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経済産業省「書店活性化のための課題(案)」の初見メモ(1)

経済産業省書店振興プロジェクトチームがR6年10月4日に発表した「関係者から指摘された書店活性化のための課題(案)」を一読しました。
初見メモを残します。
「関係者から指摘された書店活性化のための課題(案)」を公表しました。 (METI/経済産業省)
⇒パブリックコメント2024年11月4日まで募集してますよ!

なお、この初見メモを書いているのは、書店活性化に貢献したいという思いを15年ほど抱え続けている人です。それを実現するため、出版取次に入社し4年間勤務。当時は自分の立場から書店活性化に貢献するのが難しかったので、業界外からの貢献を検討して退社しました。自身の出産育児などに振り回され、この夢を諦めていた時期も長いのですが、今回のプロジェクトチームの発足に背中を押される形で、再び取り組むことにしました。勉強不足なところもありますが、多少の業界知識と情熱があります。

そういう人の初見メモです。

基本スタンスとしては、なるべく
①建設的で
②視野を広く、各方面のバランスや事情も踏まえた上で 
③各関係者へのリスペクトを忘れずに
感想・考察をメモしていきたいと考えています。


◇全体を通してこの視点・論点も必要では?と思ったこと

電子書籍・オーディオブック

今回の「(リアルの)書店の活性化」という観点から「紙の書籍」を念頭に置いていると思うけれど、電子書籍・オーディオブックもリアル書店で取り扱ったり、連携できる可能性がある。

書店のマーケティング

・規模や出店場所によって、メインターゲット層をどこに置くか
・コンセプトはどうするのか
・それに基づく商品の仕入れや店内内装は実施されているのか
・入店しやすく、居心地の良い環境は整備できているのか
・集客(リアル・SNS)努力はしているのか
これらのことを独立系書店や大手チェーン書店はもちろんのこと、全ての書店がもう一度見直すべきではないのか。経費や労力的に余裕がないので今は無理。で終わらせない議論をしたい。

棚貸書店(シェア型書店、一箱本屋)

ブックマンションやブックショップトラベラー、ほんまる神保町、PASSAGE by ALL REVIEWSなどについて、消費者参加型かつ経営分散タイプの書店として取り上げて議論してみてほしかった。
改善の余地はあるし、ひとつの形としてだが、可能性のあるスタイルだと思う。

中古書、および中古書店との関係

図書館との連携があるように、中古書店との連携についても少し触れられてもいいのかなと思いました。経済的な連携ではなくても、「知」や「文化」面での連携がないのかなと思います。新刊書店と中古と書店は決してライバルではなく、ともに協力しあえる関係なのではないでしょうか。
・新刊書と中古本両方を取り扱う書店も増えています
・万引き⇒中古書店やメルカリなどに売るという闇ルートを撲滅したい
・返品問題を中古書店と連携して解決できないか?
・バリューブックスの「買い取れなかった本の一部を保育園や福祉施設に寄贈する「ブックギフト」や、移動型書店「ブックバス」など、さまざまな活動を通じて、“本が循環する社会”」、MUJIBOOKSなど。意識としても実行としても学びが多い取り組みについては把握しているのか

その他

⇒ホテルや服屋などが他業種が書籍を取り扱う例、SPBSの渋谷「一箱支店」なども取り上げてほしかった。



p2. 目次

3.書店活性化のための課題の整理
(1)書店特有の課題は29項目、(2)小売り全般に共通の課題は5項目、挙げられているが、おおざっぱには下のようにグルーピングできそう
(1) 2~9  ⇒ 既存の出版・流通システム
(1) 10~13 ⇒ 図書館との関係
(1) 15~16 ⇒ キャッシュレス
(1) 20~33 ⇒ 書店側の改善点
(1) 25~26 ⇒ データ活用
(1) 22,24,25,28 ⇒ 書店側からの経費や労力的に「そんな余裕ないよ!」
(1) 29と(2)の4  ⇒ 書店員や読書推進の人材・スキル

p.4 課題整理の趣旨

・「活字離れ」と言い切れるか個人的にはもう一度確認したい。
紙の活字を読む機会は新聞や書籍・雑誌が減ったのは確かだと思うが、その分画面上で意外と活字を読んでいるのでは?

・「書店を巡るあらゆる課題をいったんテーブルに並べ、すべての関係者がこれを共有し、総合的な視点から、様々なアイディア、知恵や工夫を出し合い、(中略)書店自身や関係事業者、本の読み手、国や地方公共団体がそれぞれの立場や視点を超えて、書店を巡る課題を認識し、長期的に取り組みを検討すべき」
⇒本当これ大事だと思っていて、これらの人々が一堂に会して議論する場など今まであったのか、機能していたのかという点が気になる。これから政府主導で半強制的に開催してもいいかもしれない。でも、形だけやって中身なしになりそうな不安もある。それから長期的にだけでなく、短期・中期的にも。あまり悠長なこと言ってられないと思うの。

・「今回課題整理という形で提供させていただいたのは、(中略)それぞれができることを認識して、何らかの実行に移していただくことを期待して(中着)新たなコラボレーションが生まれ」
⇒これ、どのくらいみんなに周知されてるんだろう?
「読み手」のみんなー、これ知ってる?
「国や地方公共団体の人」のみんなはどう?
「関係業界の方々」はさすがにある程度知ってるかな?
知ったうえでじっくり読んでくれてるのかな?

つまり周知足りなくない?「これ提供したよ、とりあえず提供したからね」じゃなくて、もっと届けようとしてもいい気がするのだが、どうでしょう?

・「政府としても、(中略)取り組みを促進するとともに、政策の検討を本格化していく」
⇒3月のプロジェクトチーム設置から半年。とりあえず課題案をまとめたことは、内容の充実度とともに一定の成果を収めていると私は評価します。
今後も期待しますが、今後のスケジュール感と実行予定内容などを知りたいです。

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