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文化をまるごと飲み込む

定休日、火曜日だったので市場でした。
名古屋って、古書会館があるんです、っていっても古本屋に興味のない人には意味不明だと思うのでかんたんに説明すると、古本を売買して生活する人たちの商業組合がだいたい各都道府県ごとに(一部ない県や、一つの県に三つも四つもあったり、県内で地方ごとにわかれているところも)あります。

当店は名古屋市北区に店舗があるので「名古屋古書組合」に加盟していて、鶴舞にある名古屋古書会館で毎週火曜日に業社市がひらかれています。できるだけ毎週行って、古本を山で、一冊ずつとじゃなくて何十冊、何百冊という口で買ったり、お客様から買い取ったものを売ったりしています。
(一般の方は入れません。年に何回か「即売会」という一般向けの催事があって、そのときには入れるよ。店にチラシがあるので、気になる人は行ってみてください。)

ちなみに、会館を持っている県の組合に入っているって、古本屋としては幸運なことみたいです。会館がない組合では場所を借りて市をするので、県内での業者市が月一回だったりで、県をまたいで別の組合の市に参加する古本屋さんも多いです。

先週の火曜も、今日も会館にいたんだけれど、待ち時間にぼーっと事務所前に並んでいる本(他の業者さんが落札されたもの)を見ていて、それは昭和に発行されたっぽい、少なくとも最新のものではないエロ本だったんだけど、ふと「古本屋って文化を丸ごと飲み込む仕事だな」と思った。

文学とか、学術書とか、画集とか、いわゆる文化的とされている、店にも置いているようなジャンルの本はもちろん次の世代に残したいっていう気持ちがあって取り扱っているし一般の人から見ても古本屋「らしい」と思うんだけれど、アダルトとか、週刊誌とか、だれが今買って読むんだろう?みたいなわけのわからない本や雑誌も(すみません)需要があるから市で売買されているんですよね。各部門専門の古本屋さんもいる。
どんな本でも、当時一生懸命作った人がいて、今読んでくれる人がいたりする。わたしが知らないだけでそれも文化、というか。
店に入ってくる本は、市場で買うときにはある程度はえらべるといえるけれど、わけわかんないものが入ってることも多いし、お客様からの買取も然り。とりあえず触ってみる、どんな本か調べてみる。たぶんわたしも少しは、とりあえず丸ごと飲み込んでいるといえるのだと思う。

どうでもいい話だけど、わたしは夏、仕事の日はけっこうな確率で白の無地Tシャツ着てるので、本を運んだ後は絶対おなかのところが汚れてる。
今日は汚れたまま、着替える時間がなかったけれど今日行かねばだったので、仲良しのお客さんの個展に行きました。三人の作家さんが隣り合った三部屋で絵を展示していた。絵を描くのが好きなんだなあってそれぞれに伝わってくる、素敵な展示でした。


まなみ古書店
愛知県名古屋市北区清水5丁目21-4
TEL 052-688-5820
営業時間 12:00-19:00(月・火曜定休)
全古書連・名古屋古書組合加盟店 古本買取いたします。


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