の(自民党員すら反発している)茶番劇にはホトホト嫌気がさします。心ある自民党員達の今後の心ある行動に期待するしかないな。

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さてアベシは退任してもテイラーの1位は続くよどこまでも、ということで今週末のBillboard 200の1位、先週の予想にも関わらず、ポイントは僅か3%ダウンに食い止めたテイラーの『folklore』が堂々の5周目の1位をキープ(98,000ポイント、実売52,000枚)。リル・ベイビーMy Turn』の2020年最長1位記録(5週、ただし連続は4週)に並んだ上に、初登場から5週連続1位は2018年7〜8月のドレイクScorpion』以来2年ぶりの快挙。いい機会なので、ちょっとここで2000年以降の初登場からの最長連続1位週数ランキングを見てみましょう。(順位、週数、タイトル、RIAAシンボル、アーティスト、1位のチャート日付)

1位 (9 wks) Views ▲6 - Drake (2016/5/21-7/16)
2位 (8 wks) No Strings Attached ▲11 - ’N Sync (2000/4/8-5/27)
2位 (8 wks) The Marshall Mathers LP ▲10 - Eminem (2000/6/10-7/29)
2位 (8 wks) Weathered ▲6 - Creed (2001/12/8-2002/1/26)
5位 (7 wks) 25 ▲11 - Adele (2015/12/12-2016/1/23)
6位 (6 wks) Feels Like Home ▲4 - Norah Jones (2004/2/28-4/3)
6位 (6 wks) The Massacre ▲6 - 50 Cent (2005/3/19-4/23)
6位 (6 wks) I Dreamed A Dream ▲4 - Susan Boyle (2009/12/12-2010/1/16)
9位 (5 wks) The Eminem Show ▲10 - Eminem (2002/6/8-7/6)
9位 (5 wks) Up! ▲11 - Shania Twain (2002/12/7-2003/1/4)
9位 (5 wks) Confessions ▲10 - Usher (2004/4/10-5/8)
9位 (5 wks) Recovery ▲3 - Eminem (2010/7/10-8/7)
9位 (5 wks) Scorpion ▲5 - Drake (2018/7/14-8/11)
9位 (5 wks) folklore - Taylor Swift (2020/8/8-9/5*)

何とダイヤモンド(10プラチナ・ディスク)超えが4枚も並んだリスト、こうしてみると、ドレイク(2枚)とエミネム(3枚)の存在感が光ってますね。さてテイラーは来週も1位を死守してスーザン・ボイル(って名前忘れてたでしょうw)、ノラジョン、50セントの記録に並ぶか?来週は要注目ですね。

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さて、先週テイラーを引きずり下ろすかも、と予想したナズの新作『King’s Disease』、47,000ポイント、実売18,000枚という細い商いながら2018年の前作『Nasir』同様、堂々5位に初登場。今回カニエ門下のプロデューサー、ヒットボーイにプロデュースを任せて、今が旬のトラヴィス・スコット舎弟のドン・トリヴァー、ASAPファーグ、リル・ダークと若手ラッパーを配しながら、大ベテランのチャーリー・ウィルソン(ご存知ギャップ・バンドのフロントマン)、ビッグ・ショーン、そしてアンダーソン・パークといったR&Bアーティスト達も散りばめた、久々に豪華な顔ぶれの作品。そして極めつけはナズ率いるザ・ファームの面々を配した曲「Full Circle」も収録されていて、何やらナズの気合を感じますね。

前作『Nasir』がカニエとがっつり組んで作った内容が正直シーンからはあまり評価されてなかったのですが、今回は評判もまずまず。個人的にはアンダーソン・パークをフィーチャーした「All Bad」とか90年代風で結構気に入ってます。説教臭いナズもいいけど、こういう単純にドウプなナズもいいな、って思います。

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そして今週はもう一枚話題版が登場。UKでは堂々1位初登場、通算6枚目の1位を果たしたキラーズの話題の新譜『Imploding The Mirage』が、37,000ポイント(実売30,000枚)で8位に初登場しました。このアルバム、すでにシーンでは評判を集めてますが、僕も今回何曲か聴いてみて、『Sam’s Town』(2006)の頃のキラーズからはひと皮もふた皮も向けたいいバンドになったなあ、という感じを受けました。楽曲のレベルがとにかく高くて、いい意味でトンガリ過ぎてない

また、今回このアルバムにゲスト参加してるミュージシャンのメンツもなかなか興奮する連中で、中でも去年開胸心臓手術を受けたとのニュースが伝わってたリンジー・バッキンガムがギターでシングル「Caution」に参加してるのを発見して嬉しかったなあ。ミック・フリートウッドとスティーヴィー・ニックスの彼に対する仕打ちにはかなり頭に来てたしね。でその「Caution」とか、一曲めの「My Own Soul’s Warning」とか、シンセを交響楽的に使う手法で個人的に好きなザ・ウォー・オン・ドラッグスみたいだなあ、と思ってたらそのTWODアダム・グランドゥシエルがきっちり参加してたり。プロデュースにヴァンパイア・ウィークエンドの名作『Modern Vampire Of The City』のアリエル・レクトシェイドが参加してたり。更にはk.d.ラングが参加してたり。いやいやこれは2000年以降のインディやオルタナ系のいいとこを集大成したようなメンツ揃いだし、楽曲も王道感をみなぎらせながら陳腐じゃない。これ、しばらくハマりそうです。

さて長くなりましたが今週のおさらい。もういい加減にテイラー、RIAAシンボルついてもいいのにね(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

1 (1) (5) folklore - Taylor Swift
2 (2) (8) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
3 (3) (7) Legends Never Die - Juice WRLD
4 (5) (257) Hamilton: An American Musical - Original Broadway Cast ▲6
*5 (-) (1) King’s Disease - Nas
6 (7) (26) My Turn - Lil Baby ▲
7 (6) (21) Pray 4 Love - Rod Wave
*8 (-) (1) Imploding The Mirage - The Killers
9 (8) (19) Blame It On Baby - DaBaby
10 (9) (51) Hollywood’s Bleeding - Post Malone

さて来週の1位予想。リリース対象期間の8/28-9/3のラインアップを見ても強力な候補は見当たらず。個人的にはエンジェル・オルセンとか2015年の名盤『Caracal』以来のディスクロージャーとか面白そうだし、トニー・ブラクストンケイティ・ペリーの新譜もそれなりに話題なんだけど、収録曲をパッケージし直して「Chapters」としてストリーミングリリースしたりしてるテイラーの『folklore』があまりポイントを減らさずに来週も1位のような気がします。ではまた来週。

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