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今週の全米No.1アルバム事情 #56 - 2020/12/5付

いよいよ2020年も最終月、12月に突入。コロナとBLMと大統領選と香港デモで怒濤のような今年も早くもあと残すところ4週間を切りました。この時期、従来ほど外出できないとはいえ、いろいろと忙しい時期。自分もここnote.comで、従来別のブログでやっていた「Hot 100年間チャート予想」「2020 My Best Albums」といった企画を順番に年末にかけてアップしていきますのでご期待下さい…なんて言ってて仕事でバタバタしてたら今日ビルボードの年間チャート、発表になっちゃったようです(汗)。かくなる上は結果はブラインドで予想だけ終わらせて、一気に予想 vs 結果の記事を明日にはアップしますかね。

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さて今週末のBillboard 200の1位は予想通り、2020年はやっぱり全米でのK-Popの大ブレイクの年だったというのを象徴するかのように、BTSのフルアルバム5作目になる『BE』が242,000ポイント(実売177,000枚)というブッチぎりで初登場してきました。この間Hot100に1位初登場して以来日本でもあちこちで耳にする「Dynamite」収録と言うことでかなり力強いスタートは予想できましたが、グラミー賞最優秀ポップ・デュオ/グループ部門ノミネートというプラスもあり、余裕の1位初登場でした。
どれくらいブッチぎりかと言うと、このポイントは2位(100,500ポイント)の倍以上の大差での堂々1位で、かつ発売初週としては8月のテイラーfolkkore』(846,000ポイント)以来の高ポイント。今年2月の『Map Of The Soul: 7』(422,000ポイント)には劣るけど、それに続く連続初登場1位と言うだけでなく、2019年4月の『BTS World: Original Soundtrack』(26位)を挟んで、2018年5月の『Love Yourself: Tear』から通算5枚目のアルバム1位を達成してます。この2年7ヶ月間に5枚のアルバム1位というのは、フューチャー(1年8ヶ月)、ビートルズ(2年5ヶ月)に次ぐ歴代3位のスピード記録なんで、まあ凄まじい勢いですね。

そしてもう一つ。今回リリースされた『Be』のフォーマットは、9ドルで買えるデジタルダウンロードと、50ドルという高値のメンバーの写真やポスター封入のデラックスCD(スタンダードのCDがないんですがw)の2つのみ。前回の『Map Of The Soul: 7』がデジタルアルバムの他、4種類のコレクターズアイテムCDパッケージのリリースで初週347,000枚を稼いだのを考えると、2フォーマットだけで(しかも片方は高価パッケージ)その半分の実売を稼ぐというのは驚きですね。

しかも。このアルバム収録の新曲「Life Goes On」は、今週Hot 100で初登場1位に躍り出て、この3ヶ月で「Dynamite」「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」(こちらはジョーシュ685&ジェイソン・デルーロ&BTS名義)、そしてこの「Life Goes On」と3曲連続No.1を達成、これは1977〜78年のビージーズの3連発No.1、「愛はきらめきの中に(How Deep Is Your Love)」「Stayin' Alive」「恋のナイトフィーバー(Night Fever)」の2ヶ月と3週間以来、42年ぶりのスピード記録。しかも、最初の3曲No.1のスピード達成記録という意味では、1964年のビートルズ抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand)」「She Loves You」「Can't Buy Me Love」の2ヶ月と3日以来というから、まあ正に歴史的なことが起きているというのが実感です。この調子だとこの後、アルバムの方もスタンダードCDバージョンやいろんなパターンでポストマーケティングが可能なので、年末のクリスマス商戦に向けてかなりその強さを持続させそうですよねえ。

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そしてひょっとしてBTSと競るかも、と思っていたミーガン・ザ・スタリオンの初フルアルバム『Good News』は、前述のように100,500ポイント(実売16,000枚)というBTSの半分以下のポイントで2位に初登場。彼女もヒップホップの常道で、ストリーミングでがっつりポイント稼いでいて、1.16億回オンデマンドストリーミングを記録してます。

こちらのアルバムには、5月リリースのEP『Suga』(7位)収録のシングル「Savage」に、ビヨンセをフィーチャーしたリミックス・バージョン(今回これがグラミー賞のレコード・オブ・ジ・イヤーにノミネートされてます)が収録されてるんでもう少し行くかな、と思ったんですが。その『Suga』に次いで6月にリリースのミックステープ『Fever』(10位)に続きこれでもう3作目のトップ10アルバム。グラミーの新人賞部門にもノミネートされてこれから年末にかけてこのアルバムももう少し伸ばすかも。そのアルバムのオープニングナンバーは「Shots Fired(銃弾発射)」。これ、明らかに今年話題になった、トーリー・レインズによる彼女への発砲事件をいきなり題材にしてますね。女性は強い。

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さて今週のトップ10初登場はこの2枚だけですが、圏外から大きくアップしてトップ10に再登場しているアルバムが2枚。一つはテイラーの『folklore』。こちらは先月末リリースされた、従来CDのみだった米大手小売のターゲットでの限定販売バージョンのヴァイナルの発売(私も買いました)や、ディズニー・プラスで「The Long Pond Studio Sessions」が放映、更には新しいデジタル・デラックス・バージョンのリリースなどを追い風に、先週29位→6位に急上昇、再トップ10入り。44,000ポイントで実売が23,000枚、うち15,000枚が自分も買ったヴァイナルで、この数字は今週のヴァイナル売上ナンバーワンですね
もう1枚は季節モノで、10/10付チャートで8位に初登場後、チャートの下の方に落ちていたキャリー・アンダーウッドのクリスマス・アルバム『My Gift』が、先週25位→10位とこちらも再トップ10入り。サンクスギヴィングも終わっていよいよこのコロナでさんざんだった2020年もクリスマスに向かうとあって、いつもよりもクリスマス・アルバムを求めるリスナーも多いのかも知れません。

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といういうことで今週のトップ10おさらい。今週その他圏外では、17位にジョッシュ・グローバンのポピュラー・ソングのカバー・アルバム『Harmony』、19位にジージーの『The Recession 2』、34位に「Roses」(全米4位、全英1位)の大ヒットで英米で当てたセイント・ジョンの『While The World Was Burning』、40位には、つい先月自殺した兄のグレンに捧げたダベイビーのEP『My Brother’s Keeper (Long Live G)』そして41位にはあのガース・ブルックスの4年ぶりの新作『Fun』が初登場してます(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

*1 (-) (1) Be - BTS
*2 (-) (1) Good News - Megan Thee Stallion

3 (4) (4) Positions - Ariana Grande
4 (5) (21) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
5 (2) (2) Pluto x Baby Pluto - Future & Lil Uzi Vert
*6 (29) (18) folklore ▲ - Taylor Swift
7 (6) (55) What You See Is What You Get ▲ - Luke Combs
8 (3) (2) Starting Over - Chris Stapleton
9 (7) (19) Legends Never Die - Juice WRLD
*10 (25) (9) My Gift - Carrie Underwood

さて来週の1位予想ですが、対象期間の11/27-12/3はブラック・フライデーを含んでいるため、大量の売上を見込めるアーティスト、例えばBTSとか強そうな気がするので、初の2週1位なるか?というところですが、これを阻む可能性があるのはマイリー・サイラスくらいかなあ。いつもは強いヒップホップも、今週出てるのはリル・ウェインリル・テッカもミックステープなのでダウンロードオンリーなのでやや弱いのではないかと。ということでまた来週。

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