見出し画像

今週のおすすめ本 vol.5

店舗とオンラインストアで取り扱っている本から、おすすめのタイトルを紹介するマガジン「今週のおすすめ本」。

今週のテーマは、『読書エッセイの沼』です。
積読の消化がなかなか進まないという方、多いのではないでしょうか。限られた時間の中で、どんな本を読むべきか。その選択肢を広げてくれるのが「読書エッセイ」というジャンル。
読めば読むほど、頭の中の積読本が増えていくという、悩ましくもうれしい、読書エッセイを何冊かご紹介します。


◎坂本龍一『坂本図書』

2023年に逝去した坂本龍一さんは、「古書店を開くのが夢だった」と語っていたほどの本好きでした。
本書は、雑誌「婦人画報」に連載されていた書評をまとめたものです。本の書影や、Neo Soraさん撮影の写真も非常に美しく、ブックガイドとしての実用性だけでない、1冊の本として魅力的な仕上がりになっています。

坂本龍一さんの蔵書を閲覧できる場所としての「坂本図書」も2023年にオープンしています。


◎東直子「レモン石鹸泡立てる」

著者作家としても活動する東直子さん。過去の思い出と、本の中のが結びついていく、パーソナルなエッセイと書評が合わさったような1冊。
印象的なタイトルは、東さんの短歌「永遠に忘れてしまう一日にレモン石鹸泡立てている」から取ったもの。


東さんは、1月に「朝、空が見えます」というタイトルの詩集をリリースしています。毎日早朝の空を眺めて、その様子を詩にしたという作品集。「同じ空はない」なんてよく言いますが、言葉を通じてそれを感じることができる1冊になっています。

もう1タイトル、くどうれいんさんとの共著「水歌通信」もおすすめです。サイン本が少しだけありますので、お探しの方はぜひ。


◎管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』

”本に「冊」という単位はない。あらゆる本はあらゆる本へと、あらゆるページはあらゆるページへと、瞬時のうちに凍結されてはまた離れていくことを繰り返している。”

「本は読めないものだから心配するな」。まずこのタイトルが個人的にとても好きです。このタイトルと、上記の引用文。これだけで、読書についての考え方が変わるんじゃないかと思います。オープン以来、sceneの棚に常備しているおすすめ本です。


◎池澤夏樹(編)『あなたのなつかしい一冊』

「古典」というのは、基本的に書かれた年数が古いものを指す言葉です。
しかしながら、書かれたのが1000年前だろうが1週間前だろうが、その人にとって未読の本はすべて新刊本。読むことでその本が血肉となり、年数を重ねることで、はじめて本はその人にとっての「古典」になるのではないでしょうか。
本書は、50名の作家が選んだ「自分だけの古典」と言うべき本を紹介したブックガイド。寄藤文平さんのイラストも満載で、手に取りやすい1冊です。


◎『モトムラタツヒコの読書の絵日記』

最後に紹介するのは、手描きイラストと手書き文字で106冊の本の感想を記した、まさに「読書の絵日記」というべき1冊。本を読んで、書影をイラストで描いて、感想を綴る。シンプルで、パーソナルな営みが、こうして1冊の本になるというのも読書エッセイの面白いところだと思います。

今回は5冊の本をご紹介しました。

取り上げた本は、店頭、オンラインストアで販売しています。在庫数は限られているため、売り切れの際はご容赦ください。
本の取り置きや、在庫がない本の取り寄せも承りますので、お気軽にお申し付けください。それではまた次回。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?